自動精算機は最後の難関(井部俊子)
連載
2018.08.27
| 看護のアジェンダ | |
| 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
| |
井部俊子 聖路加国際大学名誉教授 |
(前回よりつづく)
社会学者のダニエル・F・チャンブリスは『ケアの向こう側』(日本看護協会出版会,2002年)において,病院を次のように描いている。「病院では悪人でなく善良な人がナイフを持ち,人を切り裂いている。そこでは善人が人に針を刺し,肛門や膣に指を入れ,尿道に管を入れ,赤ん坊の頭皮に針を刺す。また,善人が,泣き叫ぶ熱傷者の死んだ皮膚をはがし,初対面の人に服を脱ぐよう命令する」。こうして,「一般人にとって身の毛もよだつ残酷物語も,ここでは専門家の商売なのだ」。
病院に行き診察を受け,検査をして,処置をしてもらったり,薬の処方箋をもらって帰るという一連の「受診」は,とりわけ初めての人にとっては数々の難関をクリアしなければならないのだと,「患者」と称される一般人は指摘する。
その最後の難関が,自動精算機である。何事も首尾よくできなくなった高齢者にとってはチョウ難関である。そこで今回,病院外来の一角でスクッと立ちはだかっている自動精算機に密着取材してみた。
密着取材“せっかちな女の人”
外来受診者は,外来の会計窓口に吸い寄せられ,自身の「会計番号票」を発行してもらう。そして「自動精算機」へと向かう。支払い用のお金を準備しておかなければならない。
自動精算機の前に人が立つと,次のような指示が出る(自動精算機の前で毎日アシストしているナースによると,あの中には“せっかちな女の人”がいるという)。
「診察券を入れてください」
「お持ちでない方はバーコードを読み取らせてください」
ここで手際よく,グリーンのランプが点滅し...
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