医学界新聞プラス

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写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」創傷編

連載 間宮直子

2026.01.14

Example ImageWOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
Example Image一緒に学習する臨床3年目看護師のさくらです。私が所属する病院にはWOCNはおらず,学生時代に学んだ方法や,代々引き継がれてきた病院独自の方法で皮膚・排泄ケアを行っています。患者さんのことを想うと,本当にこの方法で正しいのか自信がありません……。
Example Image前回は褥瘡の状態に応じた洗浄方法を学びました。ですが,洗浄後に行う褥瘡の被覆が,正しく行えているのか迷うことがあります。
Example Image「洗浄」「被覆」「保湿」「水分除去」は創傷のあるスキンケアでは重要な行為と言えます1)。よって,洗浄方法を理解できたことはとても心強いです。
ただ,正しく洗浄しても,間違った褥瘡の「被覆」は感染リスクを高めるだけでなく,周囲皮膚の2次損傷や治癒の遷延にもつながります。
では,正しい褥瘡の被覆方法について学んでみましょう。

問題 正しい褥瘡の被覆方法はどれ?

Example Image写真はガーゼによる被覆を行った褥瘡や,これから被覆しようとする褥瘡です。
正しい被覆方法を解説しているのはどれでしょうか。

解説

創傷の被覆は,創傷処置一連の最終行為であり,下記のような意味を持ちます。

・滲出液のコントロール
・汚染や外力からの保護
・外用薬などを創内に保持
・不快感の軽減


ご存じのように創傷被覆材は,ガーゼだけではありません。ポリウレタンフォーム材,ハイドロコロイド材,アルギン酸塩などがあり,創の状態に合わせて選択され,目的に応じて創部を覆うときに使用します。

Example Imageさまざまな創傷被覆材がありますが,
ここでは,ガーゼを使用する創傷に対して,どのような被覆方法が良いのかについて,焦点を当ててみたいと思います。

 
  
DU
 

①テープを強く引っ張りながらガーゼを固定する

×
強く引っ張りながらガーゼを貼ると皮膚損傷が起こりやすくなります。

テープを強く引っ張るとテンションがかかります。その状態で貼ると皮膚に持続的な張力(ストレス)がかかり,皮膚損傷(スキン‐テアなど)が起こりやすくなります。テープは引っ張らず,中心から外側に貼る,「テンションゼロの貼付」が基本です。フィルム材で固定するときも同様です。

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②滲出液を吸収しきれないガーゼで被覆する

×
滲出液の許容量を超えるガーゼの使用は,周囲皮膚のトラブルや増悪のリスクが高くなります。

滲出液があふれていると周囲皮膚は長時間の湿潤状態となります(浸軟)。この状態はびらんなど,湿潤関連の皮膚炎が起こりやすくなり,治癒の遷延にもつながります。また過剰に滲出液が溜まると細菌の温床となり,創部の感染リスクも高くなります。

そのため,滲出液量に応じたガーゼの大きさ・量を選択しなければなりません2)。ただしガーゼの場合は,周囲皮膚がどうしても浸軟しやすくなるので,保護剤(皮膚被膜剤や撥水性クリームなど)を使用して周囲皮膚を守ることが必要となります。

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感染・排膿のある褥瘡を密閉して被覆する

×
感染創の密閉は増悪を招きます。

感染のある褥瘡を密閉すると膿が貯留し,細菌が増殖してさらに悪化します。膿が組織内に拡散すると,壊死組織の範囲も拡大していきます。このような褥瘡は,密閉ではなくドレナージ(膿・滲出液・血液などを体外に誘導すること)が最優先です。創を開放して排膿できる出口を確保し,吸収性の高いもので被覆することが必要となります。

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創周囲皮膚に被膜剤を使ってからガーゼで被覆する


滲出液による汚染から周囲皮膚を守ることでトラブルの予防が期待できます​。

周囲皮膚への被膜剤使用はバリアとなり,滲出液から周囲皮膚を守ることで,湿潤関連の皮膚障害を予防しやすくなります。特にバリア機能が低下している高齢者などの脆弱皮膚,滲出液が常に多量で周囲皮膚に浸軟が生じやすい場合には効果的です。またガーゼ交換時のテープの剥離刺激や痛みの軽減も期待できます。被膜剤は創のまわりを守るシールドと考えます。

答え: ④創周囲皮膚に被膜剤を使ってからガーゼで被覆する

Example Image間違った方法で被覆すると,治癒の遷延だけでなく,創傷を悪化させる原因にもなるのですね。
Example Imageそうですね。適切な方法での被覆は,周囲皮膚の2次損傷を防ぎ,感染制御や治癒を促すことにもなります。

では,洗浄から被覆のポイントを記した映像(前半:洗浄,後半:被覆)を見てみましょう。



 
  
Example Image被覆するときは,滲出液の量,感染の有無,皮膚の状態などを評価することがとても重要となります。
よって被覆で重要なのは,創傷の評価でありとなり,次に適切な被覆材の選択となります。

新たな損傷を作らないように,周囲皮膚は被膜剤などで保護し,テープはテンションをかけずに貼るよう心がけましょう。
 





 

参考文献・URL
1)安部正敏.皮膚の解剖生理とスキンケアの意義・目的.日本創傷・オストミー・失禁管理学会(編).スキンケアガイドブック.照林社;2017.
2)杉本はるみ.滲出液が「少ない」「多い」場合.溝上祐子(編).ドレッシング材・外用薬の選び方と使い方 第2版.照林社;2021:68‐76.

 

間宮 直子(まみや・なおこ)氏

 1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より現職。
 「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
 所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。

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済生会吹田病院副看護部長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より現職。
 「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
 所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(理事・学会認定師) ,日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。

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