看護のアジェンダ
[第208回] ウクライナ大統領の演説(井部俊子)
連載 井部 俊子
2022.04.25 週刊医学界新聞(看護号):第3467号より
2022年3月23日,ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が国会で演説した。オンライン会議システムで国会内の会議室とウクライナをつないで実施され,在日ウクライナ大使館の職員が同時通訳した。演説は約12分間であった(朝日新聞2022年3月24付朝刊,演説は要旨)。
「両国の間には8193キロある。飛行機で15時間もかかる。自由を感じる気持ち,生きる意欲の気持ちの差はない。日本がすぐ援助の手を差し伸べてくれた。心から感謝している。
ロシアがウクライナの平和を破壊し始めたとき,世の中の本当の要素を見ることができた。本当の反戦の運動,本当の自由,平和への望み,本当の地球への安全への望み。日本はアジアのリーダーになった。
チェルノブイリ原発の事故をご存じだと思う。1986年に大きな事故があり,放射能の放出があった。2月24日,その土の上をロシア軍の装甲車両が通った。チェルノブイリ原発が支配された。事故があった原発を想像してみてほしい。核物質の処理場をロシアが戦場に変えた。
サリンなど化学兵器を使った攻撃もロシアが準備していると報告を受けている。核兵器が使用された場合の世界の反応はどうなのか,世界中の話題になっている。
1千発以上のミサイルが落とされ,数十の街が破壊され,全焼した。多くの街で家族,隣人が殺されても葬ることさえできない。数千人が殺され,そのうち121人は子どもだ。住み慣れた家を出て,身を隠すために避難している。
すべての民族,国民にとって,社会の多様化を守り,それぞれの国境,安全を守り,子ども,孫のための将来を守るための努力が必要だ。
国際機関が機能してくれなかった。国連の安保理も機能しなかった。改革が必要だ。戦争をやりたいという侵略者に対し,平和を壊してはいけないという強いメッセージが必要だ。責任のある国家が一緒になって平和を守るために努力しなければならない」。
「(中略)ウクライナの復興を考えなければならない。避難した人たちがふるさとに戻れるようにしなければならない。日本のみなさんも,そういう気持ちがお分かりだと思う。住み慣れたふるさとに戻りたい気持ち。
予防的に全世界が安全を保障するために動けるツールが必要だ。本当に侵略を止められるようなツールだ。日本のリーダーシップが大きな役割を果たせると思う。
ロシアに,さらなる圧力をかけることによって平和を戻すことができる。国際機関の改革を行うことができる。将来,反戦連立が出来上がったとき,日本がウクライナと一緒にいることを期待している。ありがとうございます。
ウクライナに栄光あれ,日本に栄光あれ」。
ゼレンスキー大統領は「目は正面を見すえ,口調によどみがなく,盛んな闘志を感じさせた」と,朝日新聞同日付の「天声人語」は記している。
クリミア半島とナイチンゲール
クリミア半島もまた,ウクライナ同様に「共存と争いの歴史」を持つ1)。
17~19世紀,ロシア帝国対オスマントルコ間で,クリミアとウクライナの支配権をめぐる争いがたびたび勃発。1853~56年のクリミア戦争では,ロシアとオスマントルコ・イギリス・フランスの連合軍が戦う。
クリミア戦争と言えば,日本ではフローレンス・ナイチンゲールが「クリミアの天使」...
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