医学界新聞

連載

2012.01.16

在宅医療モノ語り

第22話
語り手:柱と柱をつないで支えます 長押(なげし)さん

鶴岡優子
(つるかめ診療所)


前回からつづく

 在宅医療の現場にはいろいろな物語りが交錯している。患者を主人公に,同居家族や親戚,医療・介護スタッフ,近隣住民などが脇役となり,ザイタクは劇場になる。筆者もザイタク劇場の脇役のひとりであるが,往診鞄に特別な関心を持ち全国の医療機関を訪ね歩いている。往診鞄の中を覗き道具を見つめていると,道具(モノ)も何かを語っているようだ。今回の主役は「長押」さん。さあ,何と語っているのだろうか?


長押さんの夏の思い出
8年前の初夏,栃木で撮った写真です。孝行息子さんが,栄養のボトルを吊り下げるために,長押の上に農作業用の棒を渡してくれました。外では明け方から干したかんぴょうが白いすだれになっていました。
 住宅展示場巡りが趣味,という人が世の中にはいるのですね。いろいろと想像をめぐらせては,ままごと感覚で楽しむようです。あら,こんな家事室があったら,楽しくアイロンかけちゃうわ(やらないよ)。子どもが中学生になったら,ここで勉強するのかしら(やらないよ)。ネガティブな相づちはすべて無視して,宣伝文句に乗せられます。コミュニケーションを重視した間取り。共感をコンセプトにしたプランニング。調子に乗りすぎて,個人情報をごっそりとられないように注意が必要

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