医学界新聞

グラフィックレコーディングのはじめかた

連載 岸 智子

2020.08.10

会議の進行を行う時に,参加者の発言を記録すると議論が空中戦にならずに済みます。それは議論の内容を可視化することで,参加者の認識を合わせられるからです。文字だけで記録しても十分に効果を発揮しますが,これまで紹介してきたグラフィックレコーディングの手法を用いてみましょう。絵や図を用いることで,その場で話されたことがより鮮明に伝わるはずです。

会議やミーティングでのグラフィックレコーディングの活用法について,私自身の体験談を少しご紹介します。グラフィックレコーディングを始めた頃,セミナーや勉強会に出席してはその内容をイラストや図を使って記録していました。ある時,私の記録を見た友人から「今度,仲間が新規事業を立ち上げることになった。ついては企画を練るワークショップを開催するので,その様子を記録してくれないか?」との依頼を受けました。二つ返事でOKし,実際にワークショップに参加。進行手順や参加者の発言を図や絵を交えて記録しました。

途中,描いたグラフィックレコーディングを見せながら,何度かこれまでの話を振り返りました。すると,話の内容が整理され,検討しなければならないことを確認でき,「進行の軌道修正をしながら結論に導く」というプロセスがごく自然に行われていったのです。グラフィックレコーディングが議論を活性化させ,実践の推進力となることを体感した出来事でした。

このように,記録を場に共有するだけで議論が実りあるものになります。まずは自分のノートを場に出すことから始めてみてはいかがでしょうか。

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4,5人程度の少人数の会議や打ち合わせでは,A4サイズの紙に少し大きめの文字で記録するとよいでしょう。描いている様子を参加者全員で見ながら議論を進めることで,参加者の視線が記録に集まり,トピック(議題)に集中できます。

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こうした記録で大事なことは,「会議の議題」と,何をどこまで決めるのかという「会議の目標」を,参加者が確認できる場所に記載しておくことです。そうすることで仮に話が脱線しても,記録をたどれば何が話されていたのか,決定事項は何か,他に検討しなければならないことはないかなど,その会議の議題や目標をすぐに確認し,軌道修正が図れます。

会議の記録だからといって特別なことはありません。普段のノート(記録)と同じように,文字だけではなく絵や図を用いて構造化しながら......

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