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教科書では教えてくれない!
私の消化器内視鏡Tips Vol.2 +レジェンドTips
とっておきの“コツ”を伝授します

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消化器領域に関わる医療関係者のためのWebサイト「gastropedia」の人気コーナー「教科書では教えてくれない! 私の内視鏡Tips<シーズン2>」から、大好評につき書籍化【第2弾】! 「現場の要、新進気鋭の内視鏡医」による「100本のコツ」に、「レジェンド内視鏡医」による「未公開Tips」を加え、ますますパワーアップ!!

編集 小野 敏嗣
発行 2021年11月判型:A5頁:172
ISBN 978-4-260-04309-0
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

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はじめに preface

“レジェンド世代のTips はどうかな?”
 医学書院の医学雑誌部に勤める旧友O君と立ち上げたリレー企画はvol.1の出版後もなおも多くの先生方のご協力を賜り,いよいよvol.2の出版を迎えるに至りました.vol.1では追加企画として他科の先生方にお願いして内視鏡医とは別の切り口からのTips をご執筆いただいたのですが,好評を博したこの追加企画をvol.2でも行いたいがどのような内容がよいだろう,と考えていた中でのO君からの提案でした.
 確かにわれわれ“Tips世代”をご指導して下さった“レジェンド世代”の先生方のTipsを公開させていただけるのであればこれ以上の企画はないように思いましたが,非常に多忙な中で果たしてどれだけの先生方がこの企画にご協力いただけるものか,正直不安しかありませんでした.
 しかし,現在30~40代の“Tips世代”の先生方に自身が直接指導を受けた50~60代の“レジェンド世代”の先生方をご推薦いただく形で,私自身が驚いてしまうほど多くの先生方に執筆のご快諾をいただけることになりました.無謀とも言えるわれわれの企画にご協力いただいた“Tips世代”ならびに“レジェンド世代”の先生方には,ご賛同いただいたことをこの場をお借りしてO君共々深謝致します.
 仕上がったvol.2を読み返してみますと,明日からでも使ってみたい現場のTipsから迷える若手の道標となるような示唆に富んだTipsまで,vol.1以上に重厚な仕上がりになりました.本書は,あくまで現場で先輩が後輩に教えるようなちょっとしたコツを集めたものであって教科書ではありません.一方で,そのような場面で話すような内容だからこそ伝わる教育もあるのではないかと思います.臨床医であり研究者であり内視鏡医であり続けた師としての生き方を示唆するような“レジェンド世代”のTipsは,その先生に師事した“Tips世代”の先生方とのチームの雰囲気そのものなのかも知れません.そんなチームの絆を改めて深めていただくという素敵な隠し味も加えることができたように思います.本書を手に取られた若手の先生方に,執筆された各先生方の想いが伝わることを祈念すると共に,改めて本企画にご協力いただいた全国の先生方に厚く御礼申し上げます.

