外来・病棟・地域をつなぐ
ケア移行実践ガイド

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救急外来、ICU、急性期・慢性期病棟、回復期病棟、退院、そして地域へ――。1人の患者さんに複数の医療者・施設がかかわることが一般的となり、各セクションでの連携が求められています。しかし療養場所や担当者が変わるなかで、重要情報が抜け落ちる場合もあるのが現状です。そこで、スムーズなケア移行の実現に必要なカルテや指示簿、診療情報提供書の書き方など、医療の質を落とさないためのノウハウを1冊に凝縮しました。

編集 小坂 鎮太郎 / 松村 真司
発行 2022年06月判型:B5頁:184
ISBN 978-4-260-04885-9
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

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はじめに

 患者のケア移行後に起こる
 ・予定外のER再来院,再入院,ICU再入室
 ・カルテ(診療録)や指示簿,プレゼンテーション,情報提供書での伝達エラーによるトラブル

 医療においてしばしば経験するこれらの問題をどのように解消すればよいか? という医療の質・患者安全に関する問いが,研修医時代からの私のクリニカルクエスチョンでした。

 幸いにして,救急外来から在宅医療までを一貫して経験しExtensivistの素地を作る研修ができる佐久総合病院で初期研修を行い,練馬光が丘病院では筒泉貴彦先生を筆頭に米国で研鑽を積まれた先輩,指導医に囲まれた環境で病院医学を学ぶことができたため,院内外のケア移行の問題に対して,標準化,Handover,ケア統合,Extensivistモデルといった事柄に対して,Evidence basedに多職種で連携して対応する方法を実践しながら向き合って来れました。

 時を同じくして,診療所の目線から松村真司先生が,よりよいケア移行を実現するためのケア連携方法をリサーチクエスチョンとして検証されていました。週刊医学界新聞における「スマートなケア移行で行こう!」(2018~2019年)の連載は,松村先生との邂逅から生まれたものです。

 この連載を書籍化するために,国内外のケア移行に関する書籍や論文,ケア統合の実践モデルの見学,宇都宮宏子先生などの大御所との対談などを重ねて筆を進めてきました。その間,新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,医療の提供方法にもデジタルトランスフォーメーションの促進などの変化が求められたため,ケア移行にも大きな変化があるかと考え,色々と検証を行いましたが,スマートなケア移行のエッセンスは特に変わりのない普遍的なものであるという結論に至りました。

 本書は,医療技術の進歩,地球温暖化や流行感染症などの環境変化,高齢化や性の多様化など,さまざまな変化による不確実な社会においても,ブレることなく臨めばよいケア移行の本質について,一般論,医療環境/職種別,疾患別の3方向から整理をしたものです。それぞれの項目は,練馬光が丘病院で研修をした若手指導医たちと,ケア移行をどのようにして学び,教えればよいかを一緒に考えて執筆してもらったものを,私と松村先生とで現時点での医療水準で合格ラインとできるように監修したものです。

 本書は,症例をベースに一般論と設定別に学ぶ総論編と疾患別に学ぶ各論編に分かれており,緑枠の中が症例や実際のケア移行のための見本の記載として作成してあります(本書の読み方・使い方についてはviii頁を参照)。緑枠内を読み,その解説から学ぶような形で読み物として使用していただければ幸いです。

