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写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編

連載 間宮直子

2026.09.09

Example ImageWOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
Example Image一緒に学習する臨床5年目の看護師,いつきです。病棟ではこれまで先輩方から受け継いできた方法を実践しつつ,自分なりに試行錯誤を重ねながら皮膚・排泄ケアを行ってきました。ある程度の知識や技術は身についたつもりですが,私のいる病棟にはWOCNがいないため,「この判断は本当に正しいのか」「後輩に誤ったことを教えていないか」と迷うことがあります。

Example Imageストーマ周囲の皮膚障害がある患者さんをケアする場合,前回より良くなっているのか,悪くなっているのか,うまく評価できなくて困っています。人によって評価の基準も違う気がしています。経過をわかりやすく共有する方法ってありますか?
Example Imageストーマ周囲の皮膚障害の重症度を点数で評価できる「ABCD-Stoma®」(図)を使ってみてはどうでしょうか。
皮膚の状態を共通の基準で評価することで,改善や悪化などの変化を客観的にとらえることができます。
 
スクリーンショット 2026-09-08 190316.png
図 ABCD-Stoma®
Ⓒ日本創傷・オストミー・失禁管理学会
Example ImageABCD-Stoma®? 僕たちに使えますか?
Example Imageはい,もちろんです。
ABCD-Stoma®では,ストーマ粘膜を除いたストーマ周囲皮膚における障害の程度,そして色調の変化の有無で重症度を評価します。

ストーマ周囲皮膚をA(近接部),B(皮膚保護剤部),C(皮膚保護剤外部)の3部位に分け,それぞれの皮膚障害の程度を点数化します。さらに色素沈着・色素脱失の有無(D)を評価します(図) 。
 
Example Imageなるほど……。このA.B.Cの部位を探して,そこの皮膚障害の程度を評価したらいいわけですね。
 
Example ImageこのA,B,Cの観察部位の皮膚は「障害なし」「紅斑」「びらん」「水疱・膿疱」「潰瘍・組織増大」に分けて評価します。そして,この3部位それぞれに対して色素沈着と色素脱出の有無を評価するのです。
Example Image共通の基準で評価できれば皮膚障害の変化が理解しやすくなり,経過をスタッフ間で共有することもできますね。
画像仮①.png
Example Image例として上記の写真でABCD-Stoma®を評価してみます。

A:皮膚障害なし・色調変化は色素沈着
B:紅斑・色調変化はなし
C:皮膚障害なし・色調変化なし

ゆえに採点結果は「A0B1C0:1DP」となります(図)。
ABCD-Stoma®の理解には,とにかく実際に採点してみることが一番です。

問題 : ABCD-Stoma®で誤った採点はどれ?

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Example Image正しい採点が3つ,誤った採点は1つです。
 
 

解説

DU
 

① A2B1C1:4D0

 
正しい採点です

双孔式イレオストミーで,口側ストーマが皮膚の高さと同じ排泄口のスキンレベルとなり,9時方向から排泄物が潜り込んでいます。そのため,ストーマ近接部から皮膚保護剤部,皮膚保護剤外部まで皮膚障害が広がっています。

ABCD-Stoma®による採点
近接部(A)は6~12時方向にびらんがあり「A2」,皮膚保護剤部(B)と皮膚保護剤外部(C)には紅斑があり「B1」「C1」,色調変化はなく「D0」で,合計4点です。

改善には,排泄物を皮膚に接触させないケアが必要です。ストーマの高さや腹壁の状態,皮膚保護剤の溶解・膨潤,漏れの方向を確認し,凸面装具を使用してストーマ周囲に適度な圧を加え,排泄口を皮膚面より高く保持できるよう調整します。装具交換時には皮膚をこすらずやさしく洗浄し,皮膚障害の改善とともに,排泄物の潜り込みがないか継続して確認します。

D3
 

② A2B2C0:4D0

 
正しい採点です

高齢者のコロストミーです。便は普通便で排泄物による皮膚への影響は少ないものの,皮膚保護剤貼付部のかゆみから,装具交換時に皮膚を強くこすって洗浄していました。そのため,摩擦による物理的刺激で皮膚障害が生じたと考えられます。

ABCD-Stoma®による採点
皮膚保護剤が溶解している部位(A)と皮膚保護剤部(B)にびらんがあり「A2」「B2」,皮膚保護剤外部(C)は障害がなく「C0」,色調変化はなく「D0」で,合計4点です。