 2021年10月
 小野 敏嗣

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観察のTips Observation Tips

 No. 1 スコープ先端の対物レンズの位置をご存じですか?
 No. 2 鼻血を出さない! 楽と言われる経鼻内視鏡のコツ5
 No. 3 空気を味方につけよう 上部内視鏡検査・治療時の至適送気量
 No. 4 上部内視鏡検査,どの部位の病変を「見落とし」ているか
 No. 5 頭頸部癌ハイリスク患者さんの口腔内・中咽頭は,マウスピースをくわえる前に観察しよう
 No. 6 咽頭反射を抑える「おまじない」
 No. 7 研修医に自信をつけさせる咽頭通過法 シンプル・安全なノールック法
 No. 8 通過しそうで通過しない狭窄,鉗子でスコープ硬性を上げて突破
 No. 9 非鎮静下上部消化管内視鏡検査における頸部食道観察のコツ
 No. 10 Zenker憩室(咽頭食道憩室)を診たことはありますか?
 No. 11 頸部食道病変でもEUSをしよう
 No. 12 EUS1年生へ!
 No. 13 空気,意識してますか?
 No. 14 けっこう大事.sniffing position EUSの咽頭通過,難しいと思いませんか?
 No. 15 超音波内視鏡での幽門輪突破に困ったら
 No. 16 十二指腸からの引き抜きEUS-FNA one-step backしてみては?
 No. 17 EUSの抜き際に縦隔をみていますか?
 No. 18 食道のEUS(細径プローブ)上手に描出できますか? 明日からできるゼリー法
 No. 19 コンベックスEUSの経十二指腸観察 迷子になったときに
 No. 20 EUSでの副腎描出,左だけで満足していませんか?
 No. 21 ラジアルEUSの乳頭部観察 ほんの少しのdown-upとpush-pullを使おう!
 No. 22 ラジアル型EUSを用いた胆管描出 十二指腸の引き抜き操作で胆管長軸を描出しよう
 No. 23 コンベックス型EUSの十二指腸下行部走査観察のコツ 乳頭部を探そう!
 No. 24 コンベックス型EUSスクリーニングで膵頭下部を評価しよう!
 No. 25 バルーン非装着時の胆膵EUSの小技 EUSにバルーン装着は必須?
 No. 26 EUSの装着バルーンは君を助けてくれる 重篤な偶発症を予防するための,ちょっとしたコツ
 No. 27 そのバルーンは本当に必要ですか? 術後再建腸管症例のERCP
 No. 28 左側臥位でのERCPの活用
 No. 29 胆膵内視鏡とYコネクター
 No. 30 内視鏡的経乳頭的胆囊挿管時の造影
 No. 31 南米での大腸内視鏡検査における観察時の工夫 体位変換をうまく利用しよう
 No. 32 Water jetの魅力に取りつかれて
 No. 33 クリスタルバイオレット染色を使用した拡大観察のコツ

診断のTips Diagnosis Tips
 No. 34 食道胃接合部,Barrett食道のスクリーニングには「2枚法」を!
 No. 35 胸のつかえ感,ホントに胃食道逆流症(GERD)の症状でいいですか?
 No. 36 十二指腸球部の「松ぼっくり」は胃型腫瘍
 No. 37 小腸出血の診断へのアプローチ カプセル内視鏡検査のタイミング
 No. 38 直腸病変の範囲診断は要注意!
 No. 39 Crohn病の患者さんはパイエル板をチェックしましょう!
 No. 40 EUS-FNA手がもう1本あれば…そんなときは小指を活用しよう
 No. 41 膵頭体移行部のFNAはこれでイージーに pull法と用手圧迫法
 No. 42 ERCP下細胞診 適切な検体処理を行っていますか?
 No. 43 経乳頭的胆管生検での大きい生検鉗子挿入の裏技
 No. 44 ボーリング生検で確定診断をつけたい!
 No. 45 生検したら血が止まらない….そんなときは…
 No. 46 エンドサイトってどうやるの? 上部編
 No. 47 エンドサイトってどうやるの? 大腸編

