看護のアジェンダ 
                                                                [第203回] 看護提供方式を再考する
                                                            
                            連載 井部 俊子
2021.11.22 週刊医学界新聞(看護号):第3446号より
授業で学生に「看護提供方式」をどのように説明するか。このところあらためて考えている。
教科書(手島恵,他編集『看護管理学 改訂第2版』南江堂,2018年)では,「①看護提供方式とは何かを理解する。②看護提供方式の種類と特徴を理解する」と,「この項で学ぶこと」が示される。「看護提供方式は,看護を取り巻く環境の変化のなかで,患者に質の高い看護サービスを効率よく提供するという目的を達成するために開発された方式」であると述べたあと,「一看護単位における構成員の役割分担のしかたである」と説明される。
続いて,看護提供方式として以下の6種類が登場する。それらは①機能別看護方式,②患者受け持ち方式,③チームナーシング,④プライマリナーシング,⑤固定チームナーシング,⑥モジュール型継続受け持ち方式である。さらに,「こうしたさまざまな看護提供方式のなかからどの方式を選択するかは,それぞれの組織の理念,患者の人数や特性,看護単位における構成員の人数や能力などを考慮して行う必要がある」のであり,「方式の選択は,看護職員のモチベーションにも影響を与える」と述べている。要点を突いた簡潔な記述であるが,看護提供方式は「これらのなかからいずれかの方式を選択する」という箇所が引っ掛かる。
別枠にコラムとして「最近の看護提供方式」があり,ここでパートナーシップ・ナーシング・システム(Partnership Nursing System:PNS)が次のように紹介される。「(前略)パートナーの2人が1人の患者ケアを継続的に責任を持って行い,患者ケアに対する成果と責任はパートナーの2人が互いに共有する。日々の患者ケアにおいては,勤務している看護師のなかでパートナーを組み,患者を受け持つ」。
サービス・マネジメント・システムにおける5つの構成要素
いったい看護提供方式の選択は,既存の看護提供方式のなかから「選ぶ」ものなのであろうか。
リチャード・ノーマンは,サービス・ビジネスにおける成功の鍵となる要因を見つけ出し組織の経営と文化に反映させることによって,システムは再生産され安定的に維持することができるとし,「サービス・マネジメント・システム」(図)の5つの構成要素を説明している(近藤隆...
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