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『誰も教えてくれなかった皮膚科治療薬の選びかた・使いかた』より

連載 松田 光弘

2026.10.08

本書は好評を博した『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』の待望の続編! 今回は皮膚科治療をテーマに皮疹の背景にある病態から治療薬選択のコツと使いかたを徹底解説した一冊です。外用薬だけでなく,経口薬・注射薬・ドレッシング材まで網羅。前作同様指導医と研修医の対話形式で,実際の症例をもとに学ぶことができます。

「医学界新聞プラス」では、本書から皮膚潰瘍治療薬に関する項目をピックアップし,4週にわたりご紹介します。

3_図1問題.png
図1( 再掲) A:水分量が適正な浅い傷, B:水分が過剰な傷, C:乾燥した傷
③乳剤性基剤(水分を増やす薬剤)

 乳剤性基剤の外用薬はスルファジアジン銀とトレチノイントコフェリル軟膏の2種類があります(表1).それぞれ見ていきましょう.

4_表1.png
表1 乳剤性基剤の一覧

1)スルファジアジン銀
 スルファジアジン銀クリームには銀が含有されていて,細菌などの細胞膜,細胞壁に作用して幅広い抗菌力を持ちます.
 深い創傷で生じる壊死組織は感染の温床となります.そのため,壊死組織がある乾燥した創面の場合は,筆者は感染制御目的でこちらを使用することが多いです.また組織浸透性が高いため,壊死組織の軟化,融解促進作用があるのも見逃せない長所です.
 ただし,銀の細胞毒性が創傷治癒を遅らせるという意見もあり1),浅い傷や治癒が進んでいる創面への使用は避けるのが望ましいでしょう.

2)トレチノイントコフェリル
 トレチノイントコフェリル軟膏は抗菌作用はありませんが,含有成分が血管内皮細胞や線維芽細胞に作用し,創傷治癒を促進します.そのため,壊死組織がない治癒傾向の創面に適しています.

Point 3
乳剤性基剤は,壊死があればスルファジアジン銀クリーム,なければトレチノイントコフェリル軟膏
Point のまとめ
1 油脂性基剤は薬効成分を含まない白色ワセリンでよい
2 水溶性基剤で吸水能が高いのは精製白糖・ポビドンヨード軟膏
3 乳剤性基剤は,壊死があればスルファジアジン銀クリーム,なければトレチノイントコフェリル軟膏

 

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問題2 の解答と解説
1_icon02.png もう一度問題を見てみよう(図1).まず選択肢を剤形ごとに分類しようか.
4_図1.png
図1(再掲) A:水分量が適正な浅い傷, B:水分が過剰な傷, C:乾 燥した傷
1_icon01.png はい.これでいいですかね(図2).

 

4_図2.png
図2 基剤ごとに分類
1_icon04.png うん.それぞれ,どの外用薬を選べばいいかな?
1_icon01.png まずAは油脂性基剤がいいから,白色ワセリンかゲンタマイシン硫酸塩軟膏ですね.これはワセリンのほうがよさそうですね.
1_icon04.png うん.次にBはどうかな?
1_icon01.png 水溶性基剤なら,吸水性が高い精製白糖・ポビドンヨード軟膏がいいでしょうね.
1_icon04.png そうだね.最後にCはどうかな?
1_icon01.png 乳剤性基剤はスルファジアジン銀かトレチノイントコフェリルですね.この場合は壊死組織があるから抗菌作用があるスルファジアジン銀がいいと思います.
1_icon04.png うん.これで皮膚潰瘍治療薬についてはだいぶわかったようだね.
1_icon05.png はい.ありがとうございました.

 

問題 2 の答え
A: ①白色ワセリン
B: ④精製白糖・ポビドンヨード軟膏
C: ⑤スルファジアジン銀クリーム


参考文献

1) Atiyeh BS, Costagliola M, Hayek SN, et al:Effect of silver on burn wound infection control and healing:review of the literature. Burns 33:139-148, 2007.[PMID:17137719]

 

皮疹の背景にある病態、治療薬選択のコツと使い方を徹底解説!

好評を博した『誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた』の続編。今回は皮膚科治療をテーマに皮疹の背景にある病態から治療薬選択のコツと使いかたを徹底解説。外用薬だけでなく、経口薬・注射薬・ドレッシング材まで網羅。前作同様指導医と研修医の対話形式で、実際の症例をもとにわかりやすく解説した。

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