シンガポールの病院から学ぶ(井部俊子)
連載
2017.03.27
看護のアジェンダ | |
看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き, 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。 | |
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井部俊子 聖路加国際大学特任教授 |
(前回よりつづく)
友人の親友であるYが旅行中に病気を発症しシンガポールの病院に入院したときの話を,友人が語ってくれました。友人はYを迎えに先日シンガポールに行って来たというのです。シンガポールの病院での経験を日本の病院の看護に参考にするために,Yの夫がしたためたメールからご本人の許可を得た上で,「看護のアジェンダ」としたいと思います。3つあります。
「食事」と「服薬」と「確認」
日本とシンガポールを比較して気付くこととして,日本における「食」の軽視がまず指摘されます。シンガポールの病院では,ハラール/ベジタリアンの区別はもちろん,中華/ウェスタン/インディアン/マレーの区別があります。提供されたチキンに抗議したら,シェフが直接現れて特別デザートを好みの味を聞いた上で追加してくれたこともあったそうです。
それに比べて,帰国して入院した日本の病院では,その必要がないのに,「刻み食」が出されました。一日三食,刻み食を食べるということは,「ほとんどいじめに近い」と嘆いています。数日後,刻み食は理由もなく解除されたのですが,「食事が不満であれば,持ち込んだものを食べてよい」という情報を早く知らせてほしかったと言っています。なぜか「パン除外」という指定もされていて,看護師に聞いてもその理由は説明されず,抗議してパンに変えてもらったのでした。
入院中の食事の問題はメニューだけではありません。日本
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