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Dr.いっしーの聴診レッスン

連載 石井大太

2026.07.03

第2回第3回では,基礎編として心臓聴診における重要な評価ポイントを学んできました。今回はそれらの知識を総動員する実践編です! Dr.いっしーと研修医あや先生の会話をもとに症例を読み解きながら,聴診の手順を一緒に身につけていきましょう。

CASE
[患者]90歳,男性
[主訴]呼吸困難,体重増加
[現病歴]介護施設に入所中の高齢男性。受診3日前から夜間就寝中に呼吸困難を自覚するようになった。 呼吸困難は座位で改善した。受診前日に介護施設の職員がSpO2を測定したところ, 室内気で86%まで低下しており,施設医の紹介により受診した。3週間前まで60 kgであった体重が受診時65 kgまで増加していた。
[既往歴]前立腺肥大症,陳旧性心筋梗塞, 誤嚥性肺炎, 慢性閉塞性肺疾患。
[常用薬]ラベプラゾール,バイアスピリン®,デュタステリド,シロドシン, カルボシステイン,ビランテロール・フルチカゾン吸入
[生活歴]ADL:自立。介護施設入所中。
[バイタルサイン]体温36.7℃,血圧145/89mmHg,心拍数62回/分,呼吸数18回/分,SpO2 94%(室内気)。

Q.あなたはこの患者さんの身体診察をすることになりました。心臓聴診の動画を参照して,所見を拾い上げ,評価してください。

動画 心臓の聴診
動画では心尖部から心基部に向かって聴診しています。

Ⅰ音,Ⅱ音の評価

 :Dr.いっしー
A :研修医あや先生

 ではあや先生,心臓聴診のアセスメントをしてみよう。

A 収縮期雑音が聴こえます!

 焦らず基本に則って,まずはⅠ音,Ⅱ音の同定からしてみよう。

A そうでした! 心尖部では辛うじてⅠ音とⅡ音が聴こえます(動画 00:27~00:43)。心基部では雑音に紛れてⅠ音はほとんど聴こえないと思います。

 そうだね。分裂そして亢進減弱はどうかな?

A う~ん。分裂は呼気,吸気ともにないと思います。亢進減弱は…ちょっと難しいです。

 心尖部ではⅠ音,Ⅱ音ともに聴こえているけど,音の大きさに明確な違いはなさそうだね。心基部ではⅡ音しか聴こえず,亢進・減弱の判断はinching techniqueだけでは難しそうだ(第2回参照)。でも,本来なら心尖部から心基部にかけてⅡ音はどんどん大きくなるはずが,この方ではほとんど音量が変化していない(動画 00:27~02:37)。さらに心基部でもⅡ音がとても小さく聴こえるたから,もしかしたらⅡ音の減弱があるのかもしれない(動画 01:58~02:37)。

A 難しいですね。

 こう...

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聖マリアンナ医科大学総合診療内科

2019年聖マリアンナ医大卒。大船中央病院にて初期研修の後,浦添総合病院病院総合内科にて後期研修を修了。24年より現職。同大の専門教育科目である診断学シリーズで講義を担当し,動画コンテンツを活用した身体診察の教育に携わる。編書に『フィジカル大全ーー読んで,見て,聴いて,身体診察を完全マスター』(医学書院)。