- HOME
- 医学界新聞プラス
- 医学界新聞プラス記事一覧
- 2026年
- 医学界新聞プラス [第1回]カルテを書く意義って何だろう?
- リハ
医学界新聞プラス
[第1回]カルテを書く意義って何だろう?
『リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方』より
連載 平野 明日香
2026.06.10
リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方
「何を書けばいいの?」がわかれば「何をすればいいの?」がわかるようになる――カルテが的確に記載できれば,臨床思考は整理され,リハビリテーションの方針が明確になります。その結果として患者の帰結が改善し,他者への情報共有が促進され,業務効率化がはかれます。
『リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方』は,生きたカルテが書けるようになりたい,そんなあなたにおすすめの一冊です。今日から使える記載例も満載です!
「医学界新聞プラス」では、本書からカルテの基礎知識や具体的な記載方法に関する項目をピックアップし、4週にわたりご紹介します。
カルテを書く意義って何だろう?
「カルテ」とは、ドイツ語の「Karte」(カード、紙)がその語源といわれています。日本語では「診療録」とも呼ばれ、「診療を書き留める・記録する」という意味で使用されるようになりました。
では、診療内容を記録する目的は何でしょうか? 以下に5つに分けて説明します。
医師法第24条1項には「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」とあり、医師のカルテ記載が義務づけられています。
一方、理学療法士及び作業療法士法には、理学療法・作業療法を記録する法的根拠は明記されていません。しかし、療法士が行う医療行為〔リハビリテーション(以下、リハ)〕は、医師の診療の補助という位置づけです。医師のカルテ記載に法的義務があるならば、療法士が行う医療行為にも記録する義務が生じると解釈できます1)。
「他者」というのは、他職種・同職種の両者を含みます。近年、チーム医療の重要性が増しており、一元化された診療記録で他職種の情報を得ることは多職種連携の推進につながり、質の高い医療を提供するために欠かせません。他職種から見ると、リハカルテからは現状のADL、目標設定、それに向けた課題などの情報が得られ、治療・ケア計画にも役立てることができます。また、休祝日もリハを提供する医療機関が増えるなか、複数担当制で対応するため、同職種内で情報共有する必要性も大きくなっています。カルテには日々の経過が記載されており、担当者が変わってもこれまでの方針やリハの内容が継続されることで、より効果が出やすくなります。カルテは自分が気になっていることを書く「自分のメモ」から、専門職としての知見を他者と共有するための「専門家としての記録」となるように記載することが大切です。常に他人が見ることを意識して言葉の選定や内容を工夫しましょう。
以下に、回復期リハ病棟における一場面を挙げました。カルテを介して看護師と情報共有することで、看護計画に役立ちます。また、療法士同士でもカルテを通してリハの現状や課題を共有することで、適切な課題を設定でき、効率的なリハにつながります。
カルテは他者のためだけでなく、自分自身のためにも必要です。カルテを記載することで、実施した医療行為を「見える化」して、適切な評価・治療が実施できたのか、自分で振り返る際に活用できます。日々のカルテが適切に記載されていると、内容から思考が見えてリハ計画が読み取れます。「思考の見える化」を意識して記載することで臨床思考の成熟がはかれ、リハの質が上がります。
カルテには、実施した行為だけでなく、目標設定やその期間、課題の整理など臨床推論を適切に行うための情報が集約されます。PDCAサイクル(図1)を意識して端的で適切なカルテを記載することは、自分自身の臨床思考過程を整理できるだけでなく、後輩に教える際にも、教育ツールとして活用できます。
回復期リハ病棟における脳卒中片麻痺患者の例で考えてみましょう。リハ開始時に「1か月で病棟歩行自立」という目標を設定していたとします。実際に1か月経ったときの状況や、行ってきたリハの内容をカルテで振り返ることで、目標設定が高すぎたのか低すぎたのか、リハの内容が適切であったのかを確認できます。
Plan→Do→Check→Actionを繰り返し実施するという、一般企業でも広く用いられている業務改善や目標達成の手法。
1か月経っても病棟での歩行が自立していない場合、カルテから原因を考えます。たとえば、実際に病棟での歩行練習をしたのは一度だけで、リハ室での練習がメインになっていることがわかれば、病棟での歩行練習を増やすことが検討できるでしょう。カルテをもとに練習内容や時間配分を計画することで、より適切な計画を立てることができます。
引用文献
1)藤田聡美,他:理学療法診療記録の目的―記録の法的根拠と意義について―.理学療法学39:130—134,2012
リハビリテーションの「質」が上がるカルテの書き方
「何を書けばいいの?」がわかれば「何をすればいいの?」がわかるようになる。
今日から使える“生きた記載例”満載。カルテは、診療報酬や病院機能評価の根拠となるだけでなく、臨床の質を底上げし、業務効率を高める強力なツールです。カルテを的確に記載すれば、臨床推論は整理され、リハビリテーション方針が明確になり、その結果として、業務効率も患者のアウトカムも確実に向上します。評価が伝わる。思考が見える。臨床が変わる。そんな誰もが読みたくなるようなカルテが書けるようになります!
目次はこちらから
タグキーワード
いま話題の記事
-
対談・座談会 2026.06.09
-
対談・座談会 2026.06.09
-
対談・座談会 2022.11.07
-
全学部の新入生3000人が学ぶ命の守り方
京大・救命救急講習12年の歩み取材記事 2026.06.09
-
対談・座談会 2026.06.09
最新の記事
-
対談・座談会 2026.06.09
-
対談・座談会 2026.06.09
-
対談・座談会 2026.06.09
-
全学部の新入生3000人が学ぶ命の守り方
京大・救命救急講習12年の歩み取材記事 2026.06.09
-
寄稿 2026.06.09
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。



