看護研究者としてのキャリアパスを議論(特別講演会 Dr. Patricia A. Gradyを迎えて「看護研究者としての成長とキャリアパスを考える」)
2019.04.22
看護研究者としてのキャリアパスを議論
米国立看護研究所(NINR)は米国立衛生研究所(NIH)を構成する,米国最大の看護研究機関である。NINRで米国の看護研究を長年牽引し,現在は名誉ディレクターとして看護研究者の育成に携わるPatricia A. Grady氏がこのたび,東大グローバルナーシングリサーチセンター(GNRC)の招聘により来日した。これを機に,日本看護科学学会(JANS)と医学書院の共催による特別講演会「Dr. Patricia A. Gradyを迎えて 看護研究者としての成長とキャリアパスを考える――あなたはどんな研究者になりたいか?」が3月21日に医学書院(東京都文京区)にて開催された。
開会に際し,JANS理事長の鎌倉やよい氏が開催に至った経緯と目的を説明。JANSは看護界の後継者である若手研究者の支援事業に注力しており,「自身の成長をめざし,Grady氏と熱い議論を交わしてほしい」と述べた。
その後,GNRCセンター長・真田弘美氏の進行のもと,Grady氏の講演が行われた。冒頭,Grady氏は全米の研究者からの意見を元に策定したNINRの重要課題の中から,症状の科学,ウェルネス,セルフマネジメント,終末期・緩和ケアを中心に紹介した。研究を行うに当たっては,リサーチクエスチョンをまず明確にし,検証可能な形まで解きほぐすこと,分野を超えたチームでのアプローチが不可欠であると話した。また,研究を伝えることの重要性を強調し,「論文になっていない研究は研究ではない」と断言。研究成果が患者ケアや政策に反映されるまでが一連の研究の流れだと強調した。講演の最後には「研究者としての旅路そのものを楽しんでほしい」と,参加した若手看護研究者にエールを送った。
講演会ではこの他,日本学術振興会海外特別研究員として,現在NINRで研究に取り組む後藤大地氏の講演やパネルディスカッションが行われた。講演会の詳しい内容は『看護研究』誌52巻3号(5月下旬発行予定)に掲載される。
写真 参加者とディスカッションするGrady氏(右) |
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