医学界新聞

取材記事

2021.06.07 週刊医学界新聞(通常号):第3423号より

 2020年12月,第32回「理学療法ジャーナル賞」の受賞者が決定した。本賞は,同年1年間に『理学療法ジャーナル』誌に掲載された投稿論文の中から特に優秀な論文を編集委員が顕彰し,理学療法士の研究活動を奨励するもの。2020年は総投稿数149編のうち,下記4論文が準入賞,奨励賞に選ばれた。なおCOVID-19の影響により,贈呈式は前回に続き中止された。

【準入賞】木村友亮,他:急性期脳卒中患者における長下肢装具を用いた歩行練習が身体機能と移動能力の長期予後に与える影響(第54巻第8号,報告

【奨励賞】石月亜由美,他:心臓再同期療法後の心不全患者に対する訪問リハビリテーションにより日常生活動作が改善した要介護症例(第54巻第3号,症例報告

【奨励賞】鶴木恵,他:肩関節拘縮例における関節包と関節可動域の関連性の検討(第54巻第5号,報告

【奨励賞】菅谷力也,他:肩甲骨引き寄せ距離と投球肘障害の関連(第54巻第11号,報告

 準入賞の木村氏らの論文は,歩行が自立していない急性期脳卒中患者に対する長下肢装具を用いた歩行練習が,移動能力に及ぼす影響を調査したもの。急性期病院の退院時だけでなく回復期病院の退院時まで追跡して調査し,早期からのリハビリテーションの有効性を長期的視野に立って証明した点が特に評価された。論文著者を代表して木村氏は,「長下肢装具の使用効果を示す根拠が少ない状況の中で,長下肢装具を用いた早期歩行練習が身体機能と移動能力の長期予後に寄与していることを証明し,その有効性が高いことを示した点で意義がある」と自身の研究を振り返った。

 『理学療法ジャーナル』誌では,本年も掲載された投稿論文から第33回「理学療法ジャーナル賞」を選定する。詳細については『理学療法ジャーナル』誌投稿規定を参照されたい。

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