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★1の向こう側

連載 寺田哲

2026.08.25

厳しい口コミの中には,医療者やスタッフの人格,あるいは医療機関自体の信用を傷つける「攻撃」を目的とした投稿が存在することを前回は述べた。では,実際にそのような口コミが投稿された時,医療者は何をすればよいのだろうか。今回は攻撃的な口コミが書きこまれた後の対応について考えたい。

規約違反を立証するための証拠保全

最初に必要なのは反論ではない。証拠を残すことである。口コミは,投稿者自身によって編集,削除が可能だ。そこで,投稿本文だけでなく,投稿者の表示名,星の数,投稿日,URL,掲載画面全体を保存しておく必要がある。可能であれば,投稿を確認した日時も記録しておくことが大切だ。同時に,院内の予約記録,診療録,当日のスタッフ配置,電話対応の記録なども確認したい。重要なのは,怒りを文章にする前に,事実を時系列で整理・保存することだ。

次に,投稿がGoogleのポリシーに反していないかを確認する。ここで注意したいのは,「低評価だから」「内容に納得できないから」という理由だけでは,原則として違反の対象にはならない点である。削除申請では,医療機関側の感情ではなく,プラットフォームのルールに照らして問題点を示さなければならない。例えば,実際の体験に基づかない投稿,利害関係を伴う評価操作,同一内容の反復投稿,個人情報の掲載,脅迫や嫌がらせなどは,ポリシー違反として取り扱える可能性がある。一方,「態度が悪いと感じた」「治療効果を感じなかった」といった主観的な感想は,直ちに削除されるとは限らない。

感情的応酬を避ける公式返信と対応の仕組み化

削除申請と並行して,公式返信を行うかどうかも検討したい。ただし,その際に気を付けなければならないのが,医療機関に課せられている守秘義務という大きな制約だ。受診の有無や診療内容を公の場で明らかにすることは避けなければならない。公式返信の本当の読者は投稿者本人ではなく,そのやり取りを第三者の立場で見ながら受診先を選ぶ未来の患者さんである。

例えば,「『痛みの最後の砦』と病院のWebサイトに書かれていたので,それを信じて受診したのに痛みが取れなかった。しかも長時間待たされた挙句,診察時間もほんの数分でした」とコメントがあった場合の返信を考えてみよう。やってはならない返信は下記のような内容です。

「痛みをとってほしいと主張されるだけではどんな治療を提供すればよいのかわかりません。どのクリニックであっても1人あたりの診療時間は決まっていませんし,待つ時は待ちますよ。あなたも医療機関で一度働いてみるとよくわかるはずです。自分に合うクリニック見つかると良いですね。」

医療者としての本音なのかもしれませんが,上記のように感情任せに返信してしまっては,元も子もない。

返信では,不快な体験として受け止められたことへの配慮を示し,守秘義務上個別の事実には回答できないことを伝え,改善への姿勢を示し,必要であれば直接相談できる窓口を案内する。このような構成が,第三者に対して誠実さを伝える返信...

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みしま痛み&リハビリクリニック 院長/医療社団法人PARC 理事長

2008年獨協医大卒。同大越谷病院(現・同大埼玉医療センター)で初期研修,麻酔科後期研修を修了。NTT東日本関東病院を経て,17年静岡リウマチ整形リハビリ病院麻酔科ペインクリニック科長。19年JCHO三島総合病院麻酔科(ペインクリニック)科長に就任する。臨床と並行して20年には株式会社OCD(22年より株式会社mediverse OCD)設立。23年にみしま痛み&リハビリクリニックを開設し現職。ペインクリニック領域を中心に臨床を行い,患者と向き合う日常の中で評価や満足度が医療者の思考に与える影響について継続的に考察している。

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