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[第4回]ストーマ早期合併症を理解しよう
写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編
連載 間宮 直子
2026.05.15
WOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
今回から一緒に学習する臨床5年目の看護師,いつきです。病棟ではこれまで先輩方から受け継いできた方法を実践しつつ,自分なりに試行錯誤を重ねながら皮膚・排泄ケアを行ってきました。ある程度の知識や技術は身についたつもりですが,私のいる病棟にはWOCNがいないため,「この判断は本当に正しいのか」「後輩に誤ったことを教えていないか」と迷うことがあります。
所属している病院ではストーマ造設術を実施することはほとんどありませんが,基本的なストーマケアの知識は持っているつもりです。ただ,いざ手術があると,ストーマの状態が異常ではないか不安になることがあります。
なるほど,たしかに術直後のストーマをみる機会が少なければ,術後の観察やケアに不安が生じますね。それでは,正しいストーマの状態を知るために,ここではストーマ合併症について学んでみましょう。
ストーマ合併症は,発症時期により「早期合併症」と「晩期合併症」に分けられます(表)。今回のテーマである早期合併症は,手術侵襲や血流障害,感染,浮腫などが主な原因で,壊死,出血,粘膜皮膚接合部離開なども含まれます。この時期では,早期発見と迅速な対応が重要となります。
ストーマ造設後の経過は人によって異なりますが,正常な経過のストーマと合併症のストーマを見極めることが必要になるのですね。問題 ストーマ早期合併症を起こしていないストーマはどれ?
術後1週間以内の消化管ストーマが並んでいます。今回はこの中からストーマ早期合併症ではないものを探しましょう。正常の経過と考えられるストーマはひとつです。どれでしょうか。
① 左下腹部に造設された術後5日目のストーマ
② 右上腹部に造設された術後6日目のストーマ
③ 左上腹部に造設された術後4日目のストーマ
④ 左下腹部に造設された術後5日目のストーマ
解説
① 左下腹部に造設された術後5日目のストーマ
☞ ×
ストーマ壊死です
ストーマの色調が黒色であり,ストーマ壊死と呼ばれる状態です。血流障害によりストーマ粘膜が虚血を起こし,暗赤色・暗紫色から黒色へ変化しています。表層のみの壊死であれば経過観察となる場合もありますが,深部壊死では狭窄や穿孔につながる危険があります。
原因には,腸管の過度な緊張,腸間膜血管の圧迫,腹壁開口部の狭さ,浮腫などがあります。
必要なケア:装具による圧迫を避け,乾燥や摩擦による損傷を防ぎながら局所の安静を保ちます。
② 右上腹部に造設された術後6日目のストーマ
☞ ×
ストーマ粘膜皮膚接合部離開です
ストーマ粘膜と周囲皮膚の縫合部が部分的,または全周にわたり開いた状態を「ストーマ粘膜皮膚接合部離開」といいます。本事例では縫合部に感染を伴い,9時方向を除いて広範囲に離開しています。
原因には,創感染のほか,縫合部への過度な緊張,浮腫,低栄養,糖尿病,ステロイド使用などがあります。離開が進行すると,排泄物の侵入による皮膚障害,感染悪化,陥没ストーマにつながることがあります。
必要なケア:離開部をやさしく洗浄して清潔を保ち,必要に応じて被膜剤や充填材(ハイドロファイバー®・アルギン酸塩など)を用いて創部を保護し,排泄物の侵入や漏れを防ぎます。
③ 左上腹部に造設された術後4日目のストーマ
☞ ×
ストーマ浮腫です
双孔式ストーマの「ストーマ浮腫」です。ストーマが腫脹し大きく膨らんでいます。色調は良好なので,血流は保たれていると考えられます。生理的浮腫の場合もあるので,術後数日〜数週間は,浮腫の程度,色調,排泄状況など経時的変化を観察します。
主な原因には,手術操作による炎症,リンパ・静脈還流障害,腹圧上昇などがあります。
必要なケア:装具による圧迫を避け,装具のストーマ孔を適宜見直しながら粘膜損傷や漏れを防ぎます。硬めの面板や過度な圧迫は粘膜損傷の原因となるため注意が必要です。
④ 左下腹部に造設された術後5日目のストーマ
☞ 〇
軽度の浮腫はありますが,ストーマ合併症ではありません
軽度の浮腫は術後早期の生理的変化の範囲であり,ストーマ合併症とは考えられません。ストーマ粘膜の色調は赤色〜鮮紅色で湿潤しており,血流は良好と考えられます。高さも適度に保たれ,陥没や脱出,壊死,接合部離開などの著明な異常所見は認めません。
必要なケア:ストーマサイズを適宜測定し,浮腫の軽減に合わせて装具のストーマ孔を調整します。
答え: ④左下腹部に造設された術後5日目のストーマ
術後早期のストーマでは浮腫や少量の出血が珍しくないので正常な変化なのか合併症のサインなのか迷うことがあります。
特にこの時期は判断に迷うことがありますね。色調・腫脹・高さ・排泄状況・接合部の状態を継続して観察すると,異常のサインに気づきやすくなります。
一度だけ見るのではなく,前日との違いや経過を見ることが大切なんですね。
その通りです。早期合併症は,変化への気づきが重症化予防につながります。正しく観察できるようになりましょう。今回のポイント
✓ ストーマ早期合併症には,壊死・感染・接合部離開・浮腫などがある
✓ 術後早期は,正常な浮腫との見極めが大切である
✓ 色調・腫脹・排泄状況などを継続して観察しよう
✓ いつもと違う変化への気づきが重症化予防につながる
参考文献
1)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会(編):ストーマリハビリテーション基礎と実際 第3版.金原出版;2016.
間宮 直子(まみや・なおこ)氏
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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間宮 直子(まみや・なおこ)氏 大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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