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[第2回]子どもに予防接種を行う際には 大きいシリンジも用意しておく
<<ジェネラリストBOOKS>>『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』より
連載 松村真司
2025.04.10
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』は,毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めた一冊です。問診,診察,検査,治療・処方に留まらず,コミュニケーション,患者(家族)説明,マネジメント,看取り,研究・論文・学会で使える125ものスキルを紹介しています。
「医学界新聞プラス」では本書のうち,厳選した5つのハック「頭頚部の診察スキル」「予防接種時の診察スキル」「尿試験紙を使った検査スキル」「桔梗湯の処方スキル」「患者さんの話がなかなか終わらないときの対応」をご紹介します。
子どもでなくとも注射は嫌なものです。またワクチンは必要なものだということ,針でチクっとするのも一瞬の出来事だと頭でわかっていても,できれば避けたいのは十分理解できることでしょう。自分が子どもの頃に,どんな想いだったか,大人になると忘れがちです。そのため,注射の恐怖を和らげるために最大限の工夫と努力は常に必要です。もちろん,相手が子どもとはいえ,誠意をもって正直に対応することが基本ですが,ちょっとズルいものの,怯える子どもを少し安心させる方法がありますのでご紹介します。
どんな診療ハックスキル?
予防接種を行う前に,実際に用いる2.5mLの予防接種用のシリンジよりも大きな採血用のシリンジを用意しておき,接種前に子どもに両方を見せ,「大きい注射器と小さい注射器,どっちがいい?」と,どちらを用いるか子ども自身に選ばせる。そのうえで,「じゃあ,小さいほうを使うね」と言って予防接種用シリンジで接種を行う。
用意するもの・準備するもの
10mLのシリンジ,2.5mL(ないしは1mL)の予防接種用シリンジ
実際の方法
予防接種の実施の手順は大人も子どもも原則は同じです。ある程度理解が進んだ子どもに対しては,同伴の保護者だけでなく,子ども自身にも予防接種の必要性について十分に説明し,事前にその恐怖心をほぐし,安全に配慮しながらできるだけ手早く接種を行うことが基本です。
まずは,子どもの気持ちを優先し,恐怖心を減らす工夫をします。できるだけ子どもの目を見て,温かい雰囲気で声かけをします。「注射は嫌だよね,でも強くなるために必要なものだから頑張ろうね。少しだけチクっとするけど,頑張ったらすぐに終わるからね。痛くないように,いろいろ工夫するからね」と話をしたうえで,「注射器で打つからね。その前に,この大きい注射器と,小さい注射器,どっちで打てばいい?」と 2種類のシリンジを見せて本人に選んでもらいます。通常は小さいほうを選びますが,もしもどちらも嫌がるようだったら「じゃあ,こっちの小さいほうが痛くないはずだから,こっちを使うね!」と言って,当初から用意してある予防接種用のシリンジを用いて接種の準備に入ります。あとは通常の接種を標準的な手順に沿って行います。
もちろん接種がすんだら,「よく頑張ったね!偉い!」と,心から最大限に褒めることが肝心です。接種用の小さなご褒美を用意している施設もあると思いますが,やはり頑張った子どもに対して心からの賞賛を与えることが,一番効果があると思います。1人ではなく,親御さんも含め,接種に関わったスタッフ全員で,褒めすぎるくらいの褒め方でちょうどよいくらいです。
地域で数十年以上診療を行っている当院には,子どもの頃に当院で予防接種を受け,その後大きくなって今度は親として自らの子どもの予防接種のために来院する方が何人もいますが,子どもの頃の予防接種体験を思い出して語ってくれる人もいます。よい思い出にせよ嫌な思い出にせよ,そのときの体験は大人になっても忘れがたいようです。予防接種の体験は今後の医療への安心感,信頼にもつながります。そのため,正直に,そして誠実に行うことがもちろん基本ですが,時には嘘も方便,予防接種の恐怖を減らすための工夫は必要なことだと思います。
☞とにかく頑張った子どもたちの努力と我慢に最大限の賛辞を贈ることが肝心。この言葉かけが将来の患者-医師関係の形を作ると信じて。
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました。診療前の準備、問診のポイント、診察のワザ、検査のコツ、治療・処方のコツ、看取り時の心得、患者(家族)への説明の仕方、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなど、ここでしか読めない「臨床の知恵」が満載です。本書を読めば、その悩みが解決するかもしれません。
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