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  • 看護・介護する人の腰痛ゼロをめざして 腰痛予防と緩和のためのセルフケア(7)お灸を用いた養生法によるセルフケア(小泉 洋一,関 恵子)

医学界新聞

看護・介護する人の腰痛ゼロをめざして 腰痛予防と緩和のためのセルフケア

連載 小泉 洋一,関 恵子

2025.02.11 医学界新聞:第3570号より

今回から2回にわたりお灸と刺さない鍼による養生法をご紹介します。近年は若い世代やスポーツ選手にも人気があり,「未病治」という東洋医学的考えのもと,肩こりや頭痛,腰痛,月経痛,冷え症などの心身の不調に対して自己治癒力を高め整えたいと考え使用する人が増えています。お灸は腰痛予防・緩和に重要な腰背部の循環促進や緊張をほぐす効果があるだけでなく,気軽に実施できるのでセルフケア方法として有効です。本稿では,筆者の出身地滋賀県発祥のせんねん灸の販売元であるセネファ株式会社でお灸を用いたセルフケア支援を行う小泉先生から,お灸の使い方,ツボの探し方,明日から実践できるお灸を用いた養生法を,関からは本学で行っているお灸による養生法の演習での看護学生の声をご紹介します。

(関 恵子)

 お灸とは一般的にヨモギの葉から作られる「モグサ」を燃やし,その熱でツボを温める伝統的な治療法です。内臓やさまざまな臓器の活動による身体的状態と心理的状態が皮膚に反映されるポイントをツボ(経穴けいけつ)と言い,皮膚の触察から探し治療点として利用します。WHOでは骨や筋肉といった特徴を頼りに361か所のツボの位置を標準化しており(),押すと少し痛みを感じる圧痛点は比較的わかりやすい指標です。

 それでは腰痛に効く主なツボの位置をご紹介します。ツボは血行不良を起こしている箇所でもあるため,図1で示した位置を目安に軽く撫で,皮膚が弛緩して凹んでいるように感じられるところがツボとなります。その他にも,腰下肢の軟部組織損傷を来しやすい部位や神経走行部位にも腰痛に効くツボがあります。これらのツボは押すと健常者より高率に軽い痛み(圧痛)が出現します1)。指で軽く押すと気持ちよさや圧痛を感じるところを探しましょう。

3570_0801.png
図1 腰痛に効く主なツボとその探し方
それぞれのツボの探し方と温灸の実践については右記のリンクを参照ください。 築賓 腎兪 足三里

 ツボに対しては指圧やマッサージ,鍼を刺すことによる東洋医学的治療法があります。その中でも筆者は,ツボを温めると皮膚が温度を感受して生理反応が起こり,内臓機能の自律的な調節反応を活性化したり,血管拡張によって痛みを緩和したりするなど,温熱刺激特有の効果を引き出せることから,お灸を据えて温める「温灸おんきゅう」に着目しています。

 温灸はモグサを直接皮膚に据える直接灸とは異なり,皮膚からモグサを離して温める間接的なお灸です。スライスしたショウガなどの上にモグサ......

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