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『あらゆることは今起こる《シリーズ ケアをひらく》』関連
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2024.06.19
弊社の《シリーズ ケアをひらく》は、2000年に発行された『ケア学』からはじまりました。
2019年には第73回毎日出版文化賞を受賞し、医療者だけでなく、多くの方に評価をいただいているシリーズです。
そんな《シリーズ ケアをひらく》から今年5月に出た新刊『あらゆることは今起こる』は、発行翌日増刷という異例の大ヒット!
著者の柴崎友香氏は『その街の今は』(新潮社)、『寝ても覚めても』(河出書房新社)、『春の庭』(文藝春秋)などで知られる小説家。そんな氏は、「発達障害」の1つとされる注意欠如多動症(ADHD;Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)と診断されており、本書では自身の内側で起こっている体験や日常生活を報告しています。
今回は、そんな本書のイベントとメディアでの紹介情報をまとめます(随時更新予定)。
▼ 目次
書店イベント
2024年6月25日(火)開催
「人間は二か所に同時にいることはできない」
柴崎友香氏×斎藤 環氏 トークイベント
オフライン(代官山 蔦屋書店;東京都渋谷区)とオンラインの同時開催イベントです(19:00~20:30)。以下、イベントの概要です。
「ある場所の過去と今。誰かの記憶と経験。出来事をめぐる複数からの視点」――それは自分の小説そのものだと語る柴崎氏。早くから柴崎氏の小説の登場人物に発達障害の特性である「拡散する主体」を感じ取った斎藤氏は、それゆえに多くの声を集める器となりうるのだ、と論じた(『小説トリッパー』2013年夏号)。それから10年。ADHD診断を経て書かれた本書を斎藤氏はどう読むか。そして柴崎氏がずっと考えているという「人間は二か所に同時にいることはできない」と本書のタイトルはどうつながるのか。きっと何かが起こらずにはいられないクロストーク。
(DAIKANYAMA T-SITE ウェブサイトより)
お申込み方法などイベント詳細につきましては、下記ウェブサイトをご覧ください。
2024年7月08日(月)開催
「私は「この私」を通じてしか世界を経験できない」
柴崎友香氏×横道 誠氏 トークイベント
オフライン(本屋B&B;東京都世田谷区)とオンラインの同時開催イベントです(19:30~21:30)。以下、イベントの概要です。
※ 本イベントは6月7日の開催を予定しておりましたが、標題の日程に延期となりました。
2024年5月、小説家・柴崎友香さんの『あらゆることは今起こる』(医学書院)が発売されました。「シリーズケアをひらく」44冊目となる本作は、20年来ご自身のADHD的な要素を捉えていた柴崎さんが2021年9月にADHDの診断を受け、そこから「診断を受けるってどういうことなんだろう」「なんで私は診断を受けてみたかったり、ずっと困っていることがあったんやろう」とじっくり考えながら書き進められた本です。本書では柴崎さんにとっての困りごとが多く紹介され、 柴崎さんの内側世界を読みながら柴崎さんの小説を思い出すこともできる、そんな豊かな一冊となっています。
本書の刊行を記念し、本屋B&Bではトークイベントを開催します。
対談のお相手にお迎えするのは、ASDとADHDの当事者研究本『みんな水の中』の著者、横道誠さん。発達障害の診断を受け、この経験を通じて何か書きたいと思った柴崎さんが影響を受けた一 冊です。本書のあとがきには、”『みんな水の中』 はASDだけでなく「 ADHD者の体験世界を内側から記している」ことも「 意義のひとつ」とあり、それなら私が/ 私も書いてみようと思った。”とあります。
ご著書のなかでそれぞれの体験世界を内側から書いたお二人が、ついに対面されます。
発達障害、といっても特性は人によって様々です。柴崎さんの特性についてうかがいながら、横道さんの事例もお話しいただきます。また、ドイツ文学者である横道さんは、発達障害の特性と柴崎作品の関係性、また混沌たる並行世界に対する文学作品の役割について本書を通じてどのように読まれたのでしょうか。
もしかしたら、横道誠さん司会による柴崎友香さんとの当事者研究の時間もあるかもしれません。
どうぞお楽しみに!
(本屋B&B ウェブサイトより)
お申込み方法などイベント詳細につきましては、下記ウェブサイトをご覧ください。
以上の情報は、2024年6月19日(水)正午時点の最新のものになります。随時更新予定です。興味がある方はぜひ参加をご検討ください!
