看護のアジェンダ
[第182回] バーガンディチームとピーコックグリーンチームの効用
連載 井部 俊子
2020.02.24
看護のアジェンダ | |
看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部 俊子 長野保健医療大学教授 聖路加国際大学名誉教授 |
(前回よりつづく)
2020年1月15日,私は東京国際フォーラムで開催された表彰式に出席しました。久しぶりの晴れがましい席でした。その表彰式とは,「看護業務の効率化先進事例アワード2019」というものです。このアワードは,「看護業務の効率化先進事例収集・周知事業」として,日本看護協会が厚生労働省の委託事業として行ったものです。
残業削減への取り組み
私の役目は,最優秀賞のプレゼンターを務めることと,受賞施設(表)に副賞の盾を渡すことでした。最優秀賞受賞施設は熊本市医師会熊本地域医療センター,代表で賞を受け取ったのは大平久美看護部長でした。タイトルは,少し長いですが,『「ユニフォーム2色制」と「ポリバレントナース育成」による持続可能な残業削減への取り組み』です。
表 看護業務の効率化先進事例アワード2019受賞施設一覧 |
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以下,私が行った短いプレゼンテーションの全文です。
「この取り組みは,ユニフォーム2色制とポリバレントナース育成という内容で,現場における工夫をもとに,顕著な効果がみられたものです。いわばローテクです。日勤と夜勤の勤務者を明確にしたことで,医師は指示を出す看護師が明確になり,患者・家族も勤務者を特定することができるようになりました。その結果,残業時間が減少しました。ポリバレントナース(これはのちほど詳しく紹介があると思いますが)は,院内留学やジョブ・ローテーションを通じて,さまざまな看護単位で活動できるオールラウンドプレイヤーを指します。ポリバレントナースの育成により,急な欠勤への対応や業務量の多いところへの応援ができるようになり,ユニフォーム2色制と相まって,残業時間が顕著に減少しました。さらに,定時で仕事を終わらせるタイムマネジメントの意識が高まり,職員の働き方に関する意識改革も同時にできたという効果もありました。高額な費用がかかったり大掛かりな設備投資が必要であったりというものではなく,費用対効果がとても高いこと,多くの病院で取り組むことができる汎用性の高さを評価いたしました。このような取り組みが広く...
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