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- 医学界新聞プラス [第1回]咽頭後壁を見るときは 息を吸ってもらうべし
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<<ジェネラリストBOOKS>>『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』より                                                            
                            連載 矢吹拓
2025.04.03
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
『診療ハック——知って得する臨床スキル 125』は,毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めた一冊です。問診,診察,検査,治療・処方に留まらず,コミュニケーション,患者(家族)説明,マネジメント,看取り,研究・論文・学会で使える125ものスキルを紹介しています。
「医学界新聞プラス」では本書のうち,厳選した5つのハック「頭頚部の診察スキル」「予防接種時の診察スキル」「尿試験紙を使った検査スキル」「桔梗湯の処方スキル」「患者さんの話がなかなか終わらないときの対応」をご紹介します。
口腔内の診察で咽頭後壁を見たいときがありますよね。扁桃腺の診察やインフルエンザのリンパ濾胞など,咽頭後壁の所見が診断の決め手になることは決して少なくありません。ただ,実際はよく見えないことが多くないですか? 舌圧子を使うとえずいてしまって,さらに見えにくくなってしまいます。そんなときに役立つのが,このスキルです。
どんな診療ハックスキル?
口腔内診察時に,口を大きく開けたまま息を大きく吸ってもらう。
用意するもの・準備するもの
・ペンライト
実際の方法
口腔内診察では従来,「大きく口を開けて」とか「『あー』と声を出して」などと声をかけて,舌圧子で舌を下方に押しながら診察することが多いのではないでしょうか? もちろん,これらの方法で咽頭後壁が見えることもありますが,意外と見えにくいことも少なくないと思います。無理矢理舌圧子を押し込むと,咽頭反射で「おえっ」とえずいて一瞬,咽頭後壁が見えることもありますが,十分観察できるとはいえません。
こんなときは,声を出してもらうのではなく,逆に息を大きく吸ってもらうことをお勧めします。まさに「押してダメなら引いてみな」です。吸気によって口腔内にも空気が入り,スペースが広がることで咽頭後壁が見やすくなります。このことに気づいたのは,自分の咽頭後壁を見たくて,鏡の前で開口して観察していたときでした。「あー」と声を出しながら診察してもなかなか見えなかった咽頭後壁が,大きく空気を吸い込んだときに非常によく見えたのです。以降,患者さんでも何度も試していますが,吸気と呼気では口腔内の見え方がまったく異なります。
注意点は,
・息を吸うときに口をすぼめてしまう方がいること
・調子に乗って吸い込みすぎると,咳嗽反射が誘発されることがあること
・吸気・呼気の指示が伝わる人にしか使用できないこと
などでしょうか。
百聞は一見にしかず。この原稿を書きながら,私自身の口腔内をスマートフォンで撮ってみました(図1,2)
 
                                                                    いかがでしょうか? あらためて,吸気のほうがよく見えますよね! 吸気によって舌が下方に押し下げられ,咽頭後壁が非常に見やすくなります。両側の扁桃も下のほうまでよく観察できますよね。ある意味,「舌圧子いらず」ともいえるかもしれません。
もちろん,人によっては吸気がうまくいかない場合もありますが,ちょっと見えにくいときの 1つのやり方として,知っておいて損はないのではないかなあと思います。
診療ハック——知って得する臨床スキル 125
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました
毎日の診療がちょっとラクになる、そんな診療のライフハックを集めました。診療前の準備、問診のポイント、診察のワザ、検査のコツ、治療・処方のコツ、看取り時の心得、患者(家族)への説明の仕方、コミュニケーションスキル、マネジメントスキルなど、ここでしか読めない「臨床の知恵」が満載です。本書を読めば、その悩みが解決するかもしれません。
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