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[第5回]事例とエコー画像から病態を考えてみよう「腹部」
『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』より
連載 山根友絵 / 酒井 一由 / 刑部 恵介
2024.04.12
フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー
超音波(エコー:echo)検査は看護師にとって身近な存在となりつつあります。外から観察しただけでは分からない身体内の状況・状態を視覚的に確認してアセスメントするために,非常に有効なツールです。しかし,エコーに興味があっても,経験や手技に対する不安を感じている人も多いのではないでしょうか。書籍『フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー』はこれから超音波検査を始めようとしている看護師の皆さんが必要とする情報を,ポイントを絞って分かりやすく解説した一冊です。
「医学界新聞プラス」では本書のうち,「第1章 まず,超音波検査を行う前に」,「第2章 基本のき」,「第4章 いよいよ,超音波機器を使ってみよう」,「第5章 事例とエコー画像から病態を考えてみよう」の中から内容を一部抜粋し,全5回でご紹介します。
腹部
・症状
「おなかが張って苦しい」
・事例の背景
70歳代,男性,大腸がん
数日前より食欲が低下している。排便は見られており,腸蠕動音も聴取可能だが,腹部の張りを訴えている。
・想定される疾患等
腹水
・エコーでの確認
確認部位:腹部
*打診で腹水を確認することも重要!
手技の説明
事例から,腹部膨満感について以下のように確認していきます。
●腹部膨満感の原因としては,水分(浮腫・血液),ガス,便,脂肪,腫瘍などがあります。この区別を念頭に超音波機器で観察します。
●右肋間にプローブを当て,肝臓周囲のモリソン窩周囲,続いて正中部の膀胱周囲のダクラス窩周囲を観察し体液貯留を観察します。
●腸管の拡張の有無も超音波機器で観察して,便なのか,ガスなのか,腫瘍なのかを確認します。
目的
●腹水の確認
腹水のたまりやすいモリソン窩,網囊,ダグラス窩を観察します。
使用プローブ
●腹水の確認→コンベックス型プローブ
●腹水が多い場合(深層観察):3~5 Hzのコンベックス型プローブ
●腹水が少ない場合(浅層観察):5~9 Hzのリニア型プローブ
プローブを当てる位置(図5-6)
●肋間走査(肋骨の間にプローブを置く)→左右横隔膜下腔の観察
●右肋間走査(右の肋間からやや尾側にプローブを置く)→モリソン窩の観察
●下腹部正中縦断走査→ダグラス窩の観察
モリソン窩(図5-7)
肝腎陥凹ともいいます。肝臓と右腎臓の間に存在する,腹水などがたまりやすい領域をいいます。仰臥位では右上腹部で最も低い位置となります。黒くなっている部分が腹水の貯留を示します(図5-8)。



「画像説明」「病態説明」については購入後に本書でご確認いただけます!
フィジカルアセスメントに活かす 看護のためのはじめてのエコー
実はそこまで難しくない! エコーへの苦手意識を克服できる本
<内容紹介>ポケットエコーの登場で、病棟や在宅で看護師の超音波機器(エコー)の活用場面が広がる兆しはあるが、まだ十分ではない。触れる機会の少なさや、技術への自信のなさなどが理由だ。しかし、意外と簡単に画像を描出し、根拠のあるケアが提供できる部位も多く、業務の効率化を図ることができる。そこで、初めて超音波機器に触れる看護師に向けて、分かりやすい表現を心掛けた。本書によって、超音波機器の活用場面と可能性が広がる。
目次はこちらから
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