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  • あせらないためのER呼吸管理トレーニング(9)救急外来で“挿管できる人”になるための基本とコツ(熊城伶己)

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あせらないためのER呼吸管理トレーニング

連載 熊城伶己

2026.07.14 医学界新聞:第3587号より

・吸引と酸素化を最大限効率化するには?
・薬剤選択,あなたはどうする?
・喉頭鏡とスタイレット,成功率を上げるには?

 前回に引き続き,救急外来における緊急気管挿管を考えていきます。挿管準備の「SOAP MD」(第8回,本紙第3586号参照)に絡めて,知っておく・選択肢として持っておくと役に立つ近年のトピックとコツを紙幅の許す限りでお伝えします。挿管の基本的な内容については成書をご参照ください。

 喉頭展開した際に,吐物や血液だらけで全く視野が取れない事態は救急外来の気管挿管でしばしば直面する問題の一つです。吸痰時に普段使用する吸引カテーテルなどでは無力であり,挿管時に準備する吸引デバイスは「太さこそ正義」です。よく使用されるYankauer suctionカテーテル,海外ではさらに太いSDC(旧称 DuCanto)カテーテルなども使用され,とにかく太いものを準備しておくことが重要です。

 酸素化は薬剤投与前から行っておく必要があり,これをpreoxygenation(前酸素化)と呼びます。100%酸素を3分間投与,もしくは1分間・8回の深呼吸を行ってもらい,薬剤投与~挿管までの無呼吸時間をしのぐ準備をしておきます。このときに,バックバルブマスクを顔の前に浮かせたままでは十分な酸素投与ができないということは第7回で扱いました。使用するデバイスとしてはジャクソンリースやHFNC,また最近ではNPPVの有効性が複数の研究で示されています1, 2)。NPPVでpreoxygenationを行う場合は,薬剤投与後に自発呼吸が不安定化・消失することを見越して,補助換気ではなく調節換気(PCVなど)を選択しておきます。

 また,挿管手技中,無呼吸の間も経鼻的に酸素投与を継続することによって酸素化を維持する方法をapneic oxygenationと呼びます(図1)3)。HFNCをそのまま用いる方法や,鼻カニュラを15 L/分で流す方法などが提唱されています4)。フロート式の酸素流量計であれば30~60 L/分近くまで流量を上げることも可能で,簡易的にHFNCのような状態を作ることもできます。超重症低酸素の患者の挿管では,ジャクソンリースもしくはNPPVでのpreoxygenationに並行して鼻カニュラでの酸素投与からそのままapneic oxygenationへ移行する方法を取ることが筆者は多いです。

 

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図1 apneic oxygenationの理論的背景(文献3をもとに筆者作成)

 循環不安定な場合の鎮静薬を考えてみましょう。気管挿管時に使用する薬剤を表に挙げています。重症患者に対する気管挿管前後の有害事象を調査したINTUBE studyの2次解析では,プロポフォールが挿管後の高度循環不全と関連する因子であると報告されました5)。効果発現までの時間が短く処置時の鎮静などで便利な薬ではありますが,循環不安定な症例で積極的に選ぶ薬ではないと言えます。

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表 気管挿管で頻用される薬剤

 また,近年のトピックとして,NMDA受容体拮抗薬であるケタミンは交感神経刺激作用を持つことから挿管前後での循環動態を悪化させにくいとされ,特に救急・集中治療領域での報告が増えてきています。しかしながら,直近の大規模研究を含め,確実に...

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横浜市立みなと赤十字病院集中治療部/呼吸療法専門医

2015年神戸大卒。救急・麻酔の研鑽を積んだ後,22年より現職。救急科専門医,麻酔科認定医,集中治療科専門医,呼吸療法専門医。急性期の気道・呼吸・循環管理,Point-of-care Ultrasound(POCUS)等を専門としている。

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