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『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』より

連載 春間賢

2024.05.17

 消化管の内視鏡診断は,通常の白色光観察(WLI)における画質の向上や,画像強調観察(IEE)が実地診療に普及するなどその進歩は目覚ましい。『内視鏡所見のよみ方と鑑別診断——上部消化管 第3版』では,内視鏡診断学の進歩に伴い第2版から,95%の症例を新規のものに差し替え,WLI,IEEの画像を豊富に提示しています。

「医学界新聞プラス」では,本書の内容を一部抜粋し全4回にわたって紹介をします。ぜひ内視鏡像を見て診断にチャレンジしてみてください。

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胃底腺ポリープのすぐ横に,平坦な隆起性病変を認める. インジゴカルミンを撒布すると,辺縁が鋸歯状の平坦な病変が多発していることがわかる.
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LCIによる画像で,白色の隆起が胃体部大彎を中心に多発している. 同症例のBLIによる画像で,IEEにより白色の隆起は明瞭となる.
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春間・川口病変の病理組織像.胃底腺はやや萎縮し,高円柱状の細胞からなる腺窩上皮が表層にまっすぐに伸びている.

多発白色扁平隆起
multiple white flat lesions

胃底腺領域の病変で,胃体上部から穹窿部にかけて広く認められる.春間・川口病変とも呼ばれる.1cm以下の,大小不同の白色の扁平な隆起で,多発することが多いが,単発の症例も最近は認められる.IEEが診断に有効である.PPI投与症例に多い.組織学的には深部には萎縮した胃底腺があり,高円柱状の上皮がまっすぐに伸びている像が特徴である.

|治療|増加する場合はPPIの減量かH2受容体拮抗薬への切り替えを検討


 

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胃体下部大彎に蛇行する粘膜ひだと顆粒状の粘膜を認める. 胃体下部小彎から前壁を観察する.
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インジゴカルミンを撒布すると壁細胞のPCPを伴う粘膜は敷石状に見える.
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腺管拡張が認められる.

敷石状胃粘膜
cobble-stone like gastric mucosa

黒点,胃底腺ポリープと並ぶPPI関連胃粘膜の1つ.病理組織学的には壁細胞の拡大や腫大・腺管内突出(parietal cell protrusion;PCP)を伴う腺管拡張(oxyntic gland dil­atation)が認められる.    

|治療|経過観察

 

所見から診断への道筋を示す内視鏡医必読の1冊がついに改訂!

<内容紹介>今回の改訂では、章構成をあらため、本書の核心である第1章「所見からみたアプローチ」に多くのページを割いた。また、この間の内視鏡診断学の進歩に伴い、95%の症例を新規のものに差し替えた。収載症例数は大幅増の442症例となった。白色光観察(WLI)に加え、画像強調観察(IEE)の画像を豊富に提示している。「内視鏡像から診断に至る道筋を示す」という初版以来のコンセプトはそのままに内容充実の改訂第3版!

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