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PT・OT・STのための
臨床5年目までに知っておきたい予後予測の考えかた

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PT・OT・STにとって臨床場面で欠かすことのできない重要テーマ「予後予測」。ともすると自身や先輩療法士の経験則に頼りがちなケースも多いなか、本書は、脳血管疾患はもちろん、全身各疾患や障害の予後予測について、これまでの予後予測研究から得られたデータや知識をもとに導き出された数多くの方法を収載している。アウトカムの測定能力やリハビリテーションスキルを1段階上げ、自信を持って予後を予測するための1冊。

編集 竹林 崇
発行 2023年04月判型:B5頁:320
ISBN 978-4-260-04961-0
定価 4,950円 (本体4,500円+税)

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  • 目次

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 私が臨床に出たての頃を思い返してみると,学生時代の臨床実習を経て作業療法士免許を取得し,まず卒後4月から大学病院へと配属となった.初期研修も終わり,日々業務を覚えるなかで,担当する対象者も徐々に増えていった.対象者の皆様はさまざまな疾患を有していて,障害の部位も種類も多岐にわたる.個人情報,現病歴,既往歴,検査データを確認し,対象者の病床に赴く.評価を進めていくと,多様な病態が少しずつ明らかになってくる.そのなかで,「この対象者の方の手は,脚は,認知機能は,これから自分たちが行うリハビリテーションプログラムによって,将来的にどの程度改善するのだろう?」といった疑問や不安を常に抱いていた.
 経験が浅い臨床5年目前後の療法士にとって,眼前の対象者の疾患や障害の改善の程度を正確に予測することは難しい.したがって,多くの療法士は,自分よりも経験を重ねているベテラン療法士の意見を仰ぐことになる.ところが,ベテラン療法士の意見も感覚に依るところが大きく,記憶違いや印象の上書きなどもあり,正確とは言いがたい.
 そこで,われわれ療法士が参考にすべきものとして,予後予測研究が挙げられる.これは,過去の臨床研究のデータを分析し,リハビリテーションを実施するなかで,さまざまな機能障害が自然回復を含めて,どのような経過を辿るのかについて調査した研究を指す.これらの研究から得られる知識は,リハビリテーション実施における暗闇を照らすライト,もしくは地図の役割を担ってくれる.
 予後予測の知識を臨床で活用するためには,まず,過去の研究で用いられたアウトカム(評価・検査)を正確に測定する必要がある.そして,そのアウトカムを手掛かりとして,眼前の対象者がどの程度の機能改善が見込めるか確認することができる.これまでの予後予測研究の多くは,過去のデータを通した未来の可能性を示すにとどまっている.対象者の予後を正確に指し示すこともあれば,一方で大きく外れることもある.自分の予測結果を上回ろうが下回ろうが,予測が外れた原因を考えることで,自身の介入の長所や短所に気づくこともあり,予後予測を行うことで自身のスキルの向上へとつなげることができる.また,たとえ予後不良といった結果が出たときでも,その時点で諦めるのは早計である.予後予測の対象となった疾患や障害の問題を細かく追究し,過去の研究では行われてこなかったような工夫を施してみることで,予想を大きく超える回復曲線を描くといったようなイノベーションを起こせることもあるのではないだろうか.
 試行錯誤しながら予後の予測を行い,同時に,その過程で自身のリハビリテーションにおける思考能力を磨き上げていくことこそ,療法士として成長していくために何より重要と考える.本書は,疾患や障害に対するアウトカム,そして予後予測の方法を数多く収載している.5年目前後の新人療法士,もしくは療法士を志す学生の皆様が予後予測を行う際の一助として活用いただければ編者にとって望外の幸せである.

 2023年3月
 竹林 崇

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第1章 予後予測プレビュー
  1 予後予測の重要性
  2 予後予測に用いられる研究デザイン
  3 臨床での予後予測研究の活かしかた

第2章 全身管理における機能予後予測
 A 脳血管疾患
  1 脳血管疾患全般の生命予後
  2 医学的治療と予後
  3 合併症と予後
  4 発症および再発に関する危険因子と予防的介入
 B 脊椎・脊髄疾患
  1 疫学と生命予後における予後予測
  2 合併症における予後予測と予防
 C 神経筋疾患
  1 パーキンソン病
  2 筋萎縮性側索硬化症
  3 その他の神経筋疾患
 D 循環器疾患
  1 生命予後
  2 医学的治療と予後
  3 予防と予後
 E 呼吸器疾患
  1 生命予後
  2 医学的治療と予後
  3 合併症と予後
  4 予防と予後
 F がん
  1 生命予後
  2 医学的治療と予後
  3 合併症と予後
  4 予防と予後
 G 認知症
  1 生命予後に影響する因子
  2 医学的治療と予後
  3 合併症と予後
  4 予防と予後

