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  • 看護・介護する人の腰痛ゼロをめざして 腰痛予防と緩和のためのセルフケア(8)鍼を用いた養生法によるセルフケア(野田 裕貴,関 恵子)

医学界新聞

看護・介護する人の腰痛ゼロをめざして 腰痛予防と緩和のためのセルフケア

連載 野田 裕貴,関 恵子

2025.03.11 医学界新聞:第3571号より

前回ご紹介したお灸を用いた養生法に引き続き,今回は鍼を用いた養生法をご紹介します。鍼はお灸と同様に腰背部の循環促進や緊張を解す効果があり,腰痛の予防と緩和にも有効です。鍼治療は痛いというイメージを抱かれがちですが,刺さない鍼も市販されており安心して使っていただけます。鍼灸師として鍼灸師養成校を中心に看護師養成校でも鍼の使い方を指導する野田先生(セイリン株式会社)に,鍼治療の作用機序と腰痛予防・効果が期待されるセルフケアについて解説していただきます。関からは本学で行っている刺さない鍼による養生法の演習での看護学生の声をご紹介します。

(関 恵子)

 鍼治療とは東洋医学に基づいた治療法で,身体にある治療点を鍼で刺激することにより身体機能を整え,痛みや自律神経の乱れといった種々の症状改善を図るものです1)。治療点とするツボ(経穴けいけつ)は東洋医学において気や血が流れる道筋と考えられている経絡けいらく上に存在しています。経穴を鍼で刺激することにより血管拡張と血流改善を促し,筋緊張の緩和や冷え性を改善させます。また,鍼治療が対象とする治療点はツボだけでなく,筋肉や皮膚の場合もあります。鍼が皮膚や筋肉を刺激すると,脳や脊髄でエンドルフィンやセロトニンの分泌が増加し,痛みの緩和や気分の安定といった神経調節作用効果が期待されます1)

 それでは腰痛予防・緩和のために重要な腰部筋緊張緩和と筋血流量改善が期待される手足のツボをご紹介します(図1)。セルフケアの対象としやすいツボなので,ぜひ試してみてください。

3571_0901.png
図1 腰痛に効く主なツボとその探し方

外関がいかん

 甲側の手首関節の中央から指3本分肘側に上がったところにあります。手首から指をなで上げて止まるところが目印です。

 脊柱起立筋群の炎症を鎮め可動域を広げるため,前屈時の腰痛に効果が期待できます2)

照海しょうかい

 足の内くるぶしの頂点から親指1本分下のくぼみ...

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セイリン株式会社

滋賀県立大学人間看護学部 講師

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