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[第4回]喉の痛みに効く(感じがしやすい)! 桔梗湯を活用した簡単漢方うがい術
<<ジェネラリストBOOKS>>『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』より
連載 岸田直樹
2025.04.24
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』は,毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めた一冊です。問診,診察,検査,治療・処方に留まらず,コミュニケーション,患者(家族)説明,マネジメント,看取り,研究・論文・学会で使える125ものスキルを紹介しています。
「医学界新聞プラス」では本書のうち,厳選した5つのハック「頭頚部の診察スキル」「予防接種時の診察スキル」「尿試験紙を使った検査スキル」「桔梗湯の処方スキル」「患者さんの話がなかなか終わらないときの対応」をご紹介します。
喉の痛みってホントに不快です。そんなとき,即効性を感じられる方法として漢方薬「桔梗湯」を使ったうがい法が効果的です。桔梗湯は,鎮痛作用や消炎作用があり,古くから喉の痛みに利用されてきた漢方薬ですが,より効率的に効果を引き出す方法として,「薬でうがいしてそのまま飲み込む」やり方が効果的です。喉への直接的なアプローチを目的にしたこの方法は,自宅でも簡単にできる方法としておススメです。
どんな診療ハックスキル?
桔梗湯を使った「うがい+飲み込み」のダブル効果を期待。喉の痛みが気になる患者さんに簡単に指導でき,効果を実感しやすい。
用意するもの・準備するもの
・桔梗湯(漢方薬)
・ぬるま湯
・おちょこや小さなコップ
実際の方法
①桔梗湯を用意する
桔梗湯は医療機関だけではなく,市販でも購入可能です。桔梗湯には桔梗と甘草が含まれており,喉の炎症を鎮める効果が期待できます。
②ぬるま湯で溶かす
おちょこや小さなコップにぬるま湯(約40℃)を注ぎます。桔梗湯を入れて溶かし,粉末がよく混ざるように軽くかき混ぜます。ぬるま湯に溶かすことで,薬の溶解度が高まり(溶けやすい),成分がより喉の粘膜に浸透しやすくなります。
③うがいをして飲み込む
溶かした桔梗湯を口に含み,「ガラガラ」とうがいをしてからゆっくり飲み込みます。このうがいを行うことで,成分が喉の粘膜に直接触れ,即効性を感じやすくなります。うがいの後に薬を飲み込むことで,炎症を鎮める成分が咽頭に長くとどまり,効果が持続する感覚を得られます。
◎ この方法を知った背景
漢方薬は,長期間服用することで効果が出るものがありますが,飲んですぐに効果が出るものも一定数あります。特に,飲んだ瞬間からよくなるものがいくつかあり,たとえば鼻水に使用する小青竜湯は飲んだ瞬間に止まることで有名です。これは,小青竜湯に入っている五味子という成分がとてもすっぱいためです。つまり,飲んですっぱいと感じ,交感神経が優位となり止まるというメカニズムといわれます(特にアレルギーの場合)。同じように,桔梗湯によるこの方法は古くからある民間療法の一環で,喉の痛みが特に気になる患者さんに試してもらうことで,その即効性に驚かれるケースが多いです。西洋医学のうがい薬とは異なり,桔梗湯は喉の炎症を抑える働きがあるため,その直接効果も加わり,うがい後の飲み込みがよいと考えられます。
◎ エビデンスと実践時の注意点
桔梗湯に含まれる桔梗と甘草は,咽頭の炎症軽減や鎮咳作用をもつとされ,喉の痛みが軽減される効果があります。さらに甘草には消炎作用があるため,喉の痛みを伴う風邪の症状に適用されることが多いです。ただし,甘草の長期使用により偽アルドステロン症などの副作用が出る場合があるため,長期間の使用はできるだけ避け,必要な場合はカリウムのチェックを忘れないようにしましょう。
◎ 実践の手ごたえ
この方法を実践することで,喉の痛みが軽減することが実感されています。特に,喉の痛みが強いときや声を多く使う仕事の方に勧めると,翌日には症状が和らいだと報告を受けることが多く,簡単ながら効果的な方法です。うがいそれ自体による効いた感じも出やすく,プラセボ効果を最大限に出しているところもあると感じます。
☞うがい後にそのまま飲み込むことで,うがい自体の効果も加わり,さらに喉への鎮静効果が持続しやすく感じる。
☞甘草が入っているため,長期使用には注意が必要。
桔梗湯を活用した簡単なセルフケア法として,この「うがい+飲み込み」を活用することで,喉の痛みや炎症に即効性を感じられることが期待できます。西洋薬が好きな方は,アズノールⓇうがい液によるうがい(飲み込まない)がおススメです。市販薬にもあります。
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました。診療前の準備、問診のポイント、診察のワザ、検査のコツ、治療・処方のコツ、看取り時の心得、患者(家族)への説明の仕方、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなど、ここでしか読めない「臨床の知恵」が満載です。本書を読めば、その悩みが解決するかもしれません。
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