医学界新聞

医学界新聞プラス

『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』より

連載 小原勝敏

2024.04.26

 消化管の内視鏡診断は,通常の白色光観察(WLI)における画質の向上や,画像強調観察(IEE)が実地診療に普及するなどその進歩は目覚ましい。『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』では,内視鏡診断学の進歩に伴い第2版から,95%の症例を新規のものに差し替え,WLI,IEEの画像を豊富に提示しています。

「医学界新聞プラス」では,本書の内容を一部抜粋し全4回にわたって紹介をします。ぜひ内視鏡像を見て診断にチャレンジしてみてください。

43-1.jpg
糖尿病性ケトアシドーシス合併例.胸部下部食道から胸部中部食道にかけて,びまん性,全周性の黒色変化がみられた.その所見は,扁平・円柱上皮境界部で明瞭に終了している.
43-2.jpg
絶食,PPI投与などの保存的治療により,9日後には粘膜全体の色調は改善し(a),44日後には食道粘膜の所見はほぼ正常化した(b).

急性壊死性食道炎
acute necrotizing esophagitis

黒色食道と呼ばれる特徴的な内視鏡像を呈する稀な疾患.基礎疾患として,糖尿病,感染症,腎不全,悪性腫瘍などがある.発生機序として,循環不全や食道内圧上昇,酸などによる機械的刺激の関与が考えられている.胸部下部食道から胸部中部食道までの病変が多く,びまん性,全周性の黒色変化を呈する.

|治療|絶食,輸液,酸分泌抑制薬など


 

44-1.jpg
胸部中部食道に約半周を占める,淡い発赤調の平坦な病変を認める. NBIでは,病変はbrownish areaを呈し,樹枝状血管網の構造が乱れ,血管の拡張,蛇行,不整,口径不同といった特徴が認められる.
44-2.jpg
ヨード染色では,約半周にわたる不染帯を認める.

0-Ⅱb型食道癌
Type 0-Ⅱb esophageal carcinoma

この病型の癌の深達度はほとんどT1a-EP(扁平上皮癌)である.ヨード染色では,正常粘膜同様に輪状に走るひだ(畳目模様)が観察されることが多い.    

|治療|内視鏡的切除(ESD)

 

所見から診断への道筋を示す内視鏡医必読の1冊がついに改訂!

<内容紹介>今回の改訂では、章構成をあらため、本書の核心である第1章「所見からみたアプローチ」に多くのページを割いた。また、この間の内視鏡診断学の進歩に伴い、95%の症例を新規のものに差し替えた。収載症例数は大幅増の442症例となった。白色光観察(WLI)に加え、画像強調観察(IEE)の画像を豊富に提示している。「内視鏡像から診断に至る道筋を示す」という初版以来のコンセプトはそのままに内容充実の改訂第3版!

目次はこちらから

タグキーワード

開く

医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。

医学界新聞公式SNS

  • Facebook