対談のお相手のご著書等を紹介
斎藤 環氏によるオープンダイアローグをテーマにした書籍を弊社からも複数発行しています。
横道 誠氏による、同じく《シリーズ ケアをひらく》の『みんな水の中――「発達障害」自助グループの文学研究者はどんな世界に棲んでいるか』も好評発売中です。
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オープンダイアローグとは何か
定価 1,980円 (税込)
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開かれた対話と未来今この瞬間に他者を思いやる
定価 2,970円 (税込)
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まんが やってみたくなるオープンダイアローグ
定価 1,980円 (税込)
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みんな水の中「発達障害」自助グループの文学研究者はどんな世界に棲んでいるか
定価 2,200円 (税込)
メディア紹介
2024年5月27日 WEB本の雑誌 <NEWS本の雑誌>
感覚も、脳や身体の特徴も、皆ぞれぞれ違う。それを理解する人が増えることで、生きづらさから解放される人はきっとたくさんいるのではないだろうか。発達障害には関心がないという方にも、読んでいただきたい1冊である。
文:高頭佐和子(書店員)
2024年5月27日 HONZ <おすすめ本レビュー>
コンサータによってドーパミンがよく働くようになると「脳の報酬系が働いている」状態になる。そのことを、「脳内に励ましの歌コーラス隊」がいるという喩え話で説明されている。ADHDの人は、「脳内のコーラス隊が子どもである」から困ってしまうという。……さすがやわ。トランスポーターがどうのこうのよりも、はるかにわかりやすい。
文:仲野徹(大阪大学大学院医学系研究科教授)
2024年5月27日 日本経済新聞 夕刊 <カバーストーリー>
ADHDの診断を受けた経験は、創作の原点を見つめ直す契機になった。「今ここにある私の体という限られた1点に、重なり合う複数の時間がまたがっている。そういう感覚の上にしか書けない表現があるのかもしれない。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年6月15日 信濃毎日新聞 <書評>
自分の「できない」や、相手の「わからない」を心のどこに置けばいいのか。「わかる」「わかり合う」を目指す社会において、不安定な状態は隠され、なかったことにされやすい。……自身への問いが新たな問いを呼び、問いが読者に少しだけ飛び火する。それが程よく温かくて優しい。
文:武田砂鉄(ライター)
2024年6月22日 毎日新聞 <今週の本棚(書評)>
具体物が突然抽象的な概念に変化したり、抽象的な話が物のリアリティに飲み込まれたりしていくさまは、無言の魔法を見ているようで引き込まれてしまった。……著者的日常のど真ん中に一瞬で引き込む、原美樹子のカバー写真も秀逸である。
文:伊藤亜紗(東京工業大教授・美学)
2024年6月29日 共同通信配信(『高知新聞』『沖縄タイムス』ほか) <書いた、思った、考えた>
「過去とか現在とか未来といった時間が入り交じる感覚を持っている自分の特性が、小説の執筆に生かされている」と柴崎さんは語る。「この本を読むことが、自分の感覚を見つめ直したり、身近な人に話してみたりするきっかけになればうれしいです」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年6月29日 Real Sound <BOOK>
なるほど「人間」は「今ここ」にしか存在できない。にもかかわらず「人間」は「今ここ」に存在しない「あらゆること」を想像できる。それはわたしたちにとっての薬であり毒であり、スーパーパワーであり呪いである。
文:竹永知弘(ライター、日本文学研究)
2024年6月30日 毎日新聞 <文化の森>
「ADHDのことを普通にエッセーに書くと、忘れ物や遅刻の失敗談、個別の事象になりがちです。困っていることの多くは、誰もが体験する延長線上にあるので『たいしたことない』って埋もれやすいし、単純化されて誤解もあります。経験や周りの状況を通して、まとめて書かないと伝えるのが難しいと考えたんです」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年6月30日 読売新聞 <本よみうり堂>
柴崎 ADHDの困難は「よくあること」に埋もれがちでもあって、難しいところですね。
東畑 ADHDについての本のようで、実は柴崎さんという人が、世界とどう付き合いづらかったかということとが描かれていて、読みながら「俺はこうだな」みたいな、自分が世界とどう付き合っているかを振り返ることを誘発する本に思えました。……
長田 イスに長く座っていられるから定型とか、そうではないですよね。
著者(柴崎友香)/東畑開人(臨床心理学者)/長田育恵(劇作家)による鼎談
2024年7月06日 読売新聞 <一病息災>
