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Dr.いっしーの聴診レッスン

連載 石井大太

2026.06.05

前回は,心尖拍動の診察や基本となる心音(Ⅰ音・Ⅱ音)の評価について学習しました。今回はさらに一歩踏み込んで,過剰心音であるⅢ音・Ⅳ音,また心雑音の聴診を深掘りします。まずは次の質問について考えてみてください。

それではメカニズムも絡めながら整理して,心音を聴診する力をさらにレベルアップさせていきましょう!

Q1.Ⅲ音・Ⅳ音はそれぞれどのように発生する?

A. 左房からの血流が左室の壁にぶつかった時に発生する

Ⅲ音・Ⅳ音はⅠ音・Ⅱ音とは異なり,弁が閉鎖する音ではありません。まずⅢ音(S3)は図1に示す通り,大動脈弁が閉鎖し,僧帽弁が開放した直後の拡張早期,つまり左房からの血流が左室の壁にぶつかった時に聴取できます。
スポーツなどをしている若年男性では,左室の弛緩性が高く,生理的にⅢ音を聴取することがあります。一方で,40歳以上の成人でⅢ音を聴取する場合は,うっ血や重症僧帽弁閉鎖不全症など,左房から左室への血流が増加する病態がある可能性が高いです。

Ⅳ音(S4)はⅢ音と同じく,左房からの血流が左室壁にぶつかることで発生しますが,メカニズムとタイミングがⅢ音とは異なります。Ⅳ音は,左室の拡張能(コンプライアンス)が著しく低下しており,拡張早期に十分に血液を左房から引き出せない際に,拡張末期の左房収縮によって左房内に残留していた血液が一気に左室に送り込まれることで発生する音です。そのため図1に示す通り,僧帽弁が閉鎖する直前の拡張末期に聴取できます。Ⅳ音を聴取する疾患としては肥大型心筋症や拡張型心筋症,陳旧性心筋梗塞などが挙げられます。

心周期図.png
図1 心周期と過剰心音のタイミング

なお,Ⅲ音・Ⅳ音を聴診するためには,以下の4原則を知っておきましょう。

①音質はきわめて低調
②心尖部でしか聴取できない
③ベル型でしか聴取できない(
④左側臥位でよく聴こえる

過剰心音の評価ができたら,次は心雑音の評価に進みます。

Q2.大動脈弁狭窄症による収縮中期雑音と,僧帽弁閉鎖不全症による全収縮期雑音はどう聴き分ける?🔊

A. Ⅰ音・Ⅱ音が明瞭に聴こえるか,また放散部位の違いで聴き分ける

解説に進む前に,心雑音を聴取する際の評価ポイントをおさらいしましょう。

❶音量
❷タイミング(収縮期か拡張期か連続性か)
❸雑音の持続時間
➍最強点の場所,放散の部位

まず❶についてですが,音量の評価にはLevine分類1)を用います。 Levine分類で音量を評価することにより,病状の重症度を推測できることがあります。...

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聖マリアンナ医科大学総合診療内科

2019年聖マリアンナ医大卒。大船中央病院にて初期研修の後,浦添総合病院病院総合内科にて後期研修を修了。24年より現職。同大の専門教育科目である診断学シリーズで講義を担当し,動画コンテンツを活用した身体診察の教育に携わる。編書に『フィジカル大全ー読んで,見て,聴いて,身体診察を完全マスター』(医学書院)。

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