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取材記事

2025.11.27

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河上 英治氏

第58回日本薬剤師会学術大会(大会長=一京都府薬剤師会・河上英治氏:写真)が10月12~13日,「そうだ,薬剤師に聞いてみよう――プロフェッショナリズムの涵養」をテーマに,国立京都国際会館(京都市)で開催された。

『医学界新聞プラス』では,分科会「薬剤師による認知症ケアの新展開」(座長=日本薬剤師会・山田武志氏,京都府薬剤師会・守本真人氏)の模様を報告する。



◆認知症ケアにおける近年の潮流と薬剤師に求められる役割 
初めに登壇した遠坂佳将氏(前・厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課認知症総合戦略企画官) は,2023年に成立した「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下,基本法)」および,氏が策定にかかわり24年に閣議決定された「認知症施策推進基本計画(以下,基本計画)」の概要を紹介した。いずれも誰もが認知症になり得ることを前提とし,尊厳を保ちながら希望を持って自分らしく暮らし続けられるという “新しい認知症観”を掲げる点に特徴があり,基本法においては認知症本人および家族等によって構成される関係者会議の意見を聴いた上で,基本計画および都道府県計画・市町村計画を策定する当事者参画が定められている点がポイントの一つであると氏は述べる。基本計画では,「ポリファーマシー対策を推進するため,かかりつけ薬剤師としての役割を発揮できる薬剤師の配置を促進する」と記載されており,氏は認知症ケアにおける薬剤師の活躍が期待されるとの考えを示した。

「認知症治療においては本人の病識の低下や家族の過剰な期待などから治療選択がなかなか進まない場合がある」と指摘するのは京都府立医科大学の成本迅氏だ。氏は厚生労働省 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン(第2版)」を取り上げ,意思決定支援では,意思形成支援・意思表明支援・意思実現支援の3段階が必要だと説明。さらに,治療や生活方針について本人の判断能力を評価するには理解・認識・論理的思考・選択表明の4領域の能力を総合的に評価する必要があり,これ...

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