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写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編

連載 間宮直子

2026.08.05

Example ImageWOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
Example Image一緒に学習する臨床3年目看護師のさくらです。私が所属する病院にはWOCNはおらず,学生時代に学んだ方法や,代々引き継がれてきた病院独自の方法で皮膚・排泄ケアを行っています。患者さんのことを想うと,本当にこの方法で正しいのか自信がありません……。
 

Example Image各ストーマの違いについて,消化管ストーマであれば病変部位によってコロストミーやイレオストミーと名前が異なることや,尿路ストーマ(ウロストミー)であれば回腸導管や尿管皮膚瘻などの種類があることを学んできました。ただ,装具交換で皮膚の発赤があると,ケア方法をどのように改善すればよいのかいつも悩みます。
Example Imageストーマ周囲の皮膚障害ですか……。確かに悩むことが多いですよね。
ただ,皮膚の発赤部位がどの位置にあって,何と一致するかを考えれば,ケアの改善方法がわかり,重症化を予防しやすいと考えます。
ここでは,ストーマ周囲の皮膚障害を一緒に考えてみましょう。
 
Example Image皮膚障害の原因を考えるためには,まず皮膚障害が「どこにあるのか」を共通の方法で評価する必要があります。ストーマ周囲皮膚は3つの部位に区分して考えます(図1)。また,原因を考えるには装具の名称も知っておくことが大切です。装具には単品系・二品系,消化管ストーマ用と尿路系ストーマ用などがありますが,基本的な名称(面板,ストーマ袋など)は共通です(図2)。
 

 

 

Example Imageまた,ストーマ周囲の皮膚障害は,頭側を12時として時計方向で表示します。
例えば,「3時~6時方向の近接部に発赤あり」「4時~7時方向の皮膚保護剤部を中心にびらんあり」などと記載します。
 

問題 : 面板ストーマ孔の大きさが不適切で生じた皮膚障害はどれ?

Example Imageストーマ周囲の皮膚障害が並んでいます。皮膚保護剤の面板ストーマ孔のカット方法が不適切だったために生じた皮膚障害はどれでしょうか。
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解説

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① 皮膚保護剤部に発赤があるイレオストミー

× 
皮膚保護剤のアレルギーが原因です

発赤がストーマ近接部だけでなく,皮膚保護剤が接触していた範囲に一致して広がっているため,排泄物による刺激ではなく,皮膚保護剤によるアレルギー性接触皮膚炎が考えられます。悪化すると,かゆみ,水疱,びらんを生じ,装具が密着しにくくなります。

必要なケア:原因となる皮膚保護剤の使用を中止し,成分の異なる製品に変更します。必要に応じて皮膚科へ相談し,パッチテストや外用薬による治療を検討します。
この症例はアルコール綿花で皮膚を清拭していたので,それを中止することで改善しました。

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② 皮膚保護剤部の外縁と皮膚保護剤外部に発赤があるウロストミー

× 
外縁を固定しているテープによる刺激が原因です

発赤が面板中央ではなく,周囲補強テープが接触していた外縁部に一致しているため,テープ成分によるアレルギー,または剥離時に繰り返される物理的刺激も原因として考えられます。補強テープを使用しない,または材質の異なる製品へ変更します。

必要なケア:装具を剥がす際は,粘着剥離剤を使用し,皮膚を押さえながらゆっくり剥がして,皮膚への負担を軽減します。また装具を貼るときに皮膚被膜剤を使用して,剥離刺激を軽減する方法もあります。

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③ 近接部から皮膚保護剤外部まで広範囲にびらんがあるイレオストミー

×
排泄物の頻回の漏れによる物理的・化学的刺激が原因です

びらんがストーマ近接部から皮膚保護剤外部まで広がっているため,排泄物が装具の下へ繰り返し漏れ,すでにバリア機能が低下した皮膚へ広範囲に付着したと考えられます。
特にイレオストミーの排泄物は消化酵素を含み,皮膚への刺激が強いため,びらんや出血,強い疼痛へ進行する可能性があります。すなわち,皮膚を擦る物理的刺激と便が付着する化学的刺激の混合複合によるトラブルです。この症例は6時~8時方向の漏れが特に多かったことがわかります。

必要なケア:ストーマの高さ,腹壁のしわ,装具の溶解状態を確認し,凸面装具や補高リングを用いて密着性を高めて漏れを防ぎます。

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④ ストーマ近接部にびらん・潰瘍があるイレオストミー


面板ストーマ孔の穴が大きすぎるために生じた排泄物の長時間付着によるトラブルです

びらん・浅い潰瘍がストーマの基部を取り囲むように近接部へ限局しているため,面板ストーマ孔が大きく,面板で覆われていない皮膚へ排泄物が常に付着していたことが考えられます(写真)。刺激性の強い排泄物では、びらんが拡大・潰瘍レベルへ進行しやすく、疼痛や出血、装具の密着不良を引き起こします。

必要なケア:ストーマ径を測定し,面板ストーマ孔をストーマ基部より1~2mm程度大きく調整します。小さすぎると粘膜を圧迫し,大きすぎるとこのような皮膚障害が生じやすくなります。粉状皮膚保護剤や用手成形皮膚保護剤などを使って隙間を補うことも有効です。

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写真 面板ストーマ孔と皮膚障害の大きさが一致

答え: ④ストーマ近接部にびらん・潰瘍があるイレオストミー

Example Imageストーマ周囲皮膚の発赤って,どれも同じように見えていましたが,アレルギーだったり,漏れだったり,原因が違うこともあるということですね。
Example Imageはい,そうです。原因が違えば,装具を変えるのか,貼り方を見直すのか,皮膚を治療するのか,ケア方法も全く変わってくるのです。
トラブルが起こっている場所(部位)をみて,原因を探すことが必要となります。
 
Example Image皮膚が赤いから同じケアをするのではなく,まず「原因をアセスメントする」ことが大切ということですね。
Example Imageその通りです! 「発赤を見る」のではなく,「発赤の原因を考える」。
それが適切なストーマケアであり,皮膚トラブルの改善につながっていきます。
 




 

参考文献
1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会 編:ABCD-Stoma®ケア,2014
2)日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会編:ストーマ・排泄リハビリテーション学用語集,照林社,161‐162.2025.

 

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大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師

 1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
 「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
 所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(評議員・治療認定師),日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。

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