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[第11回・最終回]★1の向こう側に見えたものは
★1の向こう側
連載 寺田哲
2026.10.05
この連載は,★1として評価された一つの口コミから始まった。
診療を終えた後,Googleレビューに書かれた厳しい言葉を目にする。「なぜ,こんなふうに受け取られたのだろう」「自分の診療の何が悪かったのだろう」。そう自問自答をする。
「口コミの★の数なんて気にしなければいい」と言う人もいる。確かに,それができれば楽なのかもしれない。しかし,実際に患者さんと向き合い,診療に責任を持っている医療者にとって,それは簡単なことではないと思う。私自身,★1の評価を見れば落ち込むし,事実とは異なると感じることが書かれていれば反論したくなることもある。一方で,★5の評価をもらえば素直にうれしい。
特に開業医は,経営者であると同時にプレーヤーでもある。自分が診察し,説明し,治療する。その一方でスタッフを雇い,組織をつくり,クリニックを経営している。つまり口コミは,医師としての自分への評価でもあり,自分がつくってきたクリニックへの評価でもある。どうしても気になってしまうのは当然のことではないだろうか。ただし問題は,口コミを気にすることではない。自分の診療や,自分自身の価値まで口コミに決めさせてしまうことである。
患者さんにとって医療は人生の一部分
この連載では,まず★1が下された評価の中身についていくつかの構造に分けて考えてきた。期待していた診療と現実との違いから生じる「期待ズレ型」,治療結果への失望から生じる「結果失望型」,評価より印象操作が前に出る「攻撃・操作型」,患者側が期待していた専門家像と実際の役割理解がずれている「専門性誤認型」(連載第3回,第4回)である。
こうして仕分けてみると,同じ★1でも意味は全く異なることがわかった。中には医療者側の説明不足やシステム上の問題が隠れており,改善すべき,反省すべきコメントもある。一方で,診療改善の材料として背負う必要のない言葉もあるのが現実だ。すなわち患者さんが★1という評価を下すに当たっては,さまざまな感情が背後にあることを想像しなければならず,全てのコメントを同じ重さでとらえるべきではない。
そして,それは★5についても同じである(連載第5回)。長く続いた痛みから救われた喜びを表現する「救済型」もあれば,自分が受けた医療の意味を誰かに伝えようとする「擁護・代弁型」も存在する。治療を通して「痛みに振り回されなくなった」と,自分自身の変化を書く「自己物語化型」とも呼ぶべきタイプもある。
★1にも背景があり,★5にも背景がある。どちらも一人の患者さんが経験した医療の一つの断面であり,それだけで医療の全体像を表してい...
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寺田 哲(てらだ・さとし)氏 みしま痛み&リハビリクリニック 院長/医療社団法人PARC 理事長
2008年獨協医大卒。同大越谷病院(現・同大埼玉医療センター)で初期研修,麻酔科後期研修を修了。NTT東日本関東病院を経て,17年静岡リウマチ整形リハビリ病院麻酔科ペインクリニック科長。19年JCHO三島総合病院麻酔科(ペインクリニック)科長に就任する。臨床と並行して20年には株式会社OCD(22年より株式会社mediverse OCD)設立。23年にみしま痛み&リハビリクリニックを開設し現職。ペインクリニック領域を中心に臨床を行い,患者と向き合う日常の中で評価や満足度が医療者の思考に与える影響について継続的に考察している。
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