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『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』より

連載 貝瀬満

2024.05.03

 消化管の内視鏡診断は,通常の白色光観察(WLI)における画質の向上や,画像強調観察(IEE)が実地診療に普及するなどその進歩は目覚ましい。『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』では,内視鏡診断学の進歩に伴い第2版から,95%の症例を新規のものに差し替え,WLI,IEEの画像を豊富に提示しています。

「医学界新聞プラス」では,本書の内容を一部抜粋し全4回にわたって紹介をします。ぜひ内視鏡像を見て診断にチャレンジしてみてください。

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①a 食道胃接合部1時に発赤平坦病変があり,その左右には柵状血管が認められ,SSBE(C0M1)と認識できる. ①b NBIでは褐色調のテント状病変と認識できるが,良悪性の鑑別は困難である.
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酢酸NBI近接観察すると比較的均一な粘膜微細模様が明瞭となり,非癌粘膜と診断可能である.
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②a 食道胃接合部はヘルニアのため開大している.SCJと胃粘膜ひだ上端との間には,ほぼ全周に1〜2cmの幅でやや発赤したBarrett食道と思われる粘膜を認める. ②b 12時方向を近接観察すると,発赤した粘膜面に柵状血管がみられることから,同部がBarrett食道であることが明確となる.SSBE(C1M2)である.
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127-2b右.jpg
酢酸NBI近接観察すると比較的均一な円形から楕円形開口する粘膜微細模様が明瞭となり,非癌粘膜と診断可能である.
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③a LSBE(C3M4)内に大小の扁平上皮の取り残しを認める.これを扁平上皮島という.③b NBIでは全体は褐色調となる.
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127-3a右.jpg
酢酸NBI近接観察すると比較的均一な粘膜微細模様が明瞭となり,非癌粘膜と診断可能である.

Barrett食道
Barrett’s esophagus

下部食道扁平上皮粘膜が酸や胆汁逆流によって円柱上皮化生した病変で、腸上皮化生の有無を問わない.柵状血管下端または噴門粘膜ひだ上端で食道胃接合部を認識し、胃から連続する円柱上皮粘膜.プラハ分類では全周性部分(C)が2cm,最大長(M)が4cmであれば,C2M4と表記する。従来,C3cm未満をSSBE,C3cm以上をLSBEとしていたが、食道癌取り扱い規約が改訂され、欧米と同様にM3以上をLSBEとするようになった.

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M=Maximum extent,C=Circumferential extent,SCJ=Squamocolumnar junction,EGJ=Esophagogastric junction

|治療|Barrett食道自体は治療対象とはならない

 

所見から診断への道筋を示す内視鏡医必読の1冊がついに改訂!

<内容紹介>今回の改訂では、章構成をあらため、本書の核心である第1章「所見からみたアプローチ」に多くのページを割いた。また、この間の内視鏡診断学の進歩に伴い、95%の症例を新規のものに差し替えた。収載症例数は大幅増の442症例となった。白色光観察(WLI)に加え、画像強調観察(IEE)の画像を豊富に提示している。「内視鏡像から診断に至る道筋を示す」という初版以来のコンセプトはそのままに内容充実の改訂第3版!

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