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[第9回]装具交換をやってみよう
写真を見て・解いて・わかる皮膚排泄ケア「WOCドリル」ストーマ編
連載 間宮直子
2026.10.07
WOCドリルを担当するマミヤです。私は皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)として,WOCNが在籍していない施設へケアの技術・知見を共有してきました。こうした経験を通して得たことを基に,皮膚・排泄ケアで間違いやすいポイントを中心に,適切なケアをドリル形式で解説していきます。
一緒に学習する臨床3年目看護師のさくらです。私が所属する病院にはWOCNはおらず,学生時代に学んだ方法や,代々引き継がれてきた病院独自の方法で皮膚・排泄ケアを行っています。患者さんのことを想うと,本当にこの方法で正しいのか自信がありません……。
ストーマの種類や合併症,ABCD-Stoma®も,先輩に教えてもらいながら少しずつわかるようになってきました。でも,新人さんに「装具交換を教えてください」と言われたら,きちんと根拠を持って説明できるか,自信がないです。
毎日のようにやっているケアほど,「いつもこうしているから」「前にこうしたから」と感覚的になりやすいものです。
装具交換は,どのような患者に対しても「決められた日」に「同じ手順」で交換すればいいのですよね?
実は,交換間隔は装具によって違います。面板(皮膚保護剤)の種類だけでなく,排泄物の性状や面板の溶解・膨潤の状態を見て,その人に合った交換間隔を考えることが大切です。溶解は一般的にストーマ孔から1cm以内が交換時期の目安の1つですが,面板の種類や排泄物の性状によっても異なります。
剥がした装具を見ることも,次の装具交換につながるのですね。溶解の程度が大きかったら,交換を早めればいいのですか?
そうですね。でも交換間隔だけではありません。漏れや溶解の位置・程度を見て,必要なら用手形成皮膚保護剤などで補正することも考えます。そして装具選択では,密着性だけでなく,大きさ・柔らかさ・目立ちにくさ・操作のしやすさ・ストーマ袋や裏面不織布の質感など,その人の生活や好みも大切です。
では,こうしたポイントを頭に置きながら,標準的なストーマの装具交換の手順を確認してみましょう。
問題 : ストーマ装具交換の過程で,間違っているのはどれ?
正常なストーマの装具交換の手順で,1つだけ正しくない説明があります。
① 剥離剤を使用し,皮膚を押さえながら装具をやさしく剥がした
② 泡立てた石けんを使い,ストーマ周囲皮膚をやさしく洗った
③ ストーマより少し大きめ(1~2mm)にカットした装具を貼付し,しばらく押さえた
④ ベルトのタブの突起部を上から下に向けて装着した
解説
① 剥離剤を使用し,皮膚を押さえながら装具をやさしく剥がした
☞ 〇
正しい手順です
装具は,皮膚を押さえながら,皮膚と面板の間に剥離剤を少量ずつなじませ,ゆっくり剥がします。面板を上に引っ張るのではなく,皮膚から少しずつ離すように進めることがポイントです。特に高齢者や脆弱な皮膚では,装具交換そのものが皮膚障害の原因になります。剥離剤は,剥離時の皮膚への刺激を軽減するために選択されます。
ここで重要なのは,「装具を剥がす」ことではなく,「皮膚を傷めずに剥がす」ことです。
② 泡立てた石けんを使い,ストーマ周囲皮膚をやさしく洗った
☞ 〇
正しい手順です
泡立てた石けんで,ストーマ周囲皮膚を指の腹でやさしく洗います。便や皮膚保護剤の残りは丁寧に取り除きますが,強くこすらないことがポイントです。洗浄後は石けん成分が残らないよう十分に拭き取り,水分をやさしく押さえて乾燥させます。ストーマ粘膜を強くこする必要はありません。
ここで重要なのは,「きれいにする」ことよりも,「皮膚を傷つけず,次の装具を密着できる皮膚環境を整える」ことです。
③ ストーマより少し大きめにカットした装具を貼付し,しばらく押さえた
☞ 〇
正しい手順です
