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面倒なタスクは任せてしまえ! Gen AI時代のタイパ・コスパ論文執筆術

連載 中島誉也

2024.10.11

AI技術の発展により,文献検索の方法が大きく変わってきています。従来のPubMedやGoogle Scholarだけでなく,AIを活用した新しいツールが次々と登場し,研究者の作業効率を飛躍的に向上させました。

しかしながら,連載第1回第2回でも触れたように,AIツールを文献検索に用いる場合においては,AIが生成する誤った情報(ハルシネーション)を避ける必要があり,情報の出典を明確に示してくれるツールの使用が大切です。そこで連載第3回,第4回の2回に分けて,特に注目されているPerplexity,Genspark,Elicit,Consensus,Connected Papersという5つのツールについて詳しく見ていきます。前編である今回は,Perplexity,Gensparkを取り扱います。

最新のトレンドや幅広い情報を収集するPerplexity

インターネット上から関連情報を収集し,要約して回答を引用付きで生成するAI検索エンジンです。「2024年の糖尿病治療の最新トレンドは?」といった医学研究のトレンドを把握したい場合や,概要的な情報収集をしたい場合に有用です。

特徴
●学術論文だけでなく,最新のニュースや専門家の意見なども含めた幅広い情報を提供
●質問に対して引用付きの回答を生成
● 追加質問が可能で,対話的に情報を深掘りできる

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図1 Perplexityによる検索画面の一例
「2024年の糖尿病治療の最新トレンドは?」という質問に対して,学術論文の内容だけでなく,最新のニュース記事や専門家のコメントも含めた包括的な回答を得ることができる。

便利な機能:Chrome拡張機能があり,ブラウザの検索窓からPerplexityを直接使用できます。また質問文の冒頭に(Pubmed)や(nejm)などと記載することで,特定の出典からの情報に絞れます。

補足:Perplexityは基本的に無料で使用できますが,有料版(Pro)ではより高度な機能が利用可能になります。Pro版の主な特徴は,①GPT-4やClaude 3 Opusなど高性能AIモデルの使用,②1日当たりのクエリ数増加,③PDFや画像のアップロード・分析機能の追加,④カスタムプロンプトの保存・再利用,⑤AI画像生成(ただし現状では機能に制限あり)の利用です。まず無料版を試してみて,有用性を感じた場合はPro版に変更してみることを個人的には勧めます。高度なAIモデルやPDF分析機能は研究・業務に役立つ可能性が高いものの,ChatGPTなどのGen AIに既に課金されている場合は,これらの機能が不要だと感じる方もいると思います。

複雑なテーマを多角的に分析するGenspark

Perplexityと同様に,AIを活用した次世代の検索エンジンです。ユーザーに最適化された情報を提供することを目的としています。広範囲にわたる複雑な研究トピックを調査する際に有効です。例えば「COVID-19がメンタルヘルスに与える長期的影響」という質問を入力すると,「COV...

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長崎大学病院麻酔科 修練医1年目

長崎大医学部医学科在籍時代から医療AIや臨床研究に興味を持ち,ベンチャー企業でのインターンや複数の臨床研究を手掛けてきた。2022年に同大を卒業。現在は麻酔・集中治療分野の大学院や国内外のデータベースを用いた臨床研究を行いつつ,麻酔科医として臨床業務にも携わっている。
X ID:@naka_takaya

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