聴くも聴かぬもあなた次第 聴診器さん(鶴岡優子)
連載
2012.02.13
(前回からつづく)
在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「聴診器」さん。さあ,何と語っているのだろうか?
医療人へのスイッチ 在宅医療では白衣着用率は低く,聴診器を出した瞬間に医療人モードに切り替えるという人もいます。最近の聴診器は性能,重量,価格,色の選択肢が豊富。今月はDr.コトーモデルの出番が多く,私は中央で小さくなっています。私はダイアフラムだけ新調してもらいました。 |
江口洋介モデルとか松嶋菜々子モデルって一体何の話かと思えば,私と同業者でしたよ。『救命病棟24時』っていう,ひと昔前のテレビドラマで使われたタレント聴診器さんのことです。リットマン社の「カーディオロジー」のシリーズで,どちらかといえば高級品。どうせ松嶋菜々子モデルなら,昨年高視聴率をマークした『家政婦のミタ』さんの鞄から聴診器が出てきたらドラマ的にはおもしろかったかもしれませんが,聴診器のある家庭なんて一般的には存在しません。
在宅医療業界で一番使われている聴診器は何か? 聴診器は往診鞄の中に必ず入っている道具ですが,私はこれに関する資料を持ち合わせておりません。高級品から普及品,よくある量産タイプからあまり見かけない日本製ステレオタイプまで,機種はバラエティーに富んでいます。私ですか? 特に芸名はついていません。正直言って地味で自己主張はしないほうです。値段もさほど高くなく,重量も控えめで,数は量産されています。「クラシックIISE」っていうんです。聞いたことありますか? そうですか,恐れ入ります。
私の使い方については省略しますね。『週刊医学界新聞』読者の皆さんのほうがお詳しいと思います。ええ,心臓の音,肺の音,お腹の音,血管の音,その辺はうちの主人も聴いているようです。もちろん血圧を測るのにも使いますね。いつもは聴こえない
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