治療のTips Treatment Tips
 No. 48 フットペダルは左右どちらの足で踏んでいますか?
 No. 49 POEMのエントリー部分の粘膜縫縮は2個前のクリップを押すとちょうどいい
 No. 50 絶対“軸”感を身につける!? POEMに必要な方向感覚
 No. 51 ようこそ! underwaterの世界へ!
 No. 52 実際どうなの!? 十二指腸腫瘍に対するunderwater EMR!
 No. 53 ESDがうまくなってきたと同時に,EMRが下手になったと最近感じていませんか?
 No. 54 IT系ナイフと先端系ナイフを両方使いこなす 「二刀流ESD」で楽しさも2倍!
 No. 55 窓拭きだけでなく掃き掃除もしっかりと! ESDにおけるスコープ操作の真髄
 No. 56 マルチで“見える”ESDしませんか?
 No. 57 ESDでアングルが足りないときは“ぐりぐり”でアシスト
 No. 58 ESDのマーキングは距離感が重要!
 No. 59 さらにこだわったESDマーキング
 No. 60 食道ESDのコツ 先端系ナイフの場合
 No. 61 大腸ESDの鎮静どうしてますか? プレセデックス®について
 No. 62 直腸ESDのコツ アングルが足りなくなることないですか?
 No. 63 肛門管にかかる病変に対するESD それってホントの筋層?
 No. 64 ESD後の患者さんには,モリモリご飯を食べさせてみませんか?
 No. 65 ESDのお供 安くて有用な糸付きクリップ
 No. 66 糸付きクリップで失敗しないために…
 No. 67 大腸ESDの偶発症対策 Ring-clipによる縫縮法
 No. 68 悪性食道狭窄! ステントを入れたいけど,抜けちゃうかも….そんなときは迷わずOTSCでステントを固定しよう!
 No. 69 ERCPのガイドワイヤー,どう選ぶ?
 No. 70 スコープにガイドワイヤー(GW)を通す方法?
 No. 71 ガイドワイヤーは命綱
 No. 72 ガイドワイヤーループテクニックを使いこなそう!
 No. 73 EUSガイド下ドレナージ術 ガイドワイヤー挿入時のちょっとした工夫
 No. 74 ガイドワイヤーをしっかり固定してストレスフリーのERCPを! Swing Lock technique
 No. 75 ただ抜くのはもったいない! 一度入れたENBD,EBSを使い尽くす!
 No. 76 ENBDチューブの鼻抜きのコツ
 No. 77 硬くて進まない! 困ったときの“もこみちメソッド”
 No. 78 EUS-BDは手術と同じ気持ち
 No. 79 EUS-BDの際のダイレータは拡張だけが目的ではない!
 No. 80 EUS-CDSとメジャー鉗子と私
 No. 81 挿管・全身麻酔下,仰臥位でのERCP
 No. 82 ERCP困難時,困ったときの奥の手! 経鼻用生検鉗子
 No. 83 手押しのEPLBD
 No. 84 パピレクトミー後のクリップ,EUSスコープでばっちり!
 No. 85 ESTの切開方向の調整
 No. 86 inside plastic stent抜去のコツ! これで肝門部胆管狭窄も怖くない
 No. 87 愛をもって抜いてみよう covered metallic stent
 No. 88 留置スネアの締め方教えます
 No. 89 留置スネアでお困りの際には
 No. 90 下部直腸癌術後難治性狭窄に対するRIC法
 No. 91 万が一の穿孔,でもあえて綺麗な写真を残しましょう!
 No. 92 勢いのある活動性出血は内視鏡先端アタッチメントの密接平行移動で解決
 No. 93 下部消化管出血の緊急内視鏡はPEG溶液in JETで! どうせやるなら,きれいに見たくないですか?
 No. 94 内視鏡的止血のもうひと工夫
 No. 95 内視鏡的異物除去のお供
 No. 96 DBEを用いた小腸の異物除去 鋭利な異物を除去するときのひと工夫

心構えのTips Mental Attitude Tips
 No. 97 内視鏡検査時の“言葉の麻酔”はfull doseで!
 No. 98 弘法は筆を選ぶ
 No. 99 ERCPのレポートをがっつり書こう!
 No. 100 Drawing Pictures Method 事前準備を怠らないように!

