医学界新聞

グラフィックレコーディングのはじめかた

連載 岸 智子

2020.03.09

これまでの連載で,グラフィックレコーディングに興味を持ち,「よし! グラレコを始めてみよう!」と思ったものの,何から始めたらいいのか迷う人も多いと思います。そこで今回は,描くときの構図(レイアウト)について紹介したいと思います。

セミナーやシンポジウムなどで描かれたグラフィックレコーディングを見ると,下記のイメージのようにノートいっぱいに情報が描かれています。

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これを見ると,「どうやったら1枚にまとめて描けるのだろう?」「私には到底できそうもない」と,不安に思ってしまうかもしれません。でも,グラフィックレコーディングはあくまでも「記録」です。1枚にまとめる必要もありませんし,マンガのコマ割りのような,あらかじめ決められた構図があるわけでもありません。私は,描きながら余白を埋めていくイメージで描き進めていくとよいと考えています。

とは言え,真っ白な紙に描き出すのは勇気が必要です。そこで,いくつか自分なりのパターン(型)を持っておくことをおススメします。人の目線は,左から右,上から下へ,「Z」のように動くと言われています。この動きに沿って描くと,読みやすいレイアウトが作れてしまうのです。

左から右に描いていくノート式は,目線の動きと合っているので,シンプルで読みやすいレイアウトです。また,左上から右に,そして左下に向かって弧や円を描くようなうずまき型(らせん型)のレイアウトは,話の流れがつかみやすく,ノート式よりも動きを出せるのが特徴です。

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その他にも,さまざまなレイアウトがあります。①上から下へ説明していくステップ型。年表のように順を追って話の流れを記録していくのに適しています。スケジュールなどもこの形式で記録するとわかりやすいです。②時系列型は,ステップ型の横バージョン。子どもから大人への成長過程,年代ごとの出来事を記すなど,状況の変化を表すことに向いています。

自然な目線の動きとは少し異なりますが,③上方に向かって描くロードマップ型は,山頂に向かっていくイメージの通り,目標やゴールに向けたプロセスを表現できます。④中央にテーマを配置して,そこから四方へ広がるように描くマンダラ型は,アイデアや考えを発散させるときに有効なレイアウトです。

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描き出すときは,レイアウトを最初から想定せずに,左上,左下,中央など,自分の描きやすい位置から始めるとよいでしょう。描き始めた場所から,ここまで紹介してきた基本レイアウトをイメージして描き進めていけば十分です。

レイアウトを覚えたら,次は読みやすくするための工夫に取り組んでみましょう。例えば,下記のイメージのように,情報を簡単なレイアウトで描き出し,意味や話のまとまりごとに○や□で囲んでいくのがおススメです。後で読み返しながら,重要だと思う箇所を強調して囲......

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