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『予後予測って結局どう勉強するのが正解なんですか?』より

連載 竹林崇

2026.01.26

限られた時間の中で最適なリハビリテーションを対象者に届けるために,「予後予測」の視点はセラピストにとって欠かすことのできない実践知です。『予後予測って結局どう勉強するのが正解なんですか?』では,漫画や会話形式による導入から,臨床現場のエピソードも織り交ぜながらの解説が展開されることで,初学者でもスムーズに予後予測を学ぶことができます。予後予測について学んでみたいものの難しそうでなかなか食指が伸びない……という方におすすめできる一冊です。

「医学界新聞プラス」では,本書の3つのChapter「予後を予測する意味ってなんだろう?」「予後予測に関する統計用語が難しい」「予後予測を行うために文献の検索や使いかたに慣れておこう」より内容を一部ご紹介します。

Lesson 1 予後予測に関する論文を読むために何から始めればよいだろう?

Example Image 高尾さんは、予後予測の本や論文を読むときに、統計についてはどこから手をつけたんですか?
Example Image まずは、用語の意味を徹底的に調べることから始めたかな。
Example Image 確かに…出てくる単語がわからなさすぎて、まずは文章を読み進めるのが大変ですもんね。
Example Image 英語も単語や熟語がわからなければ、ぜったい読めないでしょ。そういうもんだよ。
Example Image まずは統計の専門用語をしっかり理解することが大事なんですね。
Example Image 当然! 用語を調べようと思ったら、統計関連の書籍を買ってもいいし、なんなら、スマホでサクサク検索してみれば、いろいろなサイトで解説されてるよ。
Example Image でも学生時代の臨床実習で、ネットで調べた情報を載せたら、指導者から、不正確だから載せたらダメだって、叱られたことがあるんですけど…。
Example Image 俺もネットの情報がなんでもよいとは思ってないよ。特に、個人のブログだと情報の収集元が記載されていないものもたくさんある。そういった情報は不正確だし、怖いよね。
Example Image じゃあ、やっぱり、ネットの情報は信じてはいけないのでは?
Example Image いやいや。それをある程度、見極めるコツがあるんだ。
Example Image そうなんですか! それ、私も興味があります!
Example Image 俺も先生から教えてもらったんだけどね(笑)。最初に見るのは、その情報を発信しているサイトを運営している団体かな。たとえば、脳卒中に関わる知見なら脳卒中学会と関連する学会のホームページで発信されているもの。リハビリテーションに関するものなら、リハビリテーション医学会、理学療法士協会、作業療法士協会、言語聴覚士協会などの職能団体が出している情報なら、一般の医療機関や個人が発信している情報に比べると、情報の吟味がなされているはずなので、参考にしやすいでしょ(図1)?
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図1│日本理学療法学会連合が構築しているEBPT用語集
このページは、作成者や作成にあたって引用された文献も明記されており、多くの統計用語を簡便に調べることができる。
Example Image その団体の信頼性によって、情報の信憑性も上がりますよね。確かに、学会や協会の発信なら、内容も吟味されているはずですもんね。
Example Image そうだね。だから、まずはそういった団体のホームページや出版物を探してみるといいよ。
Example Image じゃあ、個人が書いているブログやSNSの情報はどうですか? 最近、SNSでも情報が溢れている気がします。
Example Image 最近めちゃくちゃ増えたよね。ブログだけじゃなく、XなどのSNSでも乱立してるよね。
Example Image 私もSNSで流れてくるとブクマしてしまいます。でも、ブクマするだけして、忘れてしまって、見返すことあまりないんですけどね…。
(Lesson1の続きは書籍をご覧ください)

解説 情報を鵜呑みにせず、疑ってかかる癖をつけよう

1 インターネット情報の簡易な吟味の仕かた

 インターネットの普及により、流通する情報が爆発的に増えた昨今、情報を受け取る側には情報の正確性を評価し、利用する情報を選択することが求められています。

 大多数の人はいつも、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにキーワードを入力し、情報を検索していると思います。たとえば、「脳卒中 リハビリテーション」といったキーワードを入力すると、上から順にそれらのキーワードに紐づいた情報が提示されます。表示される順番としては、スポンサーサイトがまず上位に示され、その後に検索エンジンのルールに最適化(Search engine optimization;SEO)されたサイトが順に表示されます。これは単純に、検索サイトが優良であると判断した順に表示されているだけで、サイトの内容について医療専門家が正確で良好なサイトであると評価をしていても、検索順位が上がるわけではありません。

 しかしながら、情報検索する多くの人が、上位に表示されたサイトを見ているという研究結果があります。たとえば、2017年度にGoogleにてなんらかのキーワード検索を行った方の約20%が最も上位に示されたサイトを見ています。ただし、2番目に表示されたサイトになると、訪問率は約半分の10%あまりとなり、多くの方々が情報の正確さ云々よりも検索順に情報を閲覧していることがわかります(図2)。

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図2│Google検索順位別クリック率(2017年度)
(Announcing: 2017 Google Search Click Through Rate Studyのデータを参考に作成)

 したがって、情報の正確性について、情報を受ける側が吟味する力をつけ、サイトの正確性を独自で評価し、それらを慎重に用いなくてはいけません。それでは、どういったところに注意すればよいのでしょうか。坂本ら 1) は、情報を吟味する際の「だ・い・じ・か・な」リスト(表1)を提案しています。これらを念頭に置いたうえで、ネット上の情報を有効活用することが重要になります。

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表1│情報が正しいかを判断するためのチェックリスト
〔坂本 旬,他(編):メディアリテラシー─吟味思考を育む.時事通信社,2021より〕

(解説の続きは書籍をご覧ください)

 

「予後予測」を通して学びを深める。臨床への自信につながる。

<内容紹介>
限られた時間の中で、最適なリハビリテーションを対象者に届けるために──療法士にとって「予後予測」の視点は、欠かすことのできない実践知といえる。本書は、漫画や会話形式による導入から、臨床現場のエピソードも織り交ぜつつ解説を施すことで、初学者もスムーズに学びが深まる構成に。著者の前著『 臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』と併せて読むことで、予後予測の理解と活用の幅を広げることができる。

目次はこちらから

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