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★1の向こう側

連載 寺田哲

2026.09.21

本連載を書き始めた頃,「★1はなぜ書かれるのか」「★5はどのような患者心理から生まれるのか」「攻撃的な口コミとは何なのか」「法的対応はどこまで必要なのか」など,私は「口コミとは何か」を整理したいと思っていた。

しかし,10回にわたって口コミの構造を分析し続ける中で,本当に向き合っていたのは「自分はどのような医療を実現したいのか」との問いであったことに気づかされた。今回は,これまでの連載のまとめも兼ねて,口コミに対する私自身の思考の変遷をたどりつつ,医療者がめざすべき診療の在り方を考えたい。

意思決定支援を再考する

開業してから多くの患者さんと出会った。感謝の言葉をいただくこともあれば,厳しいご指摘をいただくこともあった。中には,自分自身が深く落ち込むような口コミもある。以前の私は,★1を見るたびに考えていた。

「何が悪かったのだろう」
「もっと違う説明ができたのではないか」

もちろん,反省をする姿勢は大切だ。医療者は常に自らを振り返り,改善し続けなければならない。しかし口コミとは,患者さんの体験が言葉になったものである。そこには事実もあれば期待もある。誤解もあれば偶然もある。時には診療と直接関係のない感情が混ざることもある。だからこそ,★の数だけを見て,自分の診療の価値まで決めてはいけないのだと思う。ここまでは過去の連載回でも繰り返し触れてきたことだ。

今回の記事を書きながら思い直したのは,意思決定支援の形である。

私はこれまで,患者さんに治療の選択肢をきちんと提示することを大切にしてきた。治療法が複数あるなら,それぞれのメリットとデメリットを説明する。そのうえで,「どの治療を希望されますか」と尋ねる。「先生ならどれを勧めますか」と聞かれれば,医師として自分が良いと考える方法を伝える。一方的に医師が決めるのではなく,患者さんにも治療に参加していただく。それが患者さんを尊重する医療の一つの形だと考えてきた。その考えは今も変わっていない。

ただ,それだけでは十分ではないのかもしれない。

同じように選択肢を提示しても,「自分の意思を尊重してくれた」と感じる人もいれば,「自分で決めなければならない」と不安になる人もいるのである。つまり,患者さんの意思を尊重するとは,単に選択肢を提示して決めてもらうことではない。患者さん...

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