医学界新聞

2018.06.11



第29回「理学療法ジャーナル賞」


 第29回「理学療法ジャーナル賞」贈呈式が4月21日,医学書院本社にて行われた。本賞は,前年の1年間に『理学療法ジャーナル』誌に掲載された投稿論文の中から優秀論文を編集委員が顕彰し,理学療法士の研究活動を奨励するもの。2017年は,総投稿数110編のうち,下記2論文が準入賞と奨励賞に選ばれた。

【準入賞】鈴木啓介,他:糖尿病性末梢神経障害患者の歩行動揺性が身体活動量に与える影響――パス解析を用いた検討(第51巻第9号掲載,報告

【奨励賞】大木雄一:新入職員に対する社会人基礎力育成研修の効果(第51巻第10号掲載,報告

 準入賞の鈴木氏らの論文は,糖尿病性末梢神経障害合併患者88人の歩行動揺性,身体活動量,運動耐容能,精神機能の関係性を,相関分析とパス解析を用いて検討したもの。その結果,運動耐容能と精神機能が身体活動量へ直接影響を与えていること,歩行動揺性は身体活動量への直接的な影響は認められないものの,運動耐容能を介して身体活動量へ間接的に影響を与えていることが認められた。理学療法において,身体機能向上と活動量増大にはそれぞれ異なる介入方法が図られるが,本研究では身体機能向上を目的とした介入が間接的に活動量増大にも寄与する可能性を示したことが評価された。鈴木氏は,「運動療法を続けられない場合も多い糖尿病性末梢神経障害合併患者に対する介入方法への悩みが研究のきっかけとなった。現在進めている介入研究で丁寧に検証を進めていきたい」と述べた。

 『理学療法ジャーナル』誌では本年も,掲載された投稿論文から第30回「理学療法ジャーナル賞」を選定する。詳細については『理学療法ジャーナル』誌投稿規定を参照されたい。

左から鈴木啓介氏,大木雄一氏