「人が当たり前にできるのに、自分にはできないことがある。子どもの頃から気づいていて、実は困っていました」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年7月06日 東京新聞 <読書欄>
服薬するようになって変わったこと、変わらないことを平易な文章でつづる。一つの身に「無数の人間の時間」があふれているなど、創作の源泉をのぞいた気がした。
2024年7月08日 週刊ポスト7/19・26合併号 <POST Book Review 著者に訊け!>
「私もできないことは多いけれど、ただそれもマイナスがあるからプラスもあるというよりは、両方同時にあるって感じなんですよ。ところが文章には常に順序が伴い、『お金はないけど楽しかった』と書くか『楽しいけどお金はなかった』と書くかで優劣や価値が生じてしまう。そうした優劣や序列を離れて、いろんなものがただ同時にある感じを、私はずっと小説で書きたいと思ってきたんです」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年7月08日 週刊プレイボーイ2024年7月29日号 <“本”人襲撃 BOOK>
「もともと自分の著作を読んでくださっていた方以外にも広く届いている感覚はあり、発達要害への関心の高まりを感じています。その理由は、「普通」の枠が狭くなっていることなのかなと思っています。そして、その狭い「普通」であることが求め続けられる中で、そこからこぼれ落ちたときに助けを求めることが難しくなっているんじゃないかなとも」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年7月09日 Hanako Web <きょうは、本を読みたいな>
「『乗り越えて頑張った』『そういう特性だから逆に才能があった』というような感動話にまとめられることもある。そうではないべつの伝え方がないだろうかと模索していました。診断を通して気づいたことを、発達障害の当事者だけではない、もっと広く社会を見る視点で書いてみたいと思っていたんです」。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年7月18日 週刊新潮2024年7月25日号 <書評>
自分の在りようと同じくらい他者の在りようを肯定することの大切さを伝える本書を、全国の学校図書に置いてほしいと、わたしは祈る。
豊崎由美(書評家・ライター)
2024年7月18日 週刊文春2024年7月25日号 <著者は語る>
発達障害への関心が高まっているのは、世の中が求める『標準』の枠が狭く高くなっているからでもあると考えているのですが、いろんな在り方があっていいはずで、話が行ったり来たり考え直したりしてもいいのでは。そんなに簡単に答えが出ることばかりではないはずですから。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年7月20日 図書新聞 <書評>
そもそもたいていの困りごとが外からは「見えない」ところで起こっており、さらにそれを人に“見せない”ために相当の労力が使われているようだ。著者のように「人に助けを求める」のが難しければなおさら、表面的に見えている以上のことを周囲が意識的に見ようとしない限り、一見「そんなふうには見えない」状態は維持され続けるだろう。
文:豊原響子(臨床心理士・島根大学講師)
2024年7月26日 週刊読書人<2024年上半期の収穫から>
「わからない」から知りたいと探求する、著者の好奇心が伝染する好著。
文:宮台由美子(書店員・代官山蔦屋書店)
2024年8月03日 綴葉(京大生協綴葉編集委員会)2024年8・9月号 <新刊コーナー>
平易な語りに加え、連想ゲームのように話題があっちへこっちへ無軌道に進む展開は、目の前で昔話を聞かせてくれるような心地よさがある。
文:筏
2024年8月07日 毎日新聞<特集ワイド>
発達障害の人が作家に向いている、という単純な話ではありません。ただ私には体内に複数の時間が流れているような感覚があるし、興味のままに話があちこちに飛ぶんです。それはたぶん、ADHD要素と関連していて、私の場合は小説の作風につながっています。
著者(柴崎友香)インタビュー
2024年8月09日 週刊読書人<書評>
様々な時間のエピソードが“今”として収められている。公園みたいな本だと思う。用途も作られた年代も様々な遊具が置かれていて、でも、遊び方が提示されいるわけではない。自由ですよ、なんもいいですよ、と開かれているのだ。
文:大前粟生(作家)
2024年10月3日 朝日新聞
女性が、生まれつきケア能力があって得意なわけではないということは、もっと知られてほしいと思います。苦手なことをがんばってやっても「できていない」になってしまうのはつらいですよね。
(中略)
ADHDの特性にしても、私が典型というわけではなく、いろいろな現れ方がある。少しずつでも、自分ではない人のことを知ろうとすることが大事ではないかと思います。
著者(柴崎友香)インタビュー
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