総合診療 Vol.34 No.9
2024年 09月号
特集 今伝えたいクリニカル・パール つくり方、使い方、活かし方
ISSN | 2188-8051 |
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定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
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Editorial
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“クリニカル・パール”から始まる物語の扉を開こう!
玉井道裕(諏訪中央病院総合診療科)
まさか、研修医時代から読み、勉強してきた雑誌『総合診療』の編集をさせてもらえるとは夢にも思わなかった。どんな特集を組もうかと考えた時、私にしかできない編集をしようと決意した。クリニカル・パール特集なら、それが可能かもしれない。どなたに原稿を依頼するかは悩んだが、自分の医師人生に大きな影響を与えてくれた先生を候補に挙げさせてもらった。執筆者の候補リストを作成すると、たくさんの医師の名前が浮かんだ。どの方にお願いするか迷った。そして、そのリストを見て、自分がこれほど多くの方々に支えられてきたことを、しみじみと実感した。読者の皆さんも、自分を育ててくれた“先生特集”を作るとしたら、誰に執筆を依頼するか考えてみてほしい。
私は恵まれた医師人生を歩んできた。多くの素晴らしい出会いと心に残る言葉をいただき、今の自分の医師像が形成されてきた。エビデンスはインターネットで調べれば出てくるが、自分が見聞きした言葉は検索したとしても出てこない。それは自分の中にしか残っていない。そして、それは一人ひとり違うはずである。各々の人生が異なるように、医師としての人生もまた異なる。あなたが医師として過ごした日々で、記憶に残っているのはどんな時だろうか。そこにはどんな言葉があったのであろうか。
言葉には不思議な力がある。人を励ましたり、傷つけたり、良い意味でも悪い意味でも心に刺さったりする。クリニカル・パールというと、知識の伝達に主眼が置かれることが多いが、今回はあえて態度や姿勢にフォーカスを当てたパールも多く含めた。パールは単なる文字や言葉の意味ではなく、物語として記憶に残るものだ。ただの情報ではなく、そこには驚きや怒り、恥ずかしさ、不甲斐なさといった感情を伴うことが多い。ヘレン・ケラーが初めて「water」を経験した時のように、言葉の本当の意味を理解する時には感情の動きが伴う。パールを通じて執筆者の物語も味わっていただければ幸いである。
医師としての成長の道のりは長く険しい。途中で挫折したくなる時や仕事を辞めたくなる時もあるであろう。それでも臨床の世界が興味深いと感じられるのは、患者さんや病気と対峙する時だけではなく、上司や仲間の存在も大きいのではないだろうか。出会った患者さん、診断した疾患、育ててくれた上司、支えてくれる仲間……一人ひとりの医師人生は異なる。自分の医師人生を歩んでいるのは、自分しかいない。望んで進んできた部分もあれば、望まずに流れ着いた部分もある。それでも私は、多くの人に心から感謝できる医師人生を歩んできた。本誌の編集をしながら、ふとそんなことに思いを巡らせた。このような貴重な機会を与えてくださった関係者の方々には深く感謝したい。
収録内容
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 今伝えたいクリニカル・パール──つくり方、使い方、活かし方
企画:玉井道裕
■総論
①「クリニカル・パール」とは何か? その臨床活用における注意点は?
春田淳志
②クリニカル・パールの生まれ方
玉井道裕
スペシャル・アーティクル──アンチクリニカル・パール委員会提言~Trust nobody!?~
佐田竜一
■“あの先生”のクリニカル・パール My Best3
①研修医教育で生まれたクリニカル・パール
上田剛士
②大切にしているパール
植西憲達
③2024年 Dr.Kiyotaの3つのクリニカル・パールズ
清田雅智
④想起すること、解像度を上げること、タイミングを見極めること
具 芳明
⑤ラベンダーサイン
國松淳和
⑥Taroの診断型クリニカル・パール集より
志水太郎
⑦プロフェッショナリズムとは「目的に対する単純強固な意思、日々の愚直な継続」~福島県立医科大学元学長 故・菊地臣一先生のクリニカル・パール
仲田和正
⑧私のクリニカル・パール
藤沼康樹
■継承された“とっておきパール”
①「結核らしい影」というものはあるが、「結核らしくない影」というものはない
九鬼隆家
②内科に急変なし! 入院中の患者に悪いことが起こったら自分の手を見ろ!
佐々木陽典
③高齢×男性×喫煙者。臍から下の急な症状はAAA カメレオンを除外せよ!
柴﨑俊一
④付き添いや家族との関係性や呼び名を決めつけるべからず
柴田綾子
⑤患者の人生を診よう
陶山恭博
⑥prepared mind
瀧宮龍一
⑦治り方のディテールは、経験でしか学べない
武田孝一
⑧Do small things with great Love
鍋島志穂
⑨嘔吐がなく増悪傾向のない正中部の腹痛は重篤なことが少ない
原田 拓
⑩目の前で起きた血小板減少は、専門家不要!
藤野貴久
⑪外傷に至った原因を突き止めることは重要である。しかしながら、その原因を突き止めた後、外傷そのものに対する再評価をすることはさらに重要である
山里一志
今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題
●Editorial
“クリニカル・パール”から始まる物語の扉を開こう!
玉井道裕
●ゲストライブ
クリニカル・パールの原点──医学における「言葉」の効用
佐藤泰吾|佐田竜一|玉井道裕
●医のアートを求めて|10
医療×テクノロジー──人類の進化はテクノロジーの進化と共にある
山海嘉之|平島 修
●What's your diagnosis?|261
脛に傷
猪飼浩樹|岩﨑慶太|山本真理|滝澤直歩|藤田芳郎
●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|92
「首下がり」は首の病気なのか?
金沢章弘|安次嶺宏哉|嵩原安彦|仲里信彦、他(監修)
●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|53
ソフィアとフロネシス
松村正巳
●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|18
現場で役立つ医療事故調査の実際
森田沙斗武
●臨床医のためのライフハック|限りある時間を有効に使う仕事術|18
メンタルヘルスマネジメント──現代の臨床医が自分のメンタルヘルスを保つには?
中島 啓
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