ストーマ周囲皮膚が十分に乾いていることを確認し,ストーマとのすき間が1~2mm程度になるようストーマ孔をカットした面板を貼付します。貼付後は,面板が皮膚になじむよう,しばらく手で押さえて密着させます。特にストーマ近接部は丁寧に押さえることがポイントです。
ここで重要なのは,単に「貼る」のではなく,排泄物が潜り込まないよう「皮膚と面板を確実に密着させる」ことです。
④ ベルトのタブの突起部を上から下に向けて装着した
☞ ×
間違いです。
正しくは,ベルトタブは下から上に向けて装着します(下部画像)。
ベルトは,装具の密着性や安定性を高める必要がある場合に使用します。装具だけで安定する場合には必要ありません。ベルトを上から下に向けて装着すると,ベルトタブの突起部が皮膚に食い込み,圧迫による皮膚障害を生じることがあります。また,ベルトは斜めに装着すると面板に偏った力が加わり,浮きやずれから排泄物の潜り込みや漏れにつながります。
ここで重要なのは,「ベルトをつける」ことでなく「必要な人に,正しく使用する」ことです。
答え: ④ベルトのタブの突起部を上から下に向けて装着した が誤り
基本の装具交換の手順(表)は同じでも,必ずしも必要なケアは同じではありません。ストーマ・皮膚・腹壁を見て,その人に合ったケアを選ぶ必要があります。
なるほど。装具交換って,ただ手順どおりに行えばいいわけではないのですね。 ケアをしながらさまざまな情報を収集できれば,その人にとって安定した装具交換となりそうです。
それでは一連の流れを動画で見てみましょう。
こうして一連の流れで見ると,何気なくやっていた手技にも,皮膚を守る,漏れを防ぐ,装具を安定させるという意味があることがよくわかりました。
まずは基本に忠実に行いましょう。でも,ストーマは毎日排泄物が出てくる“排泄の出口”です。ストーマも皮膚も腹壁も,そして生活も一人ひとり違うからこそ,基本を押さえたうえで,その人に合わせて考えることが必要です。
手順を覚えるだけじゃなくて,「なぜこのケアをするのか」まで理解することが大切なんですね。今度は私も新人さんに根拠を伝えながら,一緒にやってみます!
いいですね。基本の知識と技術をきちんと身につけ,目の前のストーマを見てその人に合ったケア方法を選ぶ。それが,トラブルを未然に防ぐストーマケアにつながります。
今回のポイント
✓ まずは,装具交換の基本手順を身につける
✓ ストーマ・周囲皮膚・腹壁をよく観察する
✓ 手順だけでなく,「なぜそうするのか」という根拠を理解する
✓ 装具交換で困りごとが生じたときこそ,患者の思いに寄り添い,一緒に解決方法を考える
参考文献
1)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編:ストーマリハビリテーション基礎と実際 第3版,金原出版株式会社;2016.

間宮 直子(まみや・なおこ)氏 大阪府済生会吹田病院 特定認定看護師室 室長 / 皮膚・排泄ケア認定看護師
1997年に大阪府済生会吹田病院に入職。皮膚・排泄領域のケアを専門とし,04年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得する。その後,16年に創傷管理関連の特定行為研修修了,17年に滋慶医療科学大大学院医療安全管理学修士課程修了。11年より同院副看護部長,26年より現職。
「高度な急性期病院でありつつ、医療・介護をトータルに支える地域密着型の病院機能も担う“二刀流の病院”を目指す」という病院のミッションの下,同じ医療法人グループの中にある高齢者施設,訪問看護のみならず多くの施設・機関にアウトリーチ活動を行っている。
所属学会は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会(評議員),日本褥瘡学会(評議員・褥瘡認定師) ,日本フットケア・足病医学会(評議員・治療認定師),日本認知症ケア学会(認知症ケア専門士) ほか。
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