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『医療者のポスターデザイン─美しく伝え、心に響く学会ポスターの教科書』より

連載 小林 啓

2026.05.29

好評書『医療者のスライドデザイン──プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書』、待望の<ポスター編>!!

時間をかけて準備したポスターが、思うように伝わらない──そんな学会・研究発表の悩みに応える一冊がついに登場です。誰に向けて、何を伝え、どのような価値をもたらしたいのか。本書ではデザインの基本から、伝わる情報設計、PowerPointを使った美しいレイアウト、そして心に響くプレゼンテーションのコツまで一連のテクニックをわかりやすく紹介します。

「医学界新聞プラス」では、本書からポスターのデザインや情報構成・配置の考え方などにまつわる4つの項目を抜粋し、公開をしていきます。

紙面の構成とデザインの基本

ポスターはどのような情報で構成されているでしょうか? 
それぞれの構成要素を確認し、デザインの基本をお伝えします。

 

全体の構成

 ポスターはある程度決まった情報で構成されています。必要な情報を縦長の紙面で伝えるという性質から、Web ページのデザインと共通点が多いです。
 上部にタイトルや氏名を入れるヘッダーがあり、中央に情報のブロックであるパラグラフが並べられます。そして下段に参考文献や学会名、COI、連絡先などの情報を入れるフッターがあります。
 パラグラフ内にメインの情報が入り、テキストや画像、グラフなどで表現されます。大きさや形は情報量によって変化しますが、基本的な要素はほぼ共通です。

図01.png

どの学会でも基本はこのレイアウトで通用します

 

ヘッダー

 それぞれの要素を詳しく見ていきます。ヘッダーはポスター最上部の高さ20 cm 程度を占め、タイトル、プレゼンター氏名、所属、所属組織のロゴなどが入ります。学会によっては左上に20 cm×20 cm の演題ID 用のスペースを空けるように指示されます。
 タイトルはポスターのすべてを端的に伝えるためのメッセージですので、できるだけ大きめ(A0 サイズで80 ポイント程度)にしましょう。タイトルが収まりきらない場合、文字を小さくするのではなくタイトルを短くする発想も大切です。
 一方で、氏名や所属などは控えめの文字サイズ(24~32 ポイント程度)の方がタイトルが際立って見えます。「誰が書いたか?」は観客にとって優先度の低い情報ですので、自分の名前を大きな文字で主張する必要はありません。組織ロゴも控えめのサイズをおすすめします。

図02.png

文字やロゴのサイズにメリハリをつけることで、タイトルを際立たせることができます

 

パラグラフ

 ポスターは複数のパラグラフで構成されています。それぞれのパラグラフで伝えたいメッセージが簡潔に伝わるデザインを目指しましょう。
 まずはパラグラフで何が書かれているかわかるよう、必ず上部に見出しをつけましょう。見出しの文字サイズはタイトルとテキストの中間程度(56~72 ポイント)がおすすめです。
 また、パラグラフを枠で囲むと情報のブロックが視認しやすくなります。見た目の安定感も出てくるため、一目見たときの印象もよくなります。
 一方で、枠で囲むことで枠の余白を確保する必要が出てしまい、載せられる情報量が減るデメリットもあります。情報量が多いときは無理に枠を作らなくてもいいですが、その分パラグラフの間隔は十分に空けましょう。

図03.png

どちらかが正解ではありませんが、枠ありの方がデザインは少し難しいです

 

テキスト

 ポスターのほとんどを占める要素がテキストです。鉄則として「文字が大きく、文字量が少ないほど読みやすい」ことに留意してください。メッセージをしっかり伝え、学術的な好奇心を満足させる絶妙なバランスを探りましょう。
 文字サイズの基準として、読ませたいテキストは40 ポイント程度は確保したいです。グラフや表などの細かい情報は28~32 ポイントあたりが許容範囲です。
 フォントの種類は標準搭載されているゴシック体をおすすめします。Windows はBIZUDP ゴシック、Noto Sans JP、游ゴシックなど、Mac はヒラギノゴシック、游ゴシックなどがきれいで使いやすいです。
 フォントはあらかじめルールを統一しておくと見た目がきれいになります。情報量によってサイズが変わることはやむをえませんが、ポスター内でルールがぶれないようにしましょう。以下にセットの例をポイント(pt)とともに示します。

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画像

 写真やイラストなどの要素です。テキストよりも観客の注意を強く引き付け、ポスターの印象を強める重要な役割を担います。
 印象的な画像を大きく配置することができれば、それだけで記憶に残りやすくなります。テキストで埋め尽くされた隙間に画像を置くのではなく、画像のスペースを確保した上でテキストを調整するときれいです。
 また、ポスターは大きく印刷されるため、画像の解像度が低いと残念な印象になります。できるだけ画像の解像度を高く保ち、印刷する前に画面を200%に拡大して粗さをチェックしましょう。

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テキスト中心でなく、画像を中心に考えると収まりがよくなります

 

 テキストでの説明が冗長になる場合、積極的に図にしましょう。特に複数の項目の関係は図にすることでわかりやすくなります。テキストばかりで殺風景なポスターに図を加えることで、見た目も華やかになります。
 ただし、図が複雑になりすぎるとかえって理解が妨げられます。必要な要素に絞り、簡潔な図を目指しましょう。

図06.png

ポスターを読む人がどこまでの情報を知りたいかを考え、最低限の情報で構成しましょう

 

 載せたいデータが多いとき、表は手軽な整理方法です。情報の位置がそろうため、データ間の比較がしやすくなります。
 表は項目が多くなりがちで、すぐにポスターのスペースを圧迫します。項目が多すぎると感じたら、要素を少しずつ削っていくのではなく、一度白紙に戻して必要最低限の情報だけで作りなおす方法をおすすめします。

 

グラフ

 変化や割合など、データの特徴を示したいときにグラフはとても便利です。どのデザインのグラフを選ぶかの基準は「グラフで何を示したいのか?」です。
 量を比較したいなら棒グラフ、時間変化を示したいなら線グラフ、割合を示したいなら円グラフや帯グラフなど、用途からグラフのデザインを選択しましょう。

図08.png

伝えたいメッセージを基準に、グラフのデザインを選択しましょう

 

フッター

 フッターとは、最下段に入れる補足情報です。参考文献やCOI などは大きく伝える必要がないため、24 ポイント程度の小さな文字で十分です。
 本書で強くおすすめするのが2 次元コードです。2 次元コードのリンクに参考資料を添付することで、詳しい内容を紹介できます。ポスターは概要とメッセージを伝えるもの、参考資料は詳細を伝えるものと割り切ることで、無駄なく洗練されたポスターに仕上げることができます。

図09.png

2 次元コードは同じ関心を持つ人とつながる強力なツールにもなります
 

 

好評書『医療者のスライドデザイン──プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書』、待望の<ポスター編>!!

時間をかけて準備したポスターが、思うように伝わらない──そんな学会・研究発表の悩みに応える一冊がついに登場です。誰に向けて、何を伝え、どのような価値をもたらしたいのか。本書ではデザインの基本から、伝わる情報設計、PowerPointを使った美しいレイアウト、そして心に響くプレゼンテーションのコツまで一連のテクニックをわかりやすく紹介します。

「医学界新聞プラス」では、本書からポスターのデザインや情報構成・配置の考え方などにまつわる4つの項目を抜粋し、公開をしていきます。

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