- HOME
- 医学界新聞プラス
- 医学界新聞プラス記事一覧
- 2026年
- 医学界新聞プラス[第10回]★1を生まない診察室――「伝える医療」から「伝わる医療」へ
- 医学
- 看護
- リハ
医学界新聞プラス
[第10回]★1を生まない診察室――「伝える医療」から「伝わる医療」へ
★1の向こう側
連載 寺田哲
2026.09.21
本連載を書き始めた頃,「★1はなぜ書かれるのか」「★5はどのような患者心理から生まれるのか」「攻撃的な口コミとは何なのか」「法的対応はどこまで必要なのか」など,私は「口コミとは何か」を整理したいと思っていた。
しかし,10回にわたって口コミの構造を分析し続ける中で,本当に向き合っていたのは「自分はどのような医療を実現したいのか」との問いであったことに気づかされた。今回は,これまでの連載のまとめも兼ねて,口コミに対する私自身の思考の変遷をたどりつつ,医療者がめざすべき診療の在り方を考えたい。
意思決定支援を再考する
開業してから多くの患者さんと出会った。感謝の言葉をいただくこともあれば,厳しいご指摘をいただくこともあった。中には,自分自身が深く落ち込むような口コミもある。以前の私は,★1を見るたびに考えていた。
「何が悪かったのだろう」
「もっと違う説明ができたのではないか」
もちろん,反省をする姿勢は大切だ。医療者は常に自らを振り返り,改善し続けなければならない。しかし口コミとは,患者さんの体験が言葉になったものである。そこには事実もあれば期待もある。誤解もあれば偶然もある。時には診療と直接関係のない感情が混ざることもある。だからこそ,★の数だけを見て,自分の診療の価値まで決めてはいけないのだと思う。ここまでは過去の連載回でも繰り返し触れてきたことだ。
今回の記事を書きながら思い直したのは,意思決定支援の形である。
私はこれまで,患者さんに治療の選択肢をきちんと提示することを大切にしてきた。治療法が複数あるなら,それぞれのメリットとデメリットを説明する。そのうえで,「どの治療を希望されますか」と尋ねる。「先生ならどれを勧めますか」と聞かれれば,医師として自分が良いと考える方法を伝える。一方的に医師が決めるのではなく,患者さんにも治療に参加していただく。それが患者さんを尊重する医療の一つの形だと考えてきた。その考えは今も変わっていない。
ただ,それだけでは十分ではないのかもしれない。
同じように選択肢を提示しても,「自分の意思を尊重してくれた」と感じる人もいれば,「自分で決めなければならない」と不安になる人もいるのである。つまり,患者さんの意思を尊重するとは,単に選択肢を提示して決めてもらうことではない。患者さんが,治療をどう決めたいのかまでを理解しようとすることなのだと思う。
医療者は,医学的に正しい説明をしようとする。当然である。しかし正確に説明したつもりでも,患者さんには別の意味として伝わることがある。例えば,長く続く痛みがあっ...
この記事はログインすると全文を読むことができます。
医学書院IDをお持ちでない方は医学書院IDを取得(無料)ください。

寺田 哲(てらだ・さとし)氏 みしま痛み&リハビリクリニック 院長/医療社団法人PARC 理事長
2008年獨協医大卒。同大越谷病院(現・同大埼玉医療センター)で初期研修,麻酔科後期研修を修了。NTT東日本関東病院を経て,17年静岡リウマチ整形リハビリ病院麻酔科ペインクリニック科長。19年JCHO三島総合病院麻酔科(ペインクリニック)科長に就任する。臨床と並行して20年には株式会社OCD(22年より株式会社mediverse OCD)設立。23年にみしま痛み&リハビリクリニックを開設し現職。ペインクリニック領域を中心に臨床を行い,患者と向き合う日常の中で評価や満足度が医療者の思考に与える影響について継続的に考察している。
タグキーワード
いま話題の記事
-
データから見る研修医の至適な労働環境
基本的臨床能力評価試験(GM-ITE®)に基づくエビデンス・レビュー寄稿 2026.11.03
-
VExUS:輸液耐性が注目される今だからこそ一歩先のPOCUSを
寄稿 2025.05.13
-
ピットフォールにハマらないER診療の勘どころ
[第22回] 高カリウム血症を制するための4つのMission連載 2024.03.11
-
取材記事 2026.10.20
-
医学界新聞プラス
[第4回]DESIGN-R®2020を使ってみよう①
写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」創傷編連載 2025.09.03
最新の記事
-
データから見る研修医の至適な労働環境
基本的臨床能力評価試験(GM-ITE®)に基づくエビデンス・レビュー寄稿 2026.11.03
-
寄稿 2026.11.03
-
「考えて動ける」看護師をどう育てるか
救急現場の教育と組織づくり対談・座談会 2026.10.27
-
産後うつを未然に防ぐには
周産期メンタルヘルス支援の最前線
村上寛氏に聞くインタビュー 2026.10.27
-
MEDICAL LIBRARY 書評・新刊案内
2026年10月27日公開分書評 2026.10.27
開く
医学書院IDの登録設定により、
更新通知をメールで受け取れます。