予後予測って結局どう勉強するのが正解なんですか?
「予後予測」を通して学びを深める。臨床への自信につながる。
もっと見る
限られた時間の中で、最適なリハビリテーションを対象者に届けるために──療法士にとって「予後予測」の視点は、欠かすことのできない実践知といえる。本書は、漫画や会話形式による導入から、臨床現場のエピソードも織り交ぜつつ解説を施すことで、初学者もスムーズに学びが深まる構成に。著者の前著『臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』と併せて読むことで、予後予測の理解と活用の幅を広げることができる。
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
序文
開く
はじめに
2023年4月に前著『PT・OT・STのための臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』を出版させていただきました。前著の執筆に至ったのは、大学病院勤務時代の臨床経験のなかで、目の前の患者さんの今後を見通せないままリハビリを始めてしまっていたことへの葛藤があったからです。
どのような疾患や病態であっても、「この人は今後どういう経過をたどるのか」という問いは常にリハビリの現場につきまといます。こうした問いに答えを持たないまま、漫然とリハビリを行うことに対し、私は大きな疑問を感じてきました。リハビリは人生に関わる支援だからこそ、限られた時間のなかで適切な対応を行うために、“予後予測〞の視点は不可欠と考えます。
しかし、いざ予後予測をテーマとした書籍をまとめようとすると想像以上の難しさがありました。医学研究の蓄積をレビューせざるを得ない以上、エビデンスの構造や統計に関する理解は避けて通れません。さらには、原著論文の意味を歪めないように努めるがあまり、文体がどうしても硬くなり、読者の皆さんにとって読みづらい印象が生じたことも否めませんでした。
実際、前著の出版後に寄せられた感想を拝見すると、「内容が難しく感じた」「統計の基礎知識がないと読み進められなかった」といった声も少なくありませんでした。今回、そのような声に、私は真正面から向き合うことにしました。どうして硬い文章になってしまうのか、そして、それらを読み解く意味、また統計に関する用語について、いま一度わかりやすくまとめる必要性を痛感したからです。
以前と比べ、本をじっくり読む時間を確保することは難しい時代といわれます。情報過多がゆえに、SNSや動画といった瞬時に情報を得られるメディアが身近になった今、より効率的に、そして、継続的に予後予測に関する勉強を進めるためには何が必要か本書を通じ、皆さんに伝えたいと思います。
本書を読むことによって、ひいては前著『PT・OT・STのための臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた』のさらなる理解へつながるだけでなく、より発展的な予後予測の勉強の方法が身に付くことを期待しています。
2025年9月
竹林 崇
目次
開く
登場人物紹介
Chapter 1 予後予測の解説へ進む前に
Lesson 1 医学論文や医学書が難しく感じる本当の理由
解説 アカデミックライティングがいつか君の武器になる
Chapter 2 予後を予測する意味ってなんだろう?
Lesson 1 四の五の言わず、まずは予後予測をやってみよう
解説 目標設定とEBPについて知っておこう
Lesson 2 予後予測の最大の目的は結果を対象者に伝えること?
解説 予後予測は伝えかた次第で希望にも絶望にもなる
Lesson 3 予後予測を行うのは自身の臨床の質を保つため?
解説 具体的な予後予測法を学んでみよう
Lesson 4 予後予測はひとつの方法だけ使えば大丈夫?
解説 エビデンスがあっても、目の前の対象者に当てはまるとは限らない
Chapter 3 予後予測に関する統計用語が難しい
Lesson 1 予後予測に関する論文を読むために何から始めればよいだろう?
解説 情報を鵜吞みにせず、疑ってかかる癖をつけよう
Lesson 2 医学論文を読むために知っておいたほうがよい用語って何だろう
解説 基本的な記述統計用語と推測統計用語を確認してみよう
Lesson 3 医学論文を理解するための統計や分析の専門用語を学びたい
解説 統計や分析の専門用語を一緒に確認してみよう
Chapter 4 実際に先輩たちは論文などで得た知識を臨床でどのように活かしているのか
Lesson 1 予後予測セミナーに参加してみよう
Chapter 5 予後予測を行うために文献の検索や使いかたに慣れておこう
Lesson 1 日本語の論文の探しかたが知りたい
解説 医中誌Web以外のデータベースも使ってみよう
Lesson 2 英語の論文検索にも挑戦してみたい
解説 PubMed以外のデータベースも使ってみよう
Lesson 3 AIは文献検索にも使えるの?
解説 AIを使って効率よく文献検索をしよう
Lesson 4 なんとしてでも英語論文に挑戦してみたい
解説 英語論文を読み解くためにテクノロジーを最大限活用しよう
Epilogue 未来を創るのは今の自分
解説 自分に納得して働くということ
あれから1年
索引
文献一覧