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医学界新聞プラス
[第4回]インシデントの種類とカルテの書き方
『リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方』より
連載 平野 明日香
2026.07.01
リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方
「何を書けばいいの?」がわかれば「何をすればいいの?」がわかるようになる――カルテが的確に記載できれば,臨床思考は整理され,リハビリテーションの方針が明確になります。その結果として患者の帰結が改善し,他者への情報共有が促進され,業務効率化がはかれます。
『リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方』は,生きたカルテが書けるようになりたい,そんなあなたにおすすめの一冊です。今日から使える記載例も満載です!
「医学界新聞プラス」では、本書からカルテの基礎知識や具体的な記載方法に関する項目をピックアップし、4週にわたりご紹介します。
インシデントの種類とカルテの書き方
リハ中に起こりやすいインシデントは、転倒事故、擦過傷・打撲、点滴などのルート・チューブトラブルです1)。まれに、転倒に伴う骨折や筋・腱の断裂、物理療法による熱傷など、重篤なインシデントが発生する場合もあります。言語聴覚士による嚥下リハにおいては、誤嚥や窒息の可能性もゼロではありません。全身状態が不安定な患者もおり、リハによる負荷で急変する可能性も十分にあります。
このように、医療行為とは完璧なものではなく、必ず不確実性(=いわゆるリスク)を伴います。インシデントの発生をゼロにすることはできません。医療者には、治療に伴うリスクを十分に把握したうえで、それを低減するための注意を払いながら(善管注意義務)、効果を最大限にする取り組みが求められます2)。万が一、インシデントが発生した場合には、まず患者の安全を確保します。その後、患者に必要な医療行為(たとえば転倒後の頭部CT検査など)や説明を行い、最後に一連の起こった事実をカルテに記載します(表1)。
リハ中に患者が転倒した場合、まずは患者の意識レベルを確認します。次に、人手を集めるためにその場を離れずに声を上げて、周囲の医療者に応援を要請します。その後、すみやかにバイタルサインを確認し、怪我や痛みの有無や程度を確認します。出血している場合や頭部打撲、骨折が疑われる場合には、処置行為が実施可能な医師や看護師の応援を要請します。そのときは症状が軽微であっても、あとから痛みが出てくることもあるため、転倒が発生したことを主治医や看護師(入院中であれば病棟看護師)に口頭で伝えます。その後、自身の上司に報告したうえで、起こった事象とその後の対応についてカルテに記載します。
また、施設の方針に沿って、インシデントレポート(事故報告書)の作成や患者家族への説明などの対応を行います。
ルート・チューブ類には、点滴、経鼻経管栄養チューブ、尿道留置カテーテル、排液用のドレーンチューブ、人工呼吸器チューブなどさまざまな種類があります。主なトラブルとしては、リハ中に点滴が刺入部から抜けてしまったり、チューブを車椅子の車輪に巻き込んでルートが破断したり、接続部が外れたりするインシデントです。
これらのトラブルが発生した場合はただちに医師・看護師を呼び、対応を依頼します。薬の内容によっては患者に重大な影響を及ぼすからです。たとえば循環作動薬であれば急激なバイタルサイン変化、抗がん剤であれば皮膚の炎症や壊死を起こす可能性があります。中心静脈カテーテルの場合は空気塞栓や逆血による大量出血、経鼻経管栄養チューブの場合は誤嚥や窒息、尿道留置カテーテルの場合は尿道損傷など、患者の身体・生命に重大な影響を及ぼす可能性があります。
「これぐらいなら大丈夫」などと自己判断せず、必ず医師・看護師に報告し、対応を依頼しましょう。その後、自身の上司に報告したうえで起こった事象とその後の対応についてカルテに記載します。
引用文献
1)Mizutani K, et al.:Incidents and Sudden Patient Deteriorations Occurring During Their Rehabilitation Sessions in an Acute Care Hospital:A Retrospective Cohort Study. Arch Rehabil Res Clin Transl 5:100307, 2023
2)山上潤一,他:〔安全管理〕職場における安全管理.理学療法ジャーナル48:909—916,2014
リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方
「何を書けばいいの?」がわかれば「何をすればいいの?」がわかるようになる。
今日から使える“生きた記載例”満載。カルテは、診療報酬や病院機能評価の根拠となるだけでなく、臨床の質を底上げし、業務効率を高める強力なツールです。カルテを的確に記載すれば、臨床推論は整理され、リハビリテーション方針が明確になり、その結果として、業務効率も患者のアウトカムも確実に向上します。評価が伝わる。思考が見える。臨床が変わる。そんな誰もが読みたくなるようなカルテが書けるようになります!
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