改善には,皮膚への摩擦や刺激をできるだけ少なくします。装具は皮膚を押さえながらゆっくり剥がし,洗浄時はこすらず,泡でやさしく洗った後,十分にすすぎます。かゆみがあっても強くこすらないよう説明し,愛護的なスキンケアを継続します。また,かゆみや皮膚障害が続く場合は,装具による刺激やアレルギーなど,ほかの原因がないかを確認し,皮膚の状態を経時的に評価します。

d2
 

③ A15B0C0:15DPH


正しい採点です

ウロストミーのストーマ近接部全周に,皮膚面から隆起した肥厚組織を認め,偽上皮腫性肥厚(PEH)と考えられます。尿が皮膚に持続的に接触し,慢性的な刺激が加わることで表皮が反応性に増殖したものです。

ABCD-Stoma®による採点
組織増大を認める近接部(A)は「A15」,皮膚保護剤部(B)と皮膚保護剤外部(C)は障害がなく「B0」「C0」,近接部に色素沈着(DP)と色素脱失(DH)をみとめるため,「A15B0C0:15DPH」,合計15点です。

改善には,尿が皮膚に接触し続ける原因を取り除きます。 本症例では,装具のストーマ孔が常に実際のストーマ径より大きくカットされており,尿が近接部の皮膚に接触していました。そこでストーマ径を毎回測定し,ストーマ孔を適切な大きさに調整しました。その結果,尿による慢性的な刺激が軽減され,約2か月後には肥厚した皮膚は消失しました。

D4
 

④ A0B1C2:3DP

×
誤った採点です

イレオストミーで,面板のストーマ孔がストーマ径より大きく,露出したストーマ近接部に排泄物が持続的に接触してびらんが生じています。イレオストミーの排泄物は皮膚への刺激が強く,化学的刺激による皮膚障害を起こしやすいため注意が必要です。

ABCD-Stoma®による採点
びらんは近接部(A)に限局しているため「A2」,皮膚保護剤部(B)と皮膚保護剤外部(C)は「B0」「C0」,色調変化はなく「D0」で,正しくはA2B0C0:2D0となり,合計2点です。

改善には排泄物がストーマ近接部の皮膚に接触しないよう,ストーマ孔の大きさを適切に調整します。本件ではストーマ径を正確に測定し,ストーマと皮膚保護剤との隙間ができるだけ生じないようストーマ孔を調整しました。装具交換時には,皮膚保護剤の溶解や排泄物の潜り込み,びらんの範囲を確認し,皮膚障害の改善と装具の適合性を継続して評価します。

答え: ④ が誤った採点です
A0B1C2:3DP → 正しくは A2B0C0:2D0です

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表 各症例の観察部位別評価
Example ImageABCD-Stoma®は合計点だけでなく,A・B・Cの「どこに」「どのような」皮膚障害があるかを確認することが大切です。同じ基準による継続的な評価で,皮膚障害の経過やケアの効果をスタッフ間で共有できます。
Example Image実際に採点してみると,同じように赤く見える皮膚障害でも,発生部位や障害の程度が違うことがよくわかりました。点数化すると,スタッフにも伝えやすそうですね。
Example Imageそうですね。「赤い」「少しよくなった」といった言葉だけでは,人によってとらえ方が違います。ABCD-Stoma®を使って共通の基準で評価すると,スタッフ間の評価のずれを減らし,皮膚の状態を具体的に共有できますね。
 
Example Image同じ方法で繰り返し採点すれば,ケアを変えたあとに皮膚障害が改善しているかどうかも,経過を追って確認できますね。
Example Imageそうです,そこが大切です。点数をつけて終わりではありません。経時的に評価し,なぜ点数が変化したのかを考え,ケアの効果を確認して次のケアにつなげる。 

ABCD-Stoma®を,チームでストーマ周囲皮膚を守るための“共通のものさし”として活用できればいいですね。
 




 

参考文献
1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会(編).ABCD-Stoma®ケア.2014.
2)紺家千津子,溝上祐子,上出良一,他.ABCD-Stoma®:ストーマ周囲皮膚障害の重症度評価スケール.日創傷オストミー失禁管理会誌.2012;16(4):361-.

 

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大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師

 1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
 「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
 所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(評議員・治療認定師),日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。

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