Legend Tips
 No. 101 生検診断のピットフォール 生検診断を鵜呑みにしない
 No. 102 画像は嘘をつかない!――消化器の基本は画像診断と症例報告
 No. 103 EUSが人を繋ぎ,そして新規治療法の開発を導く Keep on knocking, and it will be opened to you!
 No. 104 安全な内視鏡治療のための腫瘍を腫瘍と診断する十二指腸内視鏡所見分類
 No. 105 Interventional EUSを始める前に 基礎的な超音波の原理について
 No. 106 エンドスコープX~内視鏡界の挑戦者たち~ HookナイフとESDの開発
 No. 107 ムコゼクトーム開発秘話 地方一般病院からの挑戦~異端児と呼ばれて
 No. 108 EST――張り切りの勧め
 No. 109 押し過ぎ厳禁
 No. 110 十二指腸乳頭部腫瘍切除術のスネアリングと予防的小帯縫縮術 苦い経験からのエビデンス
 No. 111 芸術と科学 自分を創ろう!
 No. 112 内視鏡で美味しく酒を飲む方法 ESD開発から20年を振り返って
 No. 113 ESDの縁の下の力持ち CO2送気
 No. 114 あなたは他の病院の内視鏡医にどう評価されているか気になりませんか?
 No. 115 私は如何にしてESD施行医となりし乎(前編)
 No. 116 若手大腸内視鏡医へのメッセージ
 No. 117 試行錯誤は幸運な出会いを連れてくる?
 No. 118 失敗は発明の母,困難は工夫の父 今じゃ当たり前,ガイドワイヤーチャンネル付きスフィンクテロトーム
 No. 119 内視鏡と胆膵専門医 若手へのメッセージ
 No. 120 Clinical Questionの大切さ
 No. 121 内視鏡治療と共に
 No. 122 木の長きを求むる者は…
 No. 123 EUS/FNAから学んだこと全て書きます!

索引 Index
 欧文索引
 和文索引

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日々の診療で悩んだときに解決のヒントと出合える一冊
書評者:新井 冨生(東京都健康長寿医療センター病理診断科部長)

 本書は,日常診療で行う内視鏡検査における“コツ”を『教科書では教えてくれない! 私の消化器内視鏡Tips』として出版された書籍の第二弾(Vol.2)である。表紙にはサブタイトルとして「とっておきの“コツ”を伝授します」とあり,帯には「実務で役立つ内視鏡の“コツ”100!+レジェンドから学ぶTips23選」と記されている。表紙を見ただけで手に取りたくなる。

 日常診療における“コツ”というのは,内視鏡検査に限らず医療のいろいろな分野にあると思う。評者は病理医であり,内視鏡検査については全くの素人であるが,消化管病理を専門としている関係で書評を依頼された。Vol.2の前にVol.1も拝読してみたところ,なんとそこには既に内視鏡の“コツ”129編と他科からのアドバイス&メッセージ11編が紹介されていた。Vol.2ではさらに100編の“コツ”が紹介されており,内視鏡検査の操作の難しさと奥深さを感じた。紹介されたTipsは観察,診断,治療など技術的なことに加え,心構えについてのTipsも紹介されている。心構えは指導医から直接教わることが多いが,本書を通じて会ったこともない先輩から学ぶのもよいと思う。

 教科書に載っていない“コツ”は,ちょっとした気遣いや意識を持つことにより実践できることが多い。一見ささいな事柄を意識することが大きな結果の違いを導くことにつながる。二宮尊徳翁の言葉に「およそ小人の常 大なることを欲して 小なることを怠り 出来難きことを憂えて 出来易きことを勤めず」というものがある。本書で紹介された“コツ”は小なることばかりではないが,出来難きことでもなさそうである。これらの“コツ”を自身のレベルに合わせて,できるところから実践していくことが大なることをめざす一番の近道ではないだろうか。

 さらに,本書ではレジェンドからのTipsが23編紹介されている。執筆者は病理医でも知っている消化器内視鏡のレジェンドたちである。消化器内視鏡との出合い,新しい診断法,デバイスや治療法の開発,困難に遭遇したときの対処法,自身の成長物語などをレジェンドたちが熱く語っている。その一つひとつの言葉に重みがあり,実に読み応えがある。また,読後に前向きな明るい気持ちにさせてくれる。黒背景のページに白文字で印刷されているので,暗がりの中でこっそり秘密の内容を教えてもらっているような錯覚に陥り,レジェンドたちの言葉を独り占めできる感覚も素晴らしい。

 本書を通読して消化器内視鏡の技術を向上させるという方法もあるだろうが,日々の診療で悩んだときに関連するページをひもとくことにより解決法のヒントを見つけるという読み方も可能である。その意味では初学者のみならず,消化器内視鏡を学ぶ多くの医師が手元に置いておきたい書物である。

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