第3章 上肢機能の予後予測
 A 脳血管疾患
  1 上肢機能のアウトカム
  2 ICFにおける機能レベルの予後予測
  3 ICFにおける活動レベルの予後予測
  4 ICFにおける参加レベルの予後予測
 B 脊椎・脊髄疾患
  1 上肢機能のアウトカム
  2 上肢機能の予後予測
 C 神経筋疾患
  1 パーキンソン病
  2 筋萎縮性側索硬化症
  3 脊髄小脳変性症
  4 ギラン・バレー症候群
 D 脳性麻痺
  1 上肢機能のアウトカム
  2 上肢機能の予後予測
 E 手外科
  1 上肢機能のアウトカム
  2 手外科疾患に関する予後予測因子

第4章 ADLの機能予後予測
 A 代表的なADLのアウトカム
 B 脳血管疾患
  1 ADLに影響を与える予後予測因子
  2 ADLを構成する各活動の予測
  3 退院時ADLおよび退院先の予測
 C 脊椎・脊髄疾患
  1 脊髄損傷特有のADLの測定評価
  2 ADLに影響を与える予後予測因子
 D 神経筋疾患
  1 ADLに影響を与える予後予測因子
 E 心疾患・呼吸器疾患
  1 ADLに影響を与える予後予測因子:心疾患
  2 ADLに影響を与える予後予測因子:呼吸器疾患
 F がん
  1 ADLに影響を与える予後予測因子
 G 認知症
  1 ADLに影響を与える予後予測因子

第5章 下肢歩行機能の予後予測
 A 脳血管疾患
  1 下肢機能のアウトカム
  2 下肢の機能レベルにおける予後予測
  3 下肢の活動レベルにおける予後予測
  4 歩行機能のアウトカム
  5 時期別の歩行機能の予後予測
 B 脊椎・脊髄疾患
  1 歩行機能のアウトカム
  2 時期別の予後予測
  3 頸椎症性脊髄症の予後予測
 C 整形・運動器疾患
  1 歩行機能のアウトカム
  2 下肢機能のアウトカム
  3 下肢機能・歩行能力の予後予測
 D 神経筋疾患
  1 パーキンソン病における歩行機能のアウトカムと予後予測
  2 多発性硬化症における歩行機能のアウトカムと予後予測
  3 ギラン・バレー症候群における歩行機能のアウトカムと予後予測
 E 循環器疾患
  1 下肢機能のアウトカム
  2 機能レベルの予後予測
  3 歩行機能のアウトカム
  4 時期別の予後予測
 F 呼吸器疾患
  1 時期別の予後予測
 G がん
  1 歩行機能のアウトカム
  2 歩行機能の予後予測
 H 認知症
  1 下肢機能・歩行能力のアウトカム
  2 経過と予後予測

第6章 高次脳機能の予後予測
 A 脳血管疾患
  1 半側空間無視
  2 失行
  3 Pusher現象
 B 頭部外傷
 C パーキンソン病
 D 認知症

第7章 脳画像や生理学的指標を用いた予後予測
 A 脳血管疾患──画像(形態)から得られる指標を用いた予後予測
  1 CT
  2 MRI
  3 DTI/DTT
 B 脳血管疾患──電気生理学的指標を用いた予後予測
  1 脳波
  2 経頭蓋磁気刺激(運動誘発電位)
 C 脳血管疾患──循環代謝指標から得られる指標を用いた予後予測
  1 機能的磁気共鳴画像(fMRI)
  2 機能的近赤外分光法(fNIRS)
  3 陽電子放射断層撮影(PET)/単光子放出コンピュータ断層撮像(SPECT)
 D 認知症
  1 CT
  2 MRI
 E その他の疾患
  1 頸椎症性脊髄症のMRIからみた予後予測
  2 COPD・間質性肺炎の形態からみた予後予測
  3 心不全の胸部単純X線像からみた予後予測

索引

 

 

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