 最後に,各執筆者の紹介で締めさせていただきます。

 いつも丁寧で読みやすく十分性を担保したカルテ記載とその教育で多職種や医学生に人気の佐藤直行先生,看護師が使いやすく,医師に問い合わせる必要がないと好評の指示簿を記載する本橋健史先生,「プレゼンはケア移行の肝だ」と熱く後輩を指導する練馬光が丘病院初代チーフレジデントの本田優希先生,日米のサインアウト文化のある環境で育ち,日本の状況に合わせたスマートな記載のできる三高隼人先生,総合診療,集中治療,麻酔を専門として,丁寧な管理と申し送りができる鍋島正慶先生,病院における患者エンゲージメントの実践・研究をしている患者からの信頼も厚い安本有佑先生,日本で研修医のサマリー/診療情報提供書の質の検証も行った教え上手な宮本好美先生,診療所の目線から病院と診療所のケア移行の注意点について臨床研究を実施されている,ケア移行に造詣の深い松村真司先生,富山県南砺市で急性期から地域包括ケア病棟までスマートなケア統合を実践しておられるExtensivistの日本代表と言える大浦誠先生,ケア連携に欠かせない知識と情報伝達の工夫についてケアマネジャー・医療ソーシャルワーカーの視点からお話しできる数少ない医師である鶴岡浩樹先生,退院支援看護師のカリスマとして全国の看護師を熱く教育されている宇都宮宏子先生,医科・歯科のダブルライセンスで嚥下障害のケア連携に地域で取り組み,多数の患者のPatient journeyを描いている松本朋弘先生,リハ栄養の開祖でいつも的確なご指導をいただける若林秀隆先生,救急・病棟・在宅・国際保健・企業と幅広い活躍をみせる中西貴大先生,心不全のケア移行について熱く取り組まれている循環器専門医の河野隆志先生,緩和ケアとコミュニケーションを得意とする湊真弥先生,緩和ケアと総合診療のケア移行の大家である柏木秀行先生。

 そして連載から編集まで質の高い作品を作るために素晴らしい対応をしてくださった医学書院の中嶋慶之氏,辛抱強くご指導いただいた長井優俊氏。

 皆さまに心から御礼を申し上げます。

 読者の皆さまの診療圏におけるケア移行の質が高まり,患者の旅路が豊かになることを願っています。

 2022年5月吉日
 小坂鎮太郎

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はじめに
本書の読み方・使い方

I ケア移行の基本──Patient journeyから学ぶ
 1 ケア移⾏がなぜ重要なのか?(小坂鎮太郎,松村真司)
 2 救急外来から始まる効果的なケア移行(小坂鎮太郎)
 3 急性期病棟における入院時要約(佐藤直行)
 4 急性期病棟における指示簿(本橋健史)
 5 急性期病棟における症例プレゼン(本田優希)
 6 急性期病棟における申し送り(三高隼人)
 7 ICU入退室時の情報伝達(鍋島正慶)
 8 患者教育・協働のための退院療養計画書(安本有佑)
 9 退院時における診療情報提供書(宮本好美)
 10 地域で紡ぐケア移行(松村真司)
 11 回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟におけるケア移行(大浦誠)
 Column 新たなモデル──Extensivistという存在(大浦誠)

Special Article ケアマネジャー・医療ソーシャルワーカーの視点からみたケア移行(鶴岡浩樹)
Special Article 退院支援看護師からみたケア移行(宇都宮宏子)

II ケア移行の実践──典型例から考える
 1 誤嚥性肺炎患者のケア移行(松本朋弘)
  Tips 認知機能障害を有する高齢誤嚥性肺炎患者のケア移行時におけるポイント(若林秀隆)
 2 慢性心不全患者のケア移行(中西貴大)
  Tips 肺炎で増悪した慢性心不全を有する高齢患者のケア移行時におけるポイント(河野隆志)
 3 悪性腫瘍患者のケア移行(湊真弥)
  Tips 癌と感染症の患者のケア移行時のポイント(柏木秀行)

索引

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II章 各症例の症例プレゼンの解説と評価のルーブリック

誤嚥性肺炎患者のケア移行

慢性心不全患者のケア移行

悪性腫瘍患者のケア移行

書類テンプレート一覧

帰宅指示書(WordPDF

入院時要約【基礎的データ】(WordPDF

入院時要約【アセスメント・プラン】(WordPDF

一時指示(WordPDF

継続指示(WordPDF

症例プレゼン(WordPDF

申し送り_IPASS(WordPDF

ICU入出時の情報伝達(WordPDF

ICU退出時の情報伝達_ISBAR(WordPDF

退院療養計画書(WordPDF

診療情報提供書(PDF

標準ケア情報提供書(WordPDF

退院時リハビリテーション連絡票(WordPDF

主治医意見書(WordPDF

書籍刊行を記念にして開催された週刊医学界新聞の座談会も併せてご覧ください。
外来・病棟・地域をつないでスマートなケア移行を実現する」(小坂鎮太郎,松村真司,河野隆志)

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