医学界新聞プラス

  • 看護
医学界新聞プラス

写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編

連載 間宮直子

2026.07.01

Example ImageWOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
Example Image一緒に学習する臨床3年目看護師のさくらです。私が所属する病院にはWOCNはおらず,学生時代に学んだ方法や,代々引き継がれてきた病院独自の方法で皮膚・排泄ケアを行っています。患者さんのことを想うと,本当にこの方法で正しいのか自信がありません……。

Example Imageストーマの早期合併症・晩期合併症に関しては,前回前々回に先輩ナースが学習し,私もとても勉強になりました。ただ,私は基本的なことがまだまだわかっていません。今まで消化管ストーマに関しての学習の機会はありましたが,尿路ストーマ(ウロストミー)のケアになると自信が持てません。
 
Example Imageコロストミーとウロストミーは,排泄される内容やケアのポイントが異なります。 コロストミーでは便が排泄されるため,造設部位によって便の性状が変化します。そのため便漏れや便の付着による皮膚障害の予防が大切となります。
ウロストミーでは,24時間持続的に尿が排泄されることが大きな特徴です。そのため尿をためる装具の管理が必要となり,尿漏れ(装具漏れ)による皮膚の浸軟や尿路感染症にも注意が必要となります。
3582_WOC_.jpg
表1 ストーマの種類と排泄物

問題 回腸導管のストーマ(ウロストミー)はどれ?

Example Imageさまざまな位置に造設されたウロストミーです。このなかで回腸導管はどれでしょうか。

解説

Example Imageまず,回腸導管というストーマがどのような構造であるかを知ることから始めましょう。

尿路変向術の排尿管理方法のうち(図),回腸導管はその名の通り回腸の一部を使用して尿を排出します。
回腸導管は尿が持続的に流出する「非禁制型」の尿路変向術です。一方で,尿をためて自己導尿などで排泄する「禁制型」の尿路変向術もあります。今回は「非禁制型」の尿路変向術について学んでいきましょう。
ストーマ編第6回図.png
図 排尿管理方法(非禁制型尿路変向術)の種類
DU
 

① 下腹部にカテーテルが留置されている

× 
膀胱瘻です

膀胱瘻は,膀胱から尿道にかけての下部尿路に障害があり,尿道からの排尿が困難な場合に造設されます。

主な適応は,神経因性膀胱,前立腺肥大症,尿道狭窄,尿道損傷などになります。下腹部から膀胱内へカテーテルを留置して尿を排出するため,カテーテルは常時必要です。採尿袋を使用しますが,装具は不要です。感染予防やカテーテル管理,挿入部の皮膚ケアが必要となります。

D3
 

② 左腰部にカテーテルが留置されている

× 
腎瘻です

腎盂から膀胱までの上部尿路(主に尿管)に閉塞や狭窄がある場合に行われる尿路ドレナージ法です。

主な適応は,尿管結石,悪性腫瘍による尿管圧迫,尿管狭窄などです。尿が膀胱へ流れない際に腎盂に直接カテーテルを留置し尿を体外へ排出している場合があります。カテーテルは常に必要で,採尿袋を使用するため装具は不要です。感染や閉塞,抜去の予防,挿入部周囲の皮膚観察が重要となります。

*ドレナージ:液体を誘導・排出させること

広告
d2
 

③ 右下腹部に赤い粘膜が見えている


回腸導管です

回腸導管造設術は,膀胱摘出などにより膀胱の機能が失われた場合に行われる代表的な非禁制型尿路変向術です。

主に筋層浸潤性膀胱がんに対する膀胱全摘後に選択されます。回腸の一部を利用して尿管と腹壁をつなぎ,腸管の先端(ストーマ)から尿を持続的に排出するものです。そのためストーマ装具が必要となります。通常は術後の一時期を除いて長期的なカテーテル留置は不要です。ストーマ管理や皮膚保護,ストーマ合併症予防が必要となります。

D4
 

④ 右下腹部に細いカテーテルが出ている

×
尿管皮膚瘻です

カテーテルが留置されている尿管皮膚瘻です。膀胱機能の喪失や膀胱摘出などにより,尿を膀胱へ貯留できない場合に行われます。

主な適応は,膀胱がんによる膀胱全摘後や,重篤な膀胱機能障害などです。尿管を腹壁に直接開口しており,尿は持続的に排出されるためストーマ装具が必要です。また,尿管狭窄予防や尿流出維持のためにカテーテルが留置されます。この画像では左右の尿管が右側のストーマに導かれ,カテーテルが留置されています。皮膚障害予防や狭窄の早期発見が重要です。

答え: ➂右下腹部に赤い粘膜が見えている

Example Imageどこに疾患があり,どこで尿の流れが障害されているかによって,選択される尿路変向術は異なります。これらを踏まえていれば観察がしやすくなります(表2)。
 
再修正ひょう2.png
表2 排尿管理方法(尿路変向術)と病変部位
Example Image使用されているのがストーマ装具なのかカテーテルかによって,背景にある疾患・障害はもちろん,術式や排尿経路も異なるのですね。
Example Imageその通りです。カテーテルが蓄尿袋に接続されている場合は,腎瘻,膀胱瘻です。腹部にストーマ装具がついている場合は尿管皮膚瘻か回腸導管となります1)
また,ADLが低下した患者さんでは,蓄尿袋に接続されたストーマ装具を目にする機会が多くなります(表3)。
修正表3.png
表3 排尿管理方法(尿路変向術)の特徴
Example Imageこれまでは尿が出ているかどうかの観察しかしていませんでした。でも,病変部位や装具・カテーテルの有無を一緒に見ると,外観からでも違いが整理しやすいですね。
Example Imageどこに病変があって,どこから尿が出ているのかで考えると,腎瘻,膀胱瘻,尿管皮膚瘻,回腸導管の違いが見えてきます。
Example Imageストーマ装具が必要となるのは,回腸導管と尿管皮膚瘻であることも理解できました。コロストミー・イレオストミー(消化管ストーマ)と同じように,ウロストミー(回腸導管,尿管皮膚瘻)の特徴を理解して正しいストーマケアを行うことが大切ですね。
Example Imageその通りですね。私たちは適切な装具選択やスキンケアで尿漏れや皮膚トラブルを予防し,患者さんが安心して生活を続けられるよう支援しなければなりません。私たち看護師の大切な役割と言えますね。
 





 

参考文献
1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会 編:ストーマケアガイドブック,照林社,35-53.2024.

 

20250512_150418_Z5C_0275.jpg

大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師

 1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
 「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
 所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(評議員・治療認定師),日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。

タグキーワード