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『医療者のポスターデザイン─美しく伝え、心に響く学会ポスターの教科書』より

連載 小林 啓

2026.06.05

好評書『医療者のスライドデザイン──プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書』、待望の<ポスター編>!!

時間をかけて準備したポスターが、思うように伝わらない──そんな学会・研究発表の悩みに応える一冊がついに登場です。誰に向けて、何を伝え、どのような価値をもたらしたいのか。本書ではデザインの基本から、伝わる情報設計、PowerPointを使った美しいレイアウト、そして心に響くプレゼンテーションのコツまで一連のテクニックをわかりやすく紹介します。

「医学界新聞プラス」では、本書からポスターのデザインや情報構成・配置の考え方などにまつわる4つの項目を抜粋し、公開をしていきます。

情報を配置する

情報をパズルのピースのように配置し、紙面をデザインしてきましょう。
ここからがポスターデザインの腕の見せどころです。

 

紙面を設定する

 それではいよいよ情報を紙面に置いていきます。PowerPoint を開き「デザイン」→「スライドのサイズ」→「ユーザー設定のスライドサイズ」を選択します。A0 サイズの場合、横84.1 cm×縦118.9 cm に設定します。

 

 続いて、縦と横の正中にガイドを引きましょう。紙面上で右クリックし「グリッドとガイド」→「ガイド」で表示することができます。

 

 

 最後に、紙面をきれいに見せるための四隅のマージン(外枠の余白)を取ります。この枠の内側に情報を収めることで、洗練された印象を与えることができます。
 再び右クリックで「グリッドとガイド」→「垂直方向のガイドを追加」を選択し、1 本増えたガイドを右にドラッグして「37.0」の数値に置きます。もう1 本垂直方向のガイドを追加し、今度は左に「37.0」までドラッグしましょう。同様に水平方向のガイドも「55.0」あたりで上下に引くと、マージンの設定は完了です。

 

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マージンの値は厳密ではありませんが、できるだけ情報を枠の内側に収めるようにしましょう

 

まずは情報を適当に置いてみる

 紙面に情報を配置します。タイトル(フォントサイズ80 ポイント)、氏名と所属(28 ポイント)、パラグラフ(見出し64 ポイント、テキスト40 ポイント、図表やグラフ32 ポイント)、引用やCOI(24 ポイント)などを紙面上にすべて置きます。フォントサイズは参考値なので、まずはこのサイズで置き、後で調節していきます。
 このとき高い確率で起こるのが「情報が紙面に入りきらない」問題です。想定よりも情報が多いことはよくあります。まだ情報は減らさず、まずは紙面外のスペースも使って情報をすべて置ききることを目指します。全体を俯瞰することで削るべき情報のバランスが見えてきます。

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まずは情報をすべて置いてから整えることで、取捨選択がしやすくなります
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制作途中の実例。情報がこれくらいはみ出すことは珍しくありません
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情報量を整える

 情報が紙面に入りきらない場合、まずはどの情報を省略できるかを考えましょう。優先度を考え、載せなくてもいい情報を探します。できるだけ文字サイズなどは保ち、紙面に収まる情報量を探っていきます。ポスターを縦に伸ばすのも禁止です。
 ここでは大まかな位置決めができるように情報量を調整してください。その先の細かい調整テクニックは次の「4.情報の整え方」で詳しく紹介していきます。

 

紙面を分割する

 情報の量がある程度定まれば、パラグラフをどのように配置するかを考えます。このとき、紙面を縦に均等に2 分割、もしくは3 分割することで美しく収めることができます。
 基本的に分割された1 つの枠にパラグラフを収めますが、情報量によって2 つ以上の枠をまたいでパラグラフを置くこともできます。横に並んだパラグラフは、隣と縦幅をそろえるとさらにきれいに見えます。

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紙面分割の例。2 分割が読みやすく、レイアウトも比較的楽にできます
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パラグラフ分割の例。パラグラフが多くなりすぎないように注意しましょう

 

 パラグラフを読み進める方向は、右に進んで左下に移動するZ 型、下に進んで右上に移動するN 型の2 種類があります。どちらを選択するかはストーリーの見せ方によります。紙面を線で区切るなどの工夫をして視線を自然に誘導させましょう。

 

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視線の動きの例。見出しや余白の調整により、読む順番を明示することも大切です

 

視線を意識して配置する

 ポスターの場合「情報をどこに置くか?」はとても大切です。観客の視線が向かいやすいところに大事な情報や目立つ情報を置き、メッセージを的確に伝えましょう。
 シンプルな法則として、ポスターの上にある情報ほど視線が止まりやすく、下にある情報は視線が向かいづらいです。観客は上から情報を探索する性質があり、首や体をかがめて最下段まで読む行為は身体的に不自然だからです。

 

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経過表などの重要な情報は、視線が向かいやすい上に配置しましょう

 

 また、視線が向かいやすい情報の種類として、写真、イラスト、シンプルな図、グラフ、大きな文字の短いテキストなどがあげられます。反対に小さな文字の長いテキスト、複雑すぎる図などは視線が向かいづらいです。

 

 つまり、視線が向かいやすく重要な情報をポスターの上部に配置することが重要です。ポスター全体のテイクホームメッセージも、視線が向かいやすい上部に置きましょう。

 

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ポスターの上部にイラストとテイクホームメッセージを入れることで、全体像がすぐに把握できます
 

 

好評書『医療者のスライドデザイン──プレゼンテーションを進化させる、デザインの教科書』、待望の<ポスター編>!!

時間をかけて準備したポスターが、思うように伝わらない──そんな学会・研究発表の悩みに応える一冊がついに登場です。誰に向けて、何を伝え、どのような価値をもたらしたいのか。本書ではデザインの基本から、伝わる情報設計、PowerPointを使った美しいレイアウト、そして心に響くプレゼンテーションのコツまで一連のテクニックをわかりやすく紹介します。

「医学界新聞プラス」では、本書からポスターのデザインや情報構成・配置の考え方などにまつわる4つの項目を抜粋し、公開をしていきます。

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