医学界新聞

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あせらないためのER呼吸管理トレーニング

連載 熊城伶己

2026.04.14 医学界新聞:第3584号より

・枕はどこに置くべきか?
・◯◯◯◯◯を制するものはマスク換気を制する!
・「この人にマスク換気は難しいかも……」どんな人?

 マスク換気は「確実なルート確保」と並ぶ,救急の現場で最も重要な手技の一つです。呼吸管理と言われると気管挿管や人工呼吸器といった派手な手技にどうしても目が向きがちですが,確実なマスク換気さえできれば多くの呼吸トラブルに対して「耐え忍ぶ」ことができます(応援が来る・準備が整うまでしのげるというのは大事なスキル)。本稿で一緒に勉強していきましょう。

 前回((第3583号)学習したような用手的気道確保やエアウェイでも呼吸が安定しない場合や,酸素化が維持できず気管挿管に踏み切る前等にマスク換気を行います。マスク換気を行ったことがある方は,空気が漏れて換気がうまくいかない経験があると思います。換気時に空気が漏れる理由は,①上気道閉塞,もしくは②マスクの密着が悪い(シール不良)がほとんどです。つまり,対策も「上気道閉塞の解除(前回の内容)+マスク保持の改善」,になります。

 ①に関して,前回ご紹介したさまざまな気道確保法やその理論は,マスク換気においても重要です。マスク換気の際の体位にはスニッフィングポジションというものがあり,口から気管までがなるべく一直線になる体位のことを指します。元になった理論にはいくつか種類・変遷がありますが,とりあえずは「枕を後頭部に置き,頭部を軽く後屈」が良いと考えてください。解剖学的には,下位頸椎は屈曲し,上位頸椎は伸展している状態です。外耳道と胸骨切痕をほぼ同じ高さにそろえることを目標に体位を調節すると記載しているものもあり1),硬めでそれなりの厚みのある枕(だいたい7~10 cm)を頭の後ろに置きましょう(図1a)。肥満患者さんの場合には背中に傾斜を作る必要があります(ランプポジションなどと呼ばれます,図1b)。気道確保のときに肩枕を入れているのをよく見かけますがこれは誤りで,下位頸椎も伸展してしまい逆に気道確保困難となるので注意しましょう。体位調整だけで上気道閉塞が改善しない場合に,経鼻・経口エアウェイを組み合わせてマスク換気を行うことも有効です。

 

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図1 マスク換気の際の体位
外耳道と胸骨切痕()の高さがそろうよう,患者の体格などを考慮して枕の高さや入れ方を工夫する。

 ICLSなどでも練習はしていると思いますが,それでもなかなか難しいのがマスク保持です。大原則として,「人手があるなら最初から二人法」でやってしまいましょう。マスク保持に専念する人...

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横浜市立みなと赤十字病院集中治療部/呼吸療法専門医

2015年神戸大卒。救急・麻酔の研鑽を積んだ後,22年より現職。救急科専門医,麻酔科認定医,集中治療科専門医,呼吸療法専門医。急性期の気道・呼吸・循環管理,Point-of-care Ultrasound(POCUS)等を専門としている。

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