動議(井部俊子)
連載
2010.07.19
看護のアジェンダ | |
看護・医療界の“いま”を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部俊子 聖路加看護大学学長 |
(前回よりつづく)
平成22年度日本看護協会通常総会2日目の冒頭に,代議員より「緊急動議」が出された。広辞苑によると,動議とは「会議中に予定した議案以外の事項を議事に付するため,議員から発議すること」とされる。
第二号議案をめぐる紛糾
緊急動議は,総会1日目に採択の結果否決された第二号議案「日本看護協会の新定款(案)並びに新定款細則(案)」に関するものであり,代議員数変更の理由や経緯の周知が不十分であったため再度説明と,第二号議案の再採決を求めるものであった。
日本看護協会総会議事運営規程では,「議長は出席代議員及び正会員より動議の提出があった場合,会議に諮り代議員の賛成を得た後議題とする」(第13条)ことになっており,しかも,「議事の進行,討論の打切り,休憩又は休会の動議」は,「他の議事に優先して取り扱い,少なくとも賛否各1名の討論の後,直ちに採決に入らなければならない」(第14条)とされる。これらに基づき,議長は代議員に対して,緊急動議を議題としてよいかどうかの意見を求めた。
会場は,賛成・反対両派の応酬で熱を帯びた。1番マイクからは「新定款は会員に十分周知されていない。もっと時間をかけて採決すべき」(反対意見),2番マイクでは「われわれは数年前からプロジェクトをつくり学習会をしてきた。新定款を理解している」(賛成)。3番マイクからは「昨日の否決は代議員として息苦しい夜となった。採決を先延ばしすべきではない。執行部の提案は羅針盤である」(賛成),5番マイクでは「第二号議案の賛成意見は昨日出すべきであった。反対意見を出す人は勇気を持って出している。公益法人化には賛成でありすべてダメということではない」(反対)。同じく5番マイクからは「昨日の採決は代議員としての使命である。決議を真摯に受け止めてほしい」(反対)。
こうした討論の後,動議を議題とするかの採決に入った。議長が動議の採択に反対する者の挙手を求めたところ,出席代議員2753人中,反対は400人であった。こうして,動議は議題として採択され,第二号議案が再び審議・採決されることに...
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