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[第5回]ストーマ晩期合併症を理解しよう
写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編
連載 間宮直子
2026.06.03
WOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
一緒に学習する臨床5年目の看護師,いつきです。病棟ではこれまで先輩方から受け継いできた方法を実践しつつ,自分なりに試行錯誤を重ねながら皮膚・排泄ケアを行ってきました。ある程度の知識や技術は身についたつもりですが,私のいる病棟にはWOCNがいないため,「この判断は本当に正しいのか」「後輩に誤ったことを教えていないか」と迷うことがあります。
前回,ストーマの合併症は,起こる時期によって早期合併症と晩期合併症(表)に分けられることを学び,早期合併症について理解を深めることができました。ただ,当院ではストーマ造設術の実施件数が少ないこともあり,早期合併症より晩期合併症を見かけることが多いように思います。
早期合併症は術後おおむね1か月以内, 晩期合併症は術後1か月以降にみられることが多いことは前回お伝えしましたね。 晩期合併症は,加齢や腹圧,体型の変化,毎日のセルフケアの積み重ねなどが影響して,少しずつ現れてくることがあります。今回は,日頃の観察で気づきたい晩期合併症について一緒に学んでいきましょう。
問題 晩期合併症のストーマ陥没はどれ?
ストーマ造設術から1か月以上経過したストーマです。ここから「ストーマ陥没」を探してみましょう。
① 術後6か月の双孔式コロストミー
② 術後4か月の単孔式コロストミー
③ 術後5か月の単孔式コロストミー
④ 術後2年の単孔式コロストミー
解説
① 術後6か月の双孔式コロストミー
☞ ×
ストーマ脱出です
ストーマが造設時より異常に飛び出している状態の「ストーマ脱出」です。浮腫や血流障害を伴う場合は注意が必要です。原因には,腹圧上昇,腹壁固定の緩み,腸管の可動性の高さなどがあります。
この患者は術後感染の影響が見られる超高齢者でした。時間の経過とともに腹壁の支持組織が脆弱となり,ストーマの固定が弱くなったことで脱出したと考えられます。観察では,突出の長さ,色調,浮腫,疼痛,排泄状況を確認します。
必要なケア:ストーマを保護し,大きめの袋などの装具を選択します。排泄停止,腹痛,著しい浮腫がある場合は,腸管の血流障害や通過障害の可能性もあるため速やかな受診が必要です。
② 術後4か月の単孔式コロストミー
☞ ×
ストーマ傍ヘルニアです
(傍ストーマヘルニアとも言います)
ストーマ周囲の腹壁が弱くなり,腸管や腹腔内容物によってストーマの周囲が膨らんでくる状態の「ストーマ傍ヘルニア」です。すなわち,ストーマ孔に起こったヘルニアです。装具が密着しにくくなり,排泄物の漏れや皮膚障害の原因となるほか,排泄しづらさや違和感を伴うこともあります。
原因には,肥満,腹圧上昇,筋膜の脆弱化,手術時に腹壁の筋腱膜に開けた孔が大きいことなどがあります。
この患者は,加齢による腹壁支持組織の脆弱化が起こっていたと考えられます。観察では膨隆の程度,疼痛,排泄状況を確認します。腸捻転の合併があれば緊急受診です。
必要なケア:装具調整,腹圧管理,腹帯やヘルニアベルトの活用,必要時受診を行います。
➂ 術後5か月の単孔式コロストミー
☞ 〇
ストーマ陥没です
周囲皮膚面よりストーマの位置が低い「ストーマ陥没」であり,これは「ストーマ陥凹」の状態です(図)。
症状として,装具からの漏れが増えたり,周囲皮膚の発赤やびらんなどの皮膚障害が見られたりすることがあります。本来少し突出しているはずのストーマが皮膚と同じ高さ,あるいは埋もれているように見えます。原因には,肥満,腹壁の厚み,体型変化と造設後のストーマ壊死やストーマ粘膜皮膚接合部離開が関係していることもあります。
この患者は術後の急激な体重増加により腹壁が厚くなり,ストーマが埋もれるように陥没したと考えられました。
必要なケア:凸面装具の活用や貼付方法の見直し,周囲皮膚の保護が重要です。
④ 術後2年の単孔式コロストミー
☞ △
ストーマ狭窄です
ストーマの内腔が狭くなった「ストーマ狭窄」です。
症状は,排泄量の減少,腹部膨満,腹痛,便秘様症状などが見られることがあり,開口部が小さく締まって見えることがあります。原因には,瘢痕形成,慢性炎症,血流障害,術後治癒過程の影響などがあります。
この患者はストーマ造設術直後にストーマ壊死となり,瘢痕化して治癒したことで狭窄が起こりました。ストーマ陥没のひとつである「ストーマ陥凹」の状態でもあり,本選択肢を「〇」と回答していても,間違いではありません。
必要なケア:軽度では排便コントロールや食事調整で対応します。症状が強い場合は拡張や手術が必要になることがあります。
答え: ➂術後5か月の単孔式コロストミー
見た目が特徴的なストーマが多く,原因もそれぞれ違うのですね。晩期合併症であっても,早い時期から起こっている早期合併症が大きく影響する場合があることも理解できました。
術直後に異常が認められなくとも,術後感染などの手術の影響,加齢や体型変化などで,徐々にストーマが変化するのが晩期合併症です。特徴を知って,適切なケアを提供できればいいですね(表)。
見た目の変化だけでなく,排泄しにくくなったり,漏れが増えたりすると,患者さん自身も「何かおかしいのかな?」と不安になりますよね。
その通りです。ストーマは患者さんにとって“生活そのもの”にかかわるものです。見た目の変化だけでなく, 「急に漏れるようになった」「装具が合わなくなった」「外出が不安」といった困りごとの背景に,晩期合併症が隠れていることもあります。
なるほど……。合併症そのものを見るだけじゃなくて,患者さんが何に困っているのか,不安に感じているのかを聞くことも大事なんですね。
まさにそこが大切です。特徴を知って早く気づき,患者さんの不安に寄り添いながら適切なケアにつなげることが,ストーマケアをする看護師の大切な役割ですよね。今回のポイント
✓ 晩期合併症は,術後1か月以降に徐々に現れるストーマの変化である
✓ 見た目の特徴(ストーマが膨らむ・飛び出す・狭くなる・埋もれるなど)に気づくことで早期対応ができる
✓ 合併症ごとに原因や必要なケアが異なるため,正しく見分ける
✓ 患者さんの不安に寄り添い,早めに対応する
参考文献
1)日本創傷・オストミー・失禁管理学会編:ストーマガイドブック,照林社,p248,2024.
2)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会(編):ストーマリハビリテーション基礎と実際 第3版.金原出版;2016.

間宮 直子(まみや・なおこ)氏 大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(評議員・治